医療系研究科 臨床心理学コース[修士課程]
本臨床心理学コースは、2018年4月から、 臨床心理士および公認心理師の両カリキュラムに対応しています。
本コースの特色
本学は、医学や薬学など生命科学に特化したいわゆる理系の総合大学です。多くの学生が、医療やその関連領域の職場に就職します。ここで、学ぶ知識や方法論は、分子遺伝学、分子免疫学、神経科学など先端の生命科学に基づくものです。医学部と医療衛生学部を基礎学部とする本研究科は、すべての学生に医療カウンセング学、臨床心理学、医療福祉学などの医療と人間科学の学際領域(医療人間科学)の講義を履修することを義務づけています。治療チームや研究チームの中で、主として人に関わる研究や臨床実践を学ぶ学生たちに、心や社会の問題について学び、考える機会を提供するための履修科目です。この教育システムは、人の心や社会への目差しを失わないバランスの取れた医療人や研究者を養成するために考えられ、その医療人間科学の講義を担当する教員中心に医療人間科学群が構成されています。2012年4月に創設された臨床心理学コースも医療人間科学群の教員が担当しています。本コースは、医療をはじめ、教育・福祉・産業・司法の関連領域に貢献できる臨床心理士および公認心理師の養成を目指しています。
理念・目的
本コースは、心理系、医療技術系、薬学系、看護系などを修学した者で、臨床心理士資格取得を目指し、医療・教育・福祉・産業・司法の分野で臨床心理学の専門家として、社会貫献ができる人材を主な対象として創設されました。医療系の大学院の中に設置されるという特色を生かして、医学・医療の学識も身につけた臨床心理士および公認心理師の養成を行うとともに、医療科学や臨床心理学分野での研究能力と幅広く臨床心理学を実践する専門技術を育むことを目的としています。
本コースの概要
取得できる学位
修士(医科学)又は修士(医療科学)
取得できる資格
臨床心理士資格試験受験資格
公認心理師国家試験受験資格(学部において「省令で定める科目」を履修し卒業しておくこと)
開設時期
2012年4月1日
指定
臨床心理士第1種指定大学院〔(財)日本臨床心理士資格認定協会による指定〕
※2018年4月より、公認心理師カリキュラムに対応しています。
教員の紹介
医療心理学
岩滿 優美教授
主な専門領域:医療心理学、健康心理学、サイコオンコロジー
がん、冠動脈疾患、糖尿病などの病気に罹患すると、病気や治療に対する辛さ、生活の変化に対する不安、先の見通しが立たない不確実性など様々な心理的ストレスが生じます。そして、病気を契機にそれまで抱えていた心理的問題なども顕在化しやすくなります。また、わたしたちの日常生活はストレスが多く、人間関係も複雑で、気分が落ち込むことや思い悩むこともありますが、ストレスの受け方には個人差があります。そこで、医療心理学教室では、さまざまな身体やこころの病気を抱えた方やそのご家族に対する心理的援助を目的とした研究を行っています。特に、感情抑制傾向、神経症傾向、特性不安といった心理特性を中心に、心理的ストレスとの関係に関する研究を行っています。その他、精神症状・気分状態・認知機能と描画などとの関係、精神症状・気分状態と思考・認知との関係、医療で働く心理士の役割やアイデンティティに関する研究も行っています。
さまざまなこころや身体の病気を抱えた方やそのご家族に対する心理的援助を行いたいと思っている方や研究を行いたいと考えている方、医療心理学に関心がある方をお待ちしています。
山崎 里紗助教
主な専門領域:
臨床脳神経心理学/睡眠医科学
田ヶ谷 浩邦教授
主な専門領域:精神医学、睡眠医学、疫学
深瀬 裕子准教授
主な専門領域:臨床心理学、発達心理学、高齢期心理質的研究法
市倉 加奈子准教授
主な専門領域:臨床心理学、医療心理学、緩和医療
産業精神保健学
田中 克俊教授
主な専門領域:産業精神保健学、精神医学、産業医学
