認知症ってどんな病気
認知症とは
認知機能が、後天的な脳の障害によって、持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたした状態。

- 加齢によるもの忘れ
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- 体験の一部を忘れる
- ヒントを与えられると思い出す
- 時間や場所などの見当がつく
- 日常生活に支障はない
- 認知症によるもの忘れ
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- 体験全体を忘れる
- ヒントを与えられても思い出せない
- 時間や場所などがわからない
- 日常生活に支障がある
- 新しい出来事を記憶できない
認知症や認知症類似の症状の原因になる疾患
原因 | 疾患 |
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神経変性疾患 | アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症 |
脳血管障害 | 脳梗塞、脳出血、脳動脈奇形、モヤモヤ病 |
感染症・炎症 | 脳炎・慢性髄膜炎、神経梅毒、エイズ、クロイツフェルトヤコブ病、膠原病、進行麻痺など |
頭蓋内病変 | 正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍など ※頭部外傷でも生じる |
代謝障害 内分泌異常 |
肝障害、腎障害、糖尿病、甲状腺、副甲状腺機能低下、副腎機能、電解質異常(Na、Ca、K、Mg) |
低酸素性障害 | 心疾患、呼吸器疾患、一酸化炭素中毒 |
ビタミン欠乏症 | ビタミンB1・B12、葉酸、ニコチン酸 |
中毒性疾患 | 薬剤(抗精神病薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、抗パーキンソン薬、抗コリン薬、抗てんかん薬、抗腫瘍薬、副腎皮質ホルモン など)、金属(鉛、有機水銀 など) |
精神科疾患 | うつ病(仮性認知症) |
認知症の4大疾患
病名 | 主な症状 |
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アルツハイマー型認知症(DAT(AD)) | 記憶障害・見当識障害が初期症状、実行機能障害妄想(被害妄想など)、抑うつ、徘徊、失禁など |
脳血管性認知症(VaD) | 記憶障害、実行機能障害、運動機能障害、覚醒・認識・情動の変動、抑うつ、意欲低下、人格の尖鋭化・易怒性など転倒傾向・尿失禁が初期症状 |
レビー小体型認知症(DLB) | 幻視、妄想(被害妄想・嫉妬妄想)、注意・覚醒レベルの変動、パーキンソン症状、抑うつ、不安、転倒 など 視覚認知・視覚構成障害強い |
前頭側頭型認知症(FTD) | 脱抑制、無関心・無気力、常同行為、食行動異常、被影響性亢進、人格変化が初期症状、注意の転導性亢進(注意を向けるべき以外のものに注意が移りやすいこと)・維持困難、易怒性、時刻表的生活形成、失禁など |
認知症の症状

何らかの原因によって、脳の細胞が壊れてしまい直接的に起こってしまう症状を、中核症状といいます。中核症状により、周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。
中核症状以外に、心や行動に変化が生じることがあります。これは便秘、痛み、痒みなどの体の不快な症状、服用している薬の影響、役割や張り合いの不足、失敗への恐れ、対人関係の変化が理由になることが多いようです。こうした心や行動の変化は周辺症状と呼ばれることがあります。体の不快な症状への手当て、服用している薬の減量や中止、役割や張り合いの獲得、自尊心を傷つけない周囲の人々の理解と対応によって、こうした心や行動の変化は改善することが多くあります。
認知症の人との接し方の原則

自尊心を尊重する
子供のように叱りつけたり、とんちんかんな言葉に対して頭ごなしに否定しない。
相手の視野に入ってから、話しかけたり、近づいたりする
後ろから声をかけたり、突然近づくとびっくりして興奮してしまったり、パニックを起こすことがあります。相手の視界に入ってから、話しかけたり、近づいたりしましょう。
ゆっくり、穏やかに、わかりやすい言葉で簡潔に話す
一度にたくさんの話をすると混乱してしまいます。ゆっくり、穏やかに、わかりやすい言葉で簡潔に話しをしましょう。
ボディーランゲージ、道具や写真、物を使って伝える
物事の意味など理解がしづらくなっているので、身振り、手振りを入れたボディーランゲージ、道具や写真、物を使って理解を助けてあげましょう。
暮らしの場面の「わかる」「できる」を増やし、ストレスを少なくする
見当識の低下などにより、わからないことが多くなります。トイレの場所やなじみの場所を整え、暮らしの場面の「わかる」「できる」を増やし、ストレスを少なくするようにしましょう。
必ず本人なりの理由や背景がある本人を理解しようとする
逆らったり、鎮めようとばかりするのではなく、必ず本人なりの理由や背景があるので、安全に努めながら本人を理解しようと努力しましょう。