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概要

前立腺は、男性のみにある臓器のひとつです。当外来では、前立腺肥大症、前立腺がんを専門に診療しています。疾患の状態に応じた最適の治療を患者さまと相談しながら決めていきます。手術になる場合は、体への負担の少ない内視鏡手術を積極的に行っています。

対象疾患

前立腺肥大症

加齢とともに前立腺が肥大し、その影響で尿道が圧迫されて排尿障害が生じる疾患です。

前立腺がん

日本で近年、急増しているがんです。家族歴や加齢が関係しています。早期発見にPSA(前立腺特異抗原)検査が有効とされています。

おもな症状

尿が出にくい、尿が近い(頻尿)、夜間頻尿、尿の切れが悪い、残尿感、PSA値が高い

治療内容

前立腺肥大症

排尿状態に関するアンケート式問診、尿検査、尿流動態測定(特殊なトイレで排尿していただき、その状態を測定)、残尿測定(超音波を腹部に当てて計測)などにより診断し、それぞれの疾患の状態に応じた最適の治療を選択します。 軽症例では、行動療法と呼ばれる日常生活での工夫や運動療法で改善を期待できるものもあります。薬物治療に関しては、近年非常に効果の優れた薬剤が開発されてきており、それぞれの症状、病状に適した処方が可能となっています。投薬により十分な改善が見られない、または尿がまったく出せなくなる状態(尿閉)になるような場合は、手術の適用になります。当院では前立腺肥大症には開腹手術ではなく、内視鏡手術を行っています。電気メスを使用した経尿道的前立腺切除術(TUR-P)およびホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP) を採用し、それぞれの症例に適した手術を選択します。手術は通常、下半身麻酔で行われ、1週間前後の入院になります。

前立腺がん

PSA検診

前立腺がんの検診は、一般的に血液検査による前立腺特異抗原(PSA)の測定から始めます。正常値は 4.0ng/ml 未満とされていますが、これは目安としての値です。正常値未満でがんが診断されることもあれば、正常値を大きく上回っていてもがんが見つからないこともあります。ただし、PSA値が高くなるほど、前立腺がんの発見率が上がるのも確かです。PSA上昇は、がん以外の原因も多いため、いろいろな要素を考慮しながら診断を進めていく必要があります。
最終的な前立腺がんの確定診断には、前立腺の組織を直接針で刺して採取して、顕微鏡的に病理診断する「経直腸的前立腺針生検(14カ所)」が必要になります。出血、感染などの不利益を最小限にするため、前立腺がんの危険因子である家族歴、年齢、健康状態などを考慮するほか、エコー所見やMRI所見が有用なこともあります。これらの要素を総合的に判断して、生検の必要性を決めていきます。

治療法

前立腺がんの治療法にはたくさんの選択肢があります。それぞれの患者さまの状態(年齢、悪性度、進行度など)により、適した治療法が異なります。各種治療法の効果、起こりうる合併症などを説明し、最適な治療法を一緒に考えていきます。
当院では、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、日本がん治療認定医機構暫定教育医の資格を有する常勤医が診療に当たります。

  • PSA監視療法(無治療経過観察)
    前立腺がんのなかには、治療の必要がなく、PSAの変動などにより経過を観察するだけでよいものもあります。PSA値、がん組織の悪性度、予想されるがんの進展度などを評価しながら、注意深く経過を診ていきます。経過観察中に積極的治療が必要と判断された場合には、個々の症状に見合った治療法を相談しながら決めていくことになります。

  • 根治手術
    低侵襲な腹腔鏡手術やロボット支援手術を行います。当院では腹腔鏡下前立腺摘除術の施設基準認定を2007年5月に取得し、腹腔鏡手術を積極的に行っていますが、多くの症例で良好な成績を達成しています。手術は内視鏡手術センターで行い、執刀は腹腔鏡手術技術認定(日本泌尿器内視鏡学会+日本内視鏡外科学会)を有する常勤医が担当します。

  • 放射線治療
    前立腺がんの放射線治療には多くの種類があります。微小な放射性物質を前立腺の組織内に埋め込む組織内照射(密封小線源放射線治療)、強度変調放射線治療 (IMRT)、三次元原体照射などがあり、それぞれに特徴があります。疾患の状態、患者さまの状態・希望などを考慮したうえで、治療法を相談しながら選択していただくようにしています。

  • 内分泌治療・抗がん剤治療
    前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)を抑制することで治療ができます。以前は両側の精巣を摘除する手術が一般的でしたが、現在は注射剤や内服薬で同等の効果が得られるようになりました。一般には、手術や放射線治療で根治することが困難な方に適用されます。近年、内分泌療法に使用される薬剤の開発は目覚ましく、多くの新薬が使用できるようになってきています。以前は効果がないとされた前立腺がんに対する抗がん剤も数多く開発され、非常に有効な効果が得られるようになりました。

医師紹介

担当医の入江啓医師、池田勝臣医師は日本泌尿器内視鏡学会と日本内視鏡外科学会の腹腔鏡手術認定医で、豊富な手術経験を有しています。また、がん治療においても、それぞれ日本がん治療認定医機構 暫定教育医、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医の資格を持ち、日々進歩するがん治療法に積極的に取り組んでいます。

氏名 役職・専門・出身 資格等
入江 啓(いりえ あきら)
<役職>
病院長補佐、泌尿器科部長、中央手術センター長、内視鏡手術センター副センター長

<専門>
泌尿器科一般、泌尿器科悪性腫瘍
<出身>
北里大学医学部(1985年卒業)
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本泌尿器科学会泌尿器腹腔鏡技術認定
日本内視鏡外科学会泌尿器腹腔鏡技術認定
日本がん治療認定医機構暫定教育医
身体障害者福祉法指定医

北里大学医学部泌尿器科学教授
医学博士
池田 勝臣(いけだ まさおみ)
<役職>
泌尿器科医長

<専門>
泌尿器科悪性腫瘍、泌尿器科一般
<出身>
北里大学医学部(2003年卒業)
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医

医学博士

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