近年、働く人のストレスが拡大する傾向にあり大きな社会問題となっています。産業精神保健学教室では,労働者のストレス軽減とメンタルヘルス不調の予防を図るため、労働者個人および組織に対する介入方法について様々な研究を行っています。中でも,労働者の睡眠への介入や、簡易型認知行動療法を用いたストレスマネジメントやコミュニケーション行動の改善,組織心理学的アプローチを用いた組織介入などは非常に有効な方法として注目されています。
産業保健の領域では,研究を行うだけでなく、その成果を職場での実践に橋渡しすることも非常に大切です。当教室では,複数の健康経営銘柄企業の他,数多くの企業および健康保険組合等からの要請を受けて,事業場の様態に合わせた介入をアレンジするとともに、そのインパクト(生産性・安全性も含めた費用効果など)の評価も実施しています。
職場のメンタルヘルス活動は一人ではできません。医師や心理・看護職,PSWなどの専門職に限らず,様々な職種の方に当教室での研究・活動に興味を持ってもらえればと思っています。
発達精神医学
水島 栄教授
主な専門領域:小児発達学、発達心理学、脳科学
アディクション心理学
村瀬 華子教授
主な専門領域:臨床心理学、アディクション(依存症・嗜癖)、認知行動療法
我々誰しもがついついネットサーフィンをし過ぎたり、動画を見すぎたり、お菓子を食べ過ぎたり、とやめようと思ってもやめられず、後で後悔することを経験していると思います。このような「やめたくてもやめられない」行為の中には医学的に「病気」と認められているもの(例:アルコール使用障害、薬物使用障害、ギャンブル障害、ゲーム障害)からそうではなくても自他の人生に深刻な影響をもたらすもの(例:暴力、性犯罪)まで多岐にわたります。そして、このような問題の原因は「だらしがないからだ」、「意志が弱いからだ」などと誤解されがちです。それゆえ、このような問題で悩む方々は世間からの批判を恐れて助けを求めにくかったり、社会復帰の過程で孤独を感じやすかったりします。
当研究室(村瀬、野村)ではこのようなアディクション(依存症・嗜癖)の問題が起こるメカニズムの理解から効果的な支援・介入方法の研究までを、医療から司法領域に渡って幅広く行っています。回復が難しいことで知られるアディクションですが、その支援は臨床心理学の分野が大きく貢献できる場でもあります。また、当研究室のメンバーは学外での教育、普及啓発活動も積極的に行っています。
当研究室の研究・活動に多くの方に興味を持っていただければと思います。
研究室ウェブサイト
野村 和孝准教授
主な専門領域:臨床心理学、司法・犯罪心理学、認知行動療法
本学は附属施設として北里大学附属臨床心理相談センターを設置しています。
センターは「臨床心理実習」を行う実習施設を兼ねています。
入学試験日程
本コースの入学試験は、推薦・一般 I 期・一般 II 期の計3回実施予定です。
日程は医療系研究科医科学専攻修士課程の入学試験日程(推薦・一般 I 期・一般 II 期)と同一です。
募集人員
推薦・一般 I 期・一般 II 期 ※ともに若干名
(事前に希望する指導教授の面接が必要です)
臨床心理士・公認心理師の概要
「臨床心理士」「公認心理師」とは、心理学や臨床心理学にもとづく専門的知識や技術を用いて、人間の"こころ"の問題にアプローチする"心の専門家"です。日本には心の問題に取り組む職種として、心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理相談員などの名称で呼ばれる人々がいますが、それぞれに明確な資格があるわけではありません。それに対して「臨床心理士」は、文部科学省の認可する財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格し、認定を受けることで取得できる"心理専門職の証"となる資格です。一方、「公認心理師」は2015年に公認心理師法が成立し、2017年に施行されました。心理職で初めての国家資格です。
臨床心理士・公認心理師になるためには?
