教職員のための利用ガイド

教職員のための利用ガイド

はじめに ~このガイドの目的~

現在の世の中の動きは、以前と比べて明らかに加速しています。同時に価値観も時代とともに多様化してきています。そのような状況下では、生活をしていく以上、様々なストレスが私たちには加わってきます。それは、大学生にとっても例外ではありません。

昔から大学生時代は、様々な悩みに遭遇するといわれます。勉強、友人関係、教員との関係、自分の健康、将来の目標・進路。。。など様々です。それらも昨今は多様化しています。メンタルヘルスに関する悩みを抱える学生も増加しています。ただでさえ、自分の悩みを他人に打ち明けるのには勇気が必要です。さらに最近は、悩みを相談できるような親しい友人がいない、孤独な(孤立した)若者も増えています。一方、高校生気分が抜け出ないため大学生生活に適応できない学生も少なからず存在します。これらの悩みの相談に応じるのが学生相談室です。近年の急速な変化を示す社会状況やそれに伴い増大化する種々のストレスの状況下では、学生相談は不可欠となっています。

北里大学各キャンパスに存在する学生相談室は、教職員の皆様と協力しながら学生を心理的に支援し、学生生活を円滑に行えるように援助する健康管理センターの一部署です。学生相談室を適切に、かつ有効に利用することは、学生の生活の質を高めるだけではなく、様々な悩みを抱える学生を早期に認知し、適切な支援をするためには有効と考えています。

今回、北里大学のすべてのキャンパスの学生相談室カウンセラーが中心となり、教職員の皆様がどのように学生相談室を利用したらよいかを解説した「教職員のための学生相談室利用ガイド」を改訂致しました。2005年に発行した初版を現在の社会状況の変化やキャンパスのシステムの変化などを考慮して改訂致しました。もちろん、今後も皆様のご意見などを頂きながらさらによりよいガイドに修正していく予定です。

このガイドが有効に活用され、北里大学生の充実したキャンパスライフの一助となれば幸いです。

北里大学健康管理センター
センター長 守屋達美
  • 第1部
  • 第2部 Q&A
  • 全文(PDF版)

“学生相談室”の存在意義

学生相談活動の大きな目的は、大学に学ぶ全ての学生の人格的発達への専門的な援助です。その過程として心理療法などが必要となる場合はありますが、学生相談室は治療機関ではなく、あくまでも教育機関の一つです。
我が国の学生相談の基本的な在り方については2000年に出された「大学における学生生活の充実方策について」報告書(文部省・通称:廣中レポート)※1、2007年に出された「大学における学生相談体制の充実方策について」報告書(日本学生支援機構・通称:苫米地レポート) ※ 2に詳しく述べられています。
ここでは本学の様に精神科をもつ病院が隣接するような環境にありながら、なぜ“学生相談室”が本学内に開かれているのか、その存在意義についてまとめました。

その1 大学生の基本は“学ぶこと”ですが、心に悩みや葛藤を抱えていると学習意欲も阻害されてしまいます。日常生活の中でそのような学生をいかに早期発見し、援助の手をさしのべるかがポイントとなります。

その2 青年期は、“アイデンティティの確立”という言葉に象徴されるように、理想と現実の狭間で戸惑い、葛藤しながら自分の道を探していく時期といわれています。年齢相応の精神発達に即した専門的な援助ができる身近な存在が必要です。

その3 学生相談の基本姿勢は、学生たちが自分の抱えている問題にしっかり向き合い、自分の力で解決していくための支えとなることです。学生たちがカウンセリングを通して自分自身の力で問題を解決し、その達成感を経験することは教育的観点からも重要な意味を持ちます。

その4 学生相談は、その学生の抱えている問題の意味を、育った環境、本人の性格、友人や教員・親など周囲との関係、学業への影響などの個別性を重視して捉え、内的な発達課題の解決を援助していきます。1人1人の学生を唯一の存在として捉え援助していく姿勢は、学生相談室の基本を支えるものです。

その5 学生の抱える問題も多様化・複雑化しており、学生と接する立場にある教職員へのコンサルテ−ションも、学生相談室の重要な役割となってきています。これからの時代は学生が抱える問題を一個人のこととしてだけ扱うのではなく、大学全体でケアしていくサポート体制が必要不可欠となり、そのコーディネーター的な役割を担うのが学生相談室です。

