NEWS & REPORTS
2025.04.16
2025
ファカルティリポートNo.1
新任教員自己紹介(人文社会・田中 伸明 講師)
みなさん、こんにちは。4月から北里大学一般教育部・人文社会科学単位に着任した田中伸明と申します。主に「言語と文化」でドイツ語を教えるほか、大学基礎演習などの教養科目も担当します。どうぞよろしくお願いします。
私はこれまで、プロイセンのフリードリヒ大王の宮廷音楽の研究に取り組んできました。ジャガイモ栽培をドイツに普及させる礎を築いたこの王は、政治的に有能であっただけでなく様々な芸術的才能にも恵まれ、特にフルートの演奏技量はプロ顔負けでした。しかし、そんな王が情熱を傾けた宮廷音楽やそこで演奏した音楽家については謎が多く、解明すべきことが多々残されています。自分が行う調査や研究を通じて、これまで誰も知らなかった事実が明らかになるーー今までの研究を通じて私は、そうした感動的瞬間に何度か立ち会ってきました。普段は古い資料や文献と向き合って筆跡や透かしを調べたり、文字を解読したりという地味な作業をしていますが(デジタル化が進み、昔は現地の図書館でしか調べられなかった多くの資料を、日本の研究室で見ることができます!)、地道に続けた作業から仮説を組み立て論証していくプロセスはとても楽しく、研究者としては充実した日々を過ごすことができています。人文系の研究内容は、皆さんにとって馴染みが薄いと思いますが、「わからないことを調べ明らかにしていく」という基本的な営みは、他の学問分野と大きく変わるものではありません。授業などの機会を通じて、人文学における研究の営みの一端を紹介していければと考えています。
修士課程からはドイツに留学し、2023年末に完全帰国するまで約7年間滞在していました。留学前、海外は旅行ですらほとんど行ったことがなく、家族の誰もパスポートを持っていない家庭で育ちましたが(それにも関わらず、ドイツ留学に理解を示し応援してくれた両親にはとても感謝しています)、今ではドイツ語や英語といった外国語を、論文執筆や学会発表といった場で問題なく使うことができる水準で身につけています。また、現地での滞在を通じて、語学だけでなく、ヨーロッパの慣習や文化を直に学び体験する機会にも恵まれてきました。語学の授業では、単に言語の教授にとどまらず、西洋の文化や社会に関する内容も積極的に発信していくつもりです。皆さんの大学一年次の学びが実り豊かなものになるよう、他の先生方とも協働しながら尽力していきます。
私はこれまで、プロイセンのフリードリヒ大王の宮廷音楽の研究に取り組んできました。ジャガイモ栽培をドイツに普及させる礎を築いたこの王は、政治的に有能であっただけでなく様々な芸術的才能にも恵まれ、特にフルートの演奏技量はプロ顔負けでした。しかし、そんな王が情熱を傾けた宮廷音楽やそこで演奏した音楽家については謎が多く、解明すべきことが多々残されています。自分が行う調査や研究を通じて、これまで誰も知らなかった事実が明らかになるーー今までの研究を通じて私は、そうした感動的瞬間に何度か立ち会ってきました。普段は古い資料や文献と向き合って筆跡や透かしを調べたり、文字を解読したりという地味な作業をしていますが(デジタル化が進み、昔は現地の図書館でしか調べられなかった多くの資料を、日本の研究室で見ることができます!)、地道に続けた作業から仮説を組み立て論証していくプロセスはとても楽しく、研究者としては充実した日々を過ごすことができています。人文系の研究内容は、皆さんにとって馴染みが薄いと思いますが、「わからないことを調べ明らかにしていく」という基本的な営みは、他の学問分野と大きく変わるものではありません。授業などの機会を通じて、人文学における研究の営みの一端を紹介していければと考えています。
修士課程からはドイツに留学し、2023年末に完全帰国するまで約7年間滞在していました。留学前、海外は旅行ですらほとんど行ったことがなく、家族の誰もパスポートを持っていない家庭で育ちましたが(それにも関わらず、ドイツ留学に理解を示し応援してくれた両親にはとても感謝しています)、今ではドイツ語や英語といった外国語を、論文執筆や学会発表といった場で問題なく使うことができる水準で身につけています。また、現地での滞在を通じて、語学だけでなく、ヨーロッパの慣習や文化を直に学び体験する機会にも恵まれてきました。語学の授業では、単に言語の教授にとどまらず、西洋の文化や社会に関する内容も積極的に発信していくつもりです。皆さんの大学一年次の学びが実り豊かなものになるよう、他の先生方とも協働しながら尽力していきます。
修道院で調査をした際に見つけた透かし。18世紀オーストリア地域でよくみられた月が3つ並んでいる種類のもので、この史料がオーストリアで成立した可能性が高いことを示唆している。書かれている作品はプロイセンの宮廷音楽家フランツ・ベンダのヴァイオリン・ソナタ。プロイセンから遠く離れたオーストリアでも楽譜が書き写されていたという事実からは、ベンダという今日では全く忘れられた音楽家が、当時いかに著名で愛好されていたかがわかる。