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概要

北里大学北里研究所病院では、病院理念である「心ある医療」を実践すべく、科学的根拠のみならず患者さまお一人おひとりの個性に配慮したがん治療をめざし、手術・抗がん剤・放射線治療の標準治療に加え、人間に従来備わっている免疫力を活かす治療法として、1991年、免疫療法の治療と研究を開始しました。その後先進医療として「自己腫瘍を用いた活性化自己リンパ球療法」を実施していましたが(2015年11月終了)、この度新たに樹状細胞ワクチン療法(樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法)の研究および治療を開始することとなりました。

当院の樹状細胞ワクチンは、院内に設置されたCPU(セルプロセッシングユニット)内で厳重な管理のもとに作製され、「再生医療の安全性の確保に関する法律」にもとづいて、2016年1月、厚生労働省へ再生医療等提供計画の届け出を完了しております。
当院は、再生医療・細胞医療を通じ、これからも地域医療、がん治療の発展に貢献してまいりたいと考えています。本治療はまだ研究途中で明確なエビデンスを得ていませんが、我々はアカデミアとして本治療による効果の検証も研究として行っていきます。

対象疾患

既存の治療に抵抗性を示す、あるいは再発、一定の確率で再発、転移が予測される下表に示すがんを対象とします。

呼吸器領域悪性腫瘍 肺がん、縦隔腫瘍、悪性中皮腫
耳鼻科領域悪性腫瘍 甲状腺腫瘍、咽頭がん、喉頭がん
消化器領域悪性腫瘍 食道がん、胃がん、十二指腸がん、小腸がん、結腸・直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、消化管間質性腫瘍(GIST)、腹膜がん
乳がん
皮膚領域悪性腫瘍 悪性黒色腫、基底細胞がん、有棘細胞がん
泌尿器領域悪性腫瘍 腎細胞がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん
婦人科領域悪性腫瘍 子宮頚がん・体がん、卵巣がん、絨毛性腫瘍
神経内分泌腫瘍
骨・軟部組織悪性腫瘍
原発不明がん

治療を受けていただける基準

  • 16歳以上の方
  • 日常生活の制限度合いを示すパフォーマンスステータス(PS)*が0~2に当てはまる方
  • 2~3時間の成分採血に耐えられる良好な心臓血管系の機能を有すること など
PSの基準

0:無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等に振る舞える。
1:軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる。例えば軽い家事、事務など。
2:歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともある。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。
3:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助を要し、日中の50%以上は就床している。
4:身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。

治療の適応外になる場合

  • 妊娠している方
  • 一部のウイルス感染症のある場合
  • 血が止まりにくい・固まりやすい病態を合併している場合 など

他にも実施条件がございます。セカンドオピニオン外来時および、その後に施行する事前検査をもとに症例検討会を実施、個別に適格性を判断いたします。

診療内容

生体は外来抗原(異物)の侵入に対して、『免疫』という防御システムで異物を排除する機構が備わっています。一方で、我々の体にできた「がん」についてもある程度の排除機構をもつことがわかってきました。これを応用した治療法が、がんの免疫療法で、がん治療の3大療法(外科的手術治療、放射線治療、抗がん剤治療)に加え現在、第4の治療法として着目されています。
がん免疫療法は歴史が浅く、発展途中の治療法であり、すべてのがんに効果があるとは限りません。すでに大きくなったがんや、進行の速いがんには、その治療効果を十分に発揮するには難しい場合もあります。しかし、免疫療法は副作用が少なく、生活の質(QOL: Quality of Life)を保ちながら行える治療法です。

樹状細胞ワクチン療法について

樹状細胞は免疫細胞の一種ですが、直接がん細胞を攻撃するのではなく、がん細胞の目印(がん抗原)を覚え、その目印をリンパ球に伝達、攻撃するよう働きかける司令的役割を担った細胞です。「樹状細胞ワクチン療法」は、人工がん抗原を覚え込ませた樹状細胞(樹状細胞ワクチン)を体の外で大量に作製し、ワクチンとして注射することで、体の中でがんに対する免疫を誘導させてがん細胞を攻撃する治療です。
「樹状細胞ワクチン療法」では、患者さまご自身の血液から樹状細胞ワクチンを作製し治療に用います。具体的には、成分採血(アフェレーシス)という方法で2~3時間かけて患者さまから樹状細胞のもととなる血液成分(単球)を採取します。次に採取した単球を試験管内で樹状細胞へと誘導し、さらに人工がん抗原を加え、樹状細胞ワクチンにします。作製した樹状細胞ワクチンは専用容器で凍結保存し安全性を確認した後、ピシバニールというお薬と一緒に、両脇の内側及び足の付け根に皮内注射します。注射は2週間隔で7回行います。通常、1回の成分採血で7回分以上の樹状細胞ワクチンを作製できますが、治療に必要な本数に満たない場合、再度成分採血を行うことがあります。再度の成分採血の場合にも別途費用がかかります。

治療の流れ

相談まで

かかりつけ病院の主治医の先生とご相談のうえ、了解をいただき、セカンドオピニオン外来をお申し込みください。
※セカンドオピニオン外来は完全予約制となっております。
※セカンドオピニオン外来の日までに必要な資料(診療情報提供書・検査データ・画像データ等)をお送りいただきます。なお状況により、郵送ではなくご持参頂く場合があります。

治療の流れ

基本的なイメージになります。

img-immunotherapy-flow-figure.png

料金(税抜)

樹状細胞ワクチン療法は公的保険が適応されないため、費用は全額自己負担です。

セカンドオピニオン 30分 20,000円
(その後30分を超える毎に20,000円)
事前検査 75,000円~
治療にかかる費用
成分採血、ワクチン作製料、ワクチン7回分施術料など
1,779,570円~
がんの種類、ワクチン作製の際に用いる抗原・ペプチドの種類(人工がん抗原)によって料金が変わります

受診方法

免疫療法外来の受診を希望される場合は、最初にセカンドオピニオン外来を受診して頂く必要があります。
お申込み方法等詳細は、セカンドオピニオン外来をご参照ください。免疫療法外来担当医が担当致します。

医師紹介

氏名 役職・専門・出身 資格等
鈴木 慶一(すずき けいいち)
<役職>
外科副部長、腫瘍センター副センター長

<専門>
外科一般、肝胆膵外科
<出身>
群馬大学医学部(1995年卒業)
慶應義塾大学大学院(2005年修了)
日本外科学会外科専門医・指導医
日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本肝胆膵外科学会認定高度技能指導医

医学博士
石谷 健(いしたに けん)
<役職>
婦人科医長

<専門>
婦人科腫瘍、更年期医学
<出身>
慶應義塾大学医学部(1994年卒業)
慶應義塾大学大学院医学研究科(2004年修了)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医・指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構マンモグラフィ読影認定医
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
母体保護法指定医

東京女子医科大学非常勤講師
医学博士
池田 勝臣(いけだ まさおみ)
<役職>
泌尿器科医長

<専門>
泌尿器科悪性腫瘍、泌尿器科一般
<出身>
北里大学医学部(2003年卒業)
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医

医学博士
中山 莊平(なかやま そうへい)
<役職>
呼吸器内科医員

<専門>
呼吸器一般・肺癌
<出身>
慶應義塾大学医学部(2003年卒業)
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会専門医
がん治療認定医
日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医
日本医師会認定産業医