その6 問題が起こる前の予防教育も学生相談室の重要な役割です。入学時オリエンテーションや心身の健康調査、来談学生を通して見えてくる大学制度上の問題点などを、予防的な観点から捉え、大学全体に提言ができるのも、学内にある学生相談室ならではの利点であり、特徴です。

その7 災害、事故などの緊急事象は社会にも個人にも大きな影響を及ぼします。心理臨床の観点から個人や大学組織に専門的な支援を行うことも学生相談室の重要な役割です。

学生相談室は悩みを抱える学生の個別相談に乗るだけでなく、コーディネーターやコンサルタントとして組織全体の精神健康に貢献しています。目立ちませんが、例えてみれば大学生活という舞台を支える為に不可欠な、黒子の様な存在なのです。
※1「大学における学生生活の充実方策について」報告書(文部省・通称:廣中レポート:2000)における学生相談の基本的考え方
  • 学生相談は全ての学生を対象として、学生の様々な悩みに応えることにより、その人間的な成長を図るものであり、今後は、学生相談の機能を学生の人間形成を促すものとして捉え直し、大学教育の一環として位置づける必要があること
  • 学生の心の悩みに対して専門的な心理的面接技能を有する(専任)カウンセラーを配置し、また教職員全体が学生の相談に応じる責務があるという認識を持つ必要があること
  • 学生相談の現場で得られた知見がシステムとして適切に大学職員に伝わる仕組みをととのえること
  • 学生のあらゆる相談に応じる全学的な「何でも相談窓口」を設け、そこで基本的な相談に応じつつ、相談内容に応じて適切な学内外の相談機関や教職員を紹介できる体制が望ましいこと
  • 学生のプライバシーには十分に配慮した上で、学生の修学状況をチェックし、不登校学生に対するきめ細やかな相談・援助を行っていくことがもとめられること
※2「大学における学生相談体制の充実方策について」報告書(日本学生支援機構・通称:苫米地レポート:2007)における学生相談の基本的考え方
  1. 教育の一環としての学生支援・学生相談という理念に基づき、すべての教職員と学生相談の専門家であるカウンセラーとの連携・協働によって学生支援は達成される。
  2. 大学は、学生期の課題を念頭に置きつつ、学生の多様化という現状を常に把握し、学生の個別ニーズに応じた学生支援を提供できるよう大学全体の学生支援力を強化していく必要がある。
  3. 日 常的学生支援、制度化された学生支援、専門的学生支援の3階層モデルによる総合的な学生支援体制を各大学の個性・特色を生かして整備することが望まれる。 また、各層の活動がより効果を発揮するために、教職員の立場に応じた研修、情報交換および提言、基礎となる研究等の機能が重要である。

学生支援の3階層モデル

各キャンパス学生相談室の連絡先

教職員のご利用の場合は、まず、所属キャンパス学生相談室に電話もしくはメールでお問い合わせください。学生や学生のご家族が利用を希望する場合は、所属キャンパス学生相談室に連絡を入れて頂くようにお伝えください。
その他、ご不明な点につきましては、最寄りの学生相談室までお問い合わせください。
相模原キャンパス(健康管理センター)
TEL:042-778-9732(直通) gakusou@kitasato-u.ac.jp(予約専用)

白金キャンパス(薬学部)
TEL:03-5791-6458(直通) pgakusou@kitasato-u.ac.jp(予約専用)

十和田キャンパス (獣医学部)
TEL: 0176-24-9466(直通)

新潟キャンパス(保健衛生専門学院)
TEL: 025-779-4511(事務室)内線113(学務係)

北本キャンパス(看護専門学校)
TEL: 048-593-6800(事務室経由)

学生相談室の基礎知識

Q1 どのような場所ですか?
A 本学北里大学各キャンパスに存在する学生相談室は、教職員の皆様と協力しながら学生を心理的に支援し、学生生活を円滑に行えるように援助する健康管理センターの一部署です。
Q2 誰が利用できますか?
A 本学の在学生であれば、無料で相談を受けることができます。

また、本学在学生に関することであれば、そのご家族や教職員の方もご利用いただけます。なお、休学中の学生の相談も受けることができます。
Q3 どのような相談ができますか?
A 教職員の方からは、学生に関する相談をお受けしています。
教職員の方々が学生に関わる際に、学生相談室の支援を得たいと思われる場合にご利用ください。

