馬 渕 清 資 Mabuchi Kiyoshi 本文へジャンプ
数多くの講演依頼をいただき、多忙な毎日を充実して過ごす中で、自然科学の持つ文化的価値と実用性という二面性について考えを深めたいと考えております。

氏名 馬渕清資(まぶちきよし)

 名古屋生まれ,庚寅
 E-mail: km アツトマーク kitasato-u.ac.jp

北里大学名誉教授

兼 務 (非常勤講師)
   北里大学大学院,医療衛生学部
   東京工業大学大学院
   首都大学東京大学院
   

経 歴

 昭和44年 愛知県立旭丘高等学校卒業
 昭和48年 東京工業大学工学部卒業
 昭和53年 東京工業大学大学院博士課程修了
         工学博士号取得 工博665号
 同 年   北里大学医学部助手
 昭和55年 同学部講師
 平成3年  同学部助教授
 平成6年  北里大学医療衛生学部教授
 平成28年 北里大学名誉教授
 
専門分野
   バイオメカニクス,バイオトライボロジ
所属学会
   バイオトライボロジ研究会会長
   日本臨床バイオメカニクス学会評議員
   日本人工関節学会評議員
   バイオマテリアル学会評議員

その他
   Editorial Board Member
   of Clinical Biomechanics

教育信条
   よく遊びよく学べ
研究テーマ
 1.体内埋め込み型人工器官の耐久性向上
 2.運動器の力学計測へのロボテイクスの応用
 3.バイオメカニクス一般

      論文業績リスト

著 書
   バイオトライボロジ
   医用機械工学
道 楽
  テニス.クラシック音楽鑑賞,フルート演奏
  囲碁(免状四段).
  読書(Jonathan Stroud の英文小説)
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 ある憂鬱 (1990.9.30)

 地表を埋め尽すのが繁栄と言えるかどうか判らないけれど、とにかく人類は繁栄しています。しかし、地球の歴史に名を残すほどの繁栄でしょうか。そうは思えません。仮に一万年後、つまり気が遠くなるほど先までこの繁栄が続いたとしましょう。それでも、たぶんその後数億年で人類の痕跡は跡形もなくなると思います。たとえば人工の材料は、すべて風化します。自動車や電車のような金属、プラスチックス製品はもちろんのこと、コンクリートの建築物でも。その証拠に過去の文明の残した遺跡は、たった数千年で、すでに崩壊の跡を示しています。また、何か残ったとしても、肝腎のヒトの骨格が小さいので、それを作った生物が推定できるかどうかが、怪しい。せめて馬の骨くらいの大きさがあれば、どこの馬の骨かわからないまでも残るでしょうけれど。

 過去の生物の繁栄の跡が残っているのだから、我々だって少しはという反論はあるでしょう。確かに恐竜など立派な骨格を残しています。しかし、彼らは、大きいだけでなく、一億年以上も繁栄を続けていたのです。我々人類とは比較にならないくらい長い。地球の歴史に名を残すのはたいへんなことなのです。

 それで、その恐竜ですけれど、「なぜ絶滅したのか」が気になるわけです。繁栄から滅亡のシナリオは、我々の行末と関係がありそうですから。これについて、従来、いろいろな仮説が流布されてきました。たとえば、恐竜は愚鈍で適応力がないために、環境の変化に対応できなくて滅んだとか。ほ乳類に卵を盗まれたとか。しかし、そんなことで絶滅するなら長い間栄えるはずがない、むしろ、恐竜はかなり賢かったと、最近は考えられています。それをトロオドンの大きな脳重量比(対体重比)や、カモノハシ竜の子育ての跡が証明しています。そして、賢いのだから生じっかなことでは滅びないという前提から、巨大隕石衝突などの強力な天変地異説が、持ち出されています。しかし、それにしては隕石衝突から絶滅するまでの数百万年は、長過ぎるといった批判があります。

 そこで私の仮説。「恐竜は、賢くなり過ぎたため滅んだ」であります。まず、知能の発達にはそれほどの時間はかかりせん。サルからヒトの場合、数百万年でした。また、知能動物が地球環境を著しく変化させることも、現在証明されつつあります。その変化が自分達を含む生物の生存を脅かすのに、数百万年というのはいい線です。そして、知能動物の痕跡を消すのに、絶滅からの六千五百万年は、十分な時間です。この私の説には、否定的証拠がないかわりに、積極的証拠もありません。特筆できるのは、恐竜と同時期に多数の生物種が滅んだ大絶滅の原因が説明できる点です。

 もし、知能を持つと滅ぶというのならば、我々はどうすればよいか。これはもう恐竜の時代から生き残っているゴキブリにあやかって、知能を捨てるしかありません。しかし、残念ながらバカになれるほど賢くはないようです。こんなこと考えられるのは人間だけというのが、いささかの救いでしょうか。