NEWS & REPORTS

2024.01.05

2023

ファカルティリポートNo.4

第37回一般教育部セミナーが開催されました

 2023年11月20日、第37回一般教育部セミナーが開催されました。自然科学教育センター化学単位の江川徹教授が、「量子力学計算を用いた分子ギアの動作解析」というタイトルで、最近の研究成果についてご講演されました。

 分子ギアとは、ナノマシンの一部として機能する歯車のような分子であり、現在、実験的および理論的な研究が広く行われています。江川先生は「量子力学に支配される原子や分子が、本当に歯車として機能するのかどうか」という点に疑問をもち、この研究に着手しました。先生が長年携わってきた分子振動分光学の量子力学的解析手法を用いて、分子ギアの動作をシミュレーションによって再現しました。その結果、静止していた歯車はいつの間にか勝手に動き回り、回転していた歯車は噛み合わせが外れてしまうなど、量子力学に支配された予測不可能な動きをすることが明らかになり、分子ギアは実際の歯車のようにはコントロールできないことを示しました。

 江川先生のご講演は、分子の回転運動を分子模型を用いて説明したり、実際にトンネル効果が起こる様子をスライド上で動かして示したりするなど、専門的な内容を、ポイントを押さえ、かつ、皆が理解できるように工夫されており、非常にわかりやすいご講演でした。

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