具体的には、言動が気がかりだと感じる学生、望ましい対人関係が築けない学生、社会性に欠けていると思われる学生、精神的に調子の悪い学生等に対し、どのように関わるべきかと悩まれたり、また、気になる学生についての理解を深めたいと思われたりした時にはご相談ください。その他、学生に学生相談室を利用するよう勧めたくとも、どのように勧めていいのかわからない、学生相談室のカウンセラーと共に学生の支援を行いたいなどのご相談にも応じています。(Q11利用を勧めたけれど、利用したがらない場合にはどうすればいいですか? また、Q13何度か勧めたが本人が学生相談室を利用したがらない場合、教職員が相談することは可能ですか? もご参照下さい。)

なお、学生からは、学業、進路、課外活動、将来、性格、対人関係、心身の健康、性別違和や性的指向など、さまざまな事柄に関する相談を幅広くお受けしています。学生相談室は学生生活をサポートするところですので、学生にもお気軽にご紹介ください。
Q4 学生相談室では、誰が相談を受けるのですか?
A カウンセラーがご相談をお受けします。学生相談室のカウンセラーは、学生が抱えている問題を整理し、学生と一緒に解決方法を話し合う、心理支援の専門家です。

学生に対しては、Q3に挙げたような様々な事柄について、その解決方法を明確にしたり、問題解決への取り組みを支援したりすることが、カウンセラーの主な役割になります。また、カウンセラーは精神科医ではありませんので、医学的な診断や治療が必要な学生には、医療機関を紹介/案内し受診を勧めています。

教職員の方に対しては、教職員の方が学生と関わる中で困った時に、その状況の整理を行うとともに、学生に関する理解を深め、その学生と関わる際の方針や方向性などを一緒に考えることが、カウンセラーの主な役割になります。また、学生相談室に紹介したいと考えている学生について、どのように紹介していただくか、紹介した後の関わりなどについても、ご相談を受けることができます。
Q5 電話での相談はできますか?
A 教職員のご利用の場合、電話での問い合わせをお受けしています。(場合によっては、来室をお願いすることがあります。)

学生やご家族のご利用の場合、原則電話のみのご相談はお受けしておりません。学生相談室にて直接お会いし、お話を伺っております。
Q6 相談内容の秘密は守られますか?
A はい、守られます。

学生相談室では相談にいらしている方々の秘密を守る義務がありますので、学生の相談室利用の有無や利用状況、相談内容などについて、原則的に、お伝えすることはできません。

ただし、緊急時(学生が自他に危害を加える恐れがある場合又は法による定めがある場合)は、学生の保護が最優先となりますので、守秘義務の例外として、学生の同意が得られない場合でも、学生相談室は危機対応に必要な情報を開示し、関係教職員の方々と連携して対応にあたります。

なお、カウンセラーとの情報共有の方法については、Q9をご参照ください。
Q7 医療機関等は紹介/案内してもらえますか?
A ご紹介/ご案内することができます。

学生の状態により、医療機関等の利用が望ましいと判断された場合に、外部機関をご紹介/ご案内いたします。学生自身が受診を望まない場合には、学生が抱える問題や症状について話し合い、受診の必要性や医療機関等で受けられるケアについて説明をしながら、受診を勧めています。医療機関紹介後は、学生相談室でのカウンセリングを終了する場合も、通院と並行してカウンセリングを提供する場合もあります。
緊急性が高い時には、速やかに所属部署にご連絡ください。


Q8 所属キャンパス以外の学生が相模原キャンパス学生相談室を利用したい時にはどうすればいいですか?
A まずは所属キャンパスの学生相談室(もしくは事務室) にお問い合わせください。

学生相談室の利用方法

Q9 教職員はカウンセラーと情報共有することはできますか?
A 学生からの了承を得ていただくことで、教職員と学生相談室間で情報共有が可能となり、教職員と学生相談室による学生に対する協働支援が円滑になります。以下の流れをご参照ください。
  1. 学生ご本人から、教職員の方と担当カウンセラーが話をすることについての了解を得てください。
  2. 学生を通して、担当カウンセラーに教職員の方が連携を取りたいという希望があることを伝えるようにしてください。
  3. 学生から担当カウンセラーに伝わったかどうかの確認が取れましたら、直接学生相談室の方に連絡を頂くか、2.の時点で担当カウンセラーから直接連絡をさせて頂きます。
Q10 学生をどのように紹介すればいいですか?
A ご紹介頂く際、「学生相談室に行って、もっとじっくりその問題を整理してみたらどうだろう?」などと誘ってみてください。

