東北地方太平洋沖地震 北里大学海洋生命科学部 震災復興支援プログラム

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北里大学海洋生命科学部「学術的震災復興支援プログラム」の立ち上げに当たって

トップ 東日本大震災による本学の被災状況と対策北里大学海洋生命科学部「学術的震災復興支援プログラム」の立ち上げに当たって

平成23年8月11日
北里大学海洋生命科学部長
緒方 武比古


I . 震災への対応

 2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災は多くの人々の命と生活を奪い去っていきました。被災された方々、震災から5カ月を経た今も厳しい状況の中におられる方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 大震災は岩手県大船渡市に所在する北里大学海洋生命科学部・水産学研究科にも大きな人的・物的・心的被害をもたらしました。津波は3分の1に当たる学生アパートを全壊流失させました。三陸キャンパスは津波襲来こそ免れたものの、老朽化による影響が懸念されていた3棟の校舎をはじめ、教育・研究の要ともいえる海水揚水システムが損壊し、使用不能の状態です。加えて、崖崩れや道路の損壊など、周辺環境にも不安要因をかかえ、学生諸君の安全を確保することはきわめて厳しい状況となりました。

 学生諸君の心身の安全を確保し、入学時に約束した教育の機会と環境を提供することは大学の責務です。北里大学は、安全確保と大学の責務を果たすべく、平成23年度から平成27年度までの5年間、教育・研究の拠点を相模原キャンパスに移すこととしました。4月からは他学部校舎の一部などを間借りしながら、教育研究活動の再開に鋭意努めてきたところです。この間、学内外から賜りました心強い激励と多大なご支援に心より感謝申し上げます。お陰さまで、連休明けより授業を再開でき今週末をもって前期日程を終了いたします。卒論・大学院研究も少しずつ進んでいるところです。

 震災直後の大学周辺の光景は、過去に大災害によって滅び去った都市・文明の末路さえ想起させるものでした。また、人類は文明をいかに発達させようとも地球環境の枠組みの中で生息する生物にすぎないことを強く認識させるものでした。しかしながら、人類はそのたびに惨禍を乗り越え、今につなげてきました。科学・技術は両刃の剣ともいわれますが、災害に学び、自然への理解を深めることが復興に大きな役割を果たしてきたことも確かなことと考えます。

 大学は、人材育成、研究成果をもって社会に貢献する責務を有します。被災地の復興が大きな課題となっている今、何よりも学術的サポートを必要とする領域においてこそ大学はその責務を果たすべきと考えます。
  産業分野における被害は水産分野が著しく、基盤となる船舶、港、養殖施設、加工施設の多くが失われました。増養殖業も種苗そのものの喪失も含め、再開は困難を極めています。沿岸環境がどのように変化し、それがどのように生態系や生物生産に影響するのか、さらにはその回復過程はどのようなものか、などを把握することも今後の水産業にとって大きな課題です。水産学、海洋生命科学が取り組むべき課題は数多くあると認識します。


II . 海洋生命科学部・水産学研究科の学術的震災復興支援に関わる基本方針

 海洋生命科学部は昭和47年に設置されて以来およそ40年にわたって、地域の方々に支えられながら、教育、研究、社会貢献に取り組んできました。研究活動においては、世界を視野に入れながらも三陸沿岸の環境、生物、水産業に関わる知見を蓄積してきました。東北地方太平洋沿岸の水産・海洋系調査研究機関の多くが壊滅的被害を受けた中、本学部は、それら機関と手を携えながら、水産業、沿岸環境の復興、回復に貢献しなければならないと認識しています。

 また、海洋生命科学分野において復興に貢献できる優秀な人材を育成することも重要な役割です。私達にできることは限られているかもしれません。しかし、三陸に足場を置いてきた、そして大震災をともに経験した本学部だからこそできることがあると考えます。

 上述のように、本学部は震災以来今日まで教育環境の再建に向けた活動に専心してきました。この間も個々の研究者レベルでさまざまな復興支援活動に取り組んできましたが、これらを組織的なプログラムとして展開するにはやや時間が必要でした。ここに海洋生命科学部・水産学研究科(来年度より海洋生命科学研究科に改称予定)は、これまでの学術的蓄積と三陸キャンパス施設の一部を活用し、独自の「震災復興支援プログラム」を展開することを表明します。プログラムの基本方針は以下のとおりです。


  1. 学部・研究科の学術的蓄積を背景に、三陸キャンパス施設の一部を活用して学部独自の復興支援プログラム〔 (1) 生物相・環境変化およびその回復過程の調査・研究、(2) 増養殖業復興に向けた基礎的研究、(3) 調査研究成果の情報発信 〕を構築・展開します。
  2. 地域水産業者からの施設利用など具体的な要望に対しては、可能な限り対応してゆきます。
  3. 「学術的復興支援プログラム推進委員会」を設置し、支援・研究活動の組織化、プログラム構築・展開、調査・研究成果の発信、全学的支援活動、および他機関・学協会・地方自治体などにより展開されるプログラムとの連携を推進します。
  4. 被災地域の水産業復興に資する調査、研究を行うために、三陸キャンパスの施設を一部共同利用施設(資源、環境調査、種苗生産など)として運用します。
  5. 三陸研修所を上記活動に資する宿泊施設として当面活用します。