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整形外科で股関節、膝関節外科、骨粗鬆症外来やロコモティブ外来を担当する金子博徳医師。ていねいな診察と、卓越した「コミュニケーション力」で多くの患者さまから信頼されています。「日常生活に元気を与えられるようにするのが目標」と言う金子医師に、現在の取り組みやモットーを聞きました。

健康寿命を延ばすために

――骨粗鬆症やロコモティブシンドローム(ロコモ)に力を入れる理由は?

心筋梗塞や脳卒中を引き起こすメタボリックシンドローム(メタボ)に比べ、骨粗鬆症もロコモも、「命に関わる」というイメージをもたれる方は少ないと思います。しかし、「健康寿命」という視点で考えると、これらは重大な問題になります。

骨折や痛みによって動けなくなり、寝る時間が増えると、体が弱って起き上がれなくなり、やがて寝たきりになる可能性もあります。寝たきりや車いす生活になる前に、手を打つことが大切なのです。骨や筋肉などの運動器に障害があるということは、メタボと同じくらい怖い、ということを多くの方に知っていただくために、外来を受診される患者さまへの説明はもちろん、市民公開講座やロコモ教室などを開催し、積極的に啓蒙活動を行っています。

――現在、骨粗鬆症外来、ロコモティブ外来で取り組んでいることは?

骨粗鬆症の治療は服薬がメインですから、患者さままかせになりがちです。一方、ロコモは運動療法が主体。トレーニング法をお伝えして、「じゃあ、がんばってください」といっても、興味がなければ1度きりで終わってしまいますし、自己流では効果も上がりません。いずれも検査をしながら患者さまの状態を正確に見極め、一人ひとりに合った治療方針を決めたうえで、ていねいにフォローを行っています。

骨粗鬆症の治療薬には飲み薬と注射薬がありますが、途中で服薬をやめてしまう方が多いのが課題です。そこで、患者さまの負担を軽減するために各人に合った服薬方法を紹介しています。最近では半年に1回注射をするだけで骨折が予防できる薬も出ており、治療の成果も上がっています。また、医師一人の力には限界があるので、看護師やケアマネージャー、薬剤師などが協力して骨折を予防する「リエゾンサービス」も開始しました。

ロコモティブ外来では、患者さまの「弱点」を見つけて、その部分を強化するための目標を設定し、運動方法を指導します。自宅でできる手軽な運動法をご提案するほか、併設するメディカルフィットネスセンターと連携し、トレーナーの指導のもとで、安心して運動に取り組める体制を整えています。

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痛みと不安を取り除きたい

――予防のための取り組みは?

当院では、早期から総合スポーツ医学センターの中にメディカルフィットネスセンターを設置し、アスリートだけでなく、広く一般の方々に運動の機会をご提供してきました。予防医学の観点から、スポーツを取り入れて、健康増進に役立てるのがねらいです。

運動を始めたくても、何をどの程度やっていいのかわからないという患者さまにも、トレーナーが常駐するメディカルフィットネスセンターは有効です。院内施設で運動していただくことで、効果のフィードバックが得られることは、治療にもプラスになります。

ただし、大切なのは、その人に合った運動法をおすすめすること。楽しくなければ続きません。無理なく続けられる方法を、スタッフや患者さまと一緒に考えています。

――スポーツは好き?

スポーツは自分でプレイするのも、観戦するのも好きです。好きなのはサッカー、テニス、ゴルフ、野球など。また、週に数回ジムで汗を流しています。オペ(手術)には筋力が必要ですし、何より自分で経験しなくては、患者さまに「運動してください」といっても説得力がありませんから(笑)。

スポーツ整形外科も担当しているため、チームドクターとしてアメフトの試合に帯同する機会が増えて、ライブで観る感動を知りました。選手がケガをしたときに誰よりも早く駆けつけたいので、ランニングもしています。

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――整形外科医としてのモットーは?

患者さまは、何かしら不安を抱えて私のところにいらっしゃいます。その不安を取り除き、元気になって帰っていただきたいと思っています。医学的な知識や技術の向上はもちろん、患者さまの状態や治療の経過について、ていねいな説明を心がけています。また、ちょっとした言葉で、安心していただけることもあります。

医師を志したのは、人を元気にすることができる職業だと思ったからです。整形外科を選んだのも、日常生活に支障をきたすような痛みや不安を取り除くことで、患者さまを元気にすることができるから。ケガの治療を経て競技に復帰した選手が得点を決め、力強くハイタッチをしてくれたり、ご高齢の患者さまから「以前より体が動くようになった」とお話していただけたりすると、これほど嬉しいことはありません。

私は、「一緒に」という言葉が好きです。一人では難しいことも、力を合わせれば乗り越えられる。患者さまと一緒に、他の医師やスタッフと一緒に、ケガや病気と向き合い、乗り越えていく。その一助になれればという気持ちで、日々、診察にあたっています。


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プロフィール

金子博徳

金子博徳(かねこ ひろのり)
医学博士。総合スポーツ医学センター長、スポーツ整形外科副部長、人工関節・軟骨移植センター副センター長。
1994年、慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部整形外科教室に入局2000年同大学院を修了。2012年、北里大学北里研究所病院整形外科の常勤医となる。股関節外科、骨粗鬆症外来およびロコモティブシンドローム外来を担当。スポーツ整形外科の副部長も務め、母校のアメフトチームの試合にチームドクターとして帯同している。若者からお年寄りまで、幅広い世代の患者さまに頼られる存在。
日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会専門医。