学生相談室では、進路や勉強、部活、友人関係などさまざまな事柄に関する相談を幅広くお受けしております。
お時間がありましたら、教職員の方も、是非一度学生相談室をご覧になってみてください。
どのような雰囲気のところなのか知って頂くと、学生に紹介しやすくなるかと思います。
教職員と学生で話し合いの上、教職員の方々から学生相談室に事前にご一報頂くことが、学生にとっては安心につながる場合もあります。
Q11 利用を勧めたけれども、利用したがらない場合にはどうすればいいですか?
A まずは、学生相談室にどのようなイメージをもっているか確認してみてください。

もし学生が「深刻な問題を抱えた学生だけが行くところ」などのイメージをもっているようでしたら、「学生相談室は皆の成長をサポートするところ」だということをご説明いただき、「気楽に利用していいんだよ」と伝えてみてください。
Q3にもありますように幅広く相談を受け付けていますので、そのことをお伝えください。また、本人が望めば、普段から接していらっしゃる教職員の方に学生相談室までついてきていただくことで、一歩を踏み出せる場合もあるかと思います。
Q12 学生相談室に紹介した後は、どうすればいいですか?
A 学生を相談室に紹介していただいた後も、引き続き教職員としてのかかわりや学生に対する暖かい見守りをお願い致します。

場合によっては、学生相談室のカウンセラーから教職員の方々に学生が大学生活に適応するためのサポートをお願いしたり、学生に接する上で留意していただきたい点をお伝えしたりすることもあります。この時、学生に関する情報の取り扱いには所属部署内で十分留意下さいますよう、お願いいたします。

学生相談室としては、学生と関わりのある教職員の方々に知っておいていただきたい情報を学生の同意を得た上でお伝えし、共通の認識で学生をサポートしていきたいと思っています。
Q13 何度か勧めたが本人が学生相談室を利用したがらない場合、教職員が相談することは可能ですか?
A はい、是非ご相談ください。

学生が「相談室を利用したがらない」のは、自分でも今の状況をどのように説明したらよいのかわからなかったり、周囲が感じている程、本人が困っていなかったりするのかもしれません。あるいは自ら相談に行けるほどエネルギーが残っていないのかもしれません。

求められるサポートは、学生1人1人違います。
学生の手助けになるような資源は何であるか、どのようなかかわりが学生にとって良さそうか、教職員や学生相談室として現時点でその学生にできそうなサポートは何かなどについて、学生の様子や情報を把握されている教職員の方々と一緒に考えさせて頂きます。

学生に対する際の留意点

Q14 どのような学生の様子に注意したらいいですか?
A 普段と様子が違う学生には注意を払ってください。何等かの悩みを抱えていたり、精神的に不安定になっていたりするのかもしれません。

例えば:
  • 遅刻や欠席が目立つ
  • 授業中に寝ていることが多い
  • 成績が急に悪くなった
  • 表情が冴えない、顔色が悪い
  • 過敏な反応を示す
  • 急にやせた、太った
  • 独り言や独り笑いが目立つ
  • 涙が止まらない など。
本人が大丈夫と主張しても、教職員の方からご覧になって、「いつもと違う」と感じたら、注意して様子をみてください。

また、話しが支離滅裂、動き回っている、「記憶が曖昧」「UFOに狙われている」「盗聴器が仕掛けられている」など、明らかに言動が逸脱している場合には、緊急対応が必要な状態です。問題行動発生時の学生対応については、所属部署にご確認ください
Q15 様子が気になる学生には、教職員としてどのように対応したらいいですか?
A まずは、他の教員や事務職員と気になる学生について情報交換をしてください。

必要に応じて、学生相談室もご利用ください。教職員と学生相談室で学生への対応について話し合っていきたいと思います。
Q16 学生と連絡がつかない場合の対応はどのように行えばいいですか?
A 各所属事務室に問い合わせていただき、部署内での取り決め等をご確認ください。

授業に全く出席しておらず、学生の状況が分からない時は、すぐにでも保証人に連絡した方がよい場合もありますので、詳細は各所属部署事務室にお問い合わせください。
また、「保証人に連絡しようと思うが、学生の情報を知っておきたいので学生相談室を利用しているなら教えてもらえないか」といったお問合せには、学生の同意がなければ情報をお伝えすることができませんので、Q9をご参照の上、ご対応していただければと思います。
Q17 学生相談室を利用している学生にはどう接したらいいですか?
A 今まで通り、教職員として他の学生と同じような関わりを続けていただければと思います。

特別な配慮が必要な学生については、学生の同意のもと、教職員と学生相談室で話し合っていきたいと思います。Q9もご参照ください。