臨床心理士になるには、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格することが必須要件となります。本コースは臨床心理士第1種指定大学院なので、修了と同時に臨床心理士資格試験の受験資格を取得できます。
公認心理師になるには、学部において「省令で定める科目」を履修し卒業した後、大学院に進学して「省令で定める科目」を履修する、あるいは省令で定める期間の実務経験を経る必要があります。本コースは公認心理師カリキュラムに2018年4月から対応していますので、学部にて必要な科目を履修し卒業した後、本コースを修了することで公認心理師国家試験の受験資格を取得できます。
修了要件と開設科目
本コースでは、53単位以上の修得が修了要件となっています。
1)専門科目(主科目及び副科目(主科目以外の授業科目)) | ||
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ただし、次の必修科目から11科目20単位、選択必修科目各群からそれぞれ2単位以上、計10単位以上、合計30単位以上を履修するものとする。 | ||
1 必修科目 | 臨床心理学特論 I/臨床心理学特論 II/臨床心理面接特論 I(心理支援に関する理論と実践)/臨床心理面接特論 II/臨床心理査定演習 I(心理的アセスメントに関する理論と実践)/臨床心理査定演習 II/臨床心理基礎実習 I/臨床心理基礎実習 II/産業精神保健学(産業・労働分野に関する理論と支援の展開)/教育分野に関する理論と支援の展開/心の健康教育に関する理論と実践 | 11科目20単位 |
2 選択必修科目A群 | 心理学研究法/心理評価・解析学※1/心理統計学 | 1科目2単位以上 |
3 選択必修科目B群 | 人格心理学/発達精神医学※2 | 1科目2単位以上 |
4 選択必修科目C群 | 家族心理学(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践) 犯罪・矯正心理学(司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開)) |
1科目2単位以上 |
5 選択必修科目D群 | 臨床精神医学(保健医療分野に関する理論と支援の展開) 医療心理学※2 障害者心理学(福祉分野に関する理論と支援の展開) |
1科目2単位以上 |
6 選択必修科目E群 | 投影法(ロールシャッハテスト中心) 心理療法 I (精神分析的心理療法) 心理療法 II (来談者中心療法・学校教育相談) |
1科目2単位以上 |
2)共通教育科目(その他の分野) | ||
1 医学研究倫理学(原則として1年次に履修) | 1科目2単位 | |
2 特別講義 | 2単位(選択科目) | |
3)演習 | 臨床心理実習 I(心理実践実習) 10単位 臨床心理実習 II 1単位 |
2科目11単位 |
4)特別研究 | 10単位 | |
5)自由取得科目(修了要件単位に含まれません) | ||
1 (その他の分野)臨床医科学 |
各4単位 | |
2 共通教育科目(その他の分野)医療人間科学 |
各2単位 |
※1:専攻分野が(その他の分野)医療人間科学の授業科目
※2:専攻分野が医療人間科学の授業科目
※3:(その他の分野)医療人間科学、臨床医科学の授業科目は自由科目とする
公認心理師受験資格に係る科目の読替について(対象:2019年3月までの臨床心理学コース修了者)
公認心理師の受験資格の特例措置(いわゆるDルート)に基づき、以下の対象者の方が本学大学院在学中に取得した科目の読み替え対応一覧ができましたのでお知らせいたします。
1.公認心理師科目との読み替えについて
本学発行の成績証明書等に基づき、単位を取得した科目が公認心理師科目との読み替え基準を満たしているかどうかについては、各自、「公認心理師受験に必要な科目のための読み替え表」で確認してください。
※読み替えの確認作業については、「公認心理師受験に必要な科目のための読み替え表」と成績証明書等で、ご自身の責任において行ってください。本学が確認して個別に通知することは行っておりません。「公認心理師受験に必要な科目のための読み替え表」は、指導教授からメールでお送りしています。確認ができない方は、医療系研究科事務室までメールでお問い合わせ願います。
2.成績証明書の請求方法について
申請の際は、記入済みの「公認心理師受験に必要な科目のための読み替え表」を提出してください。その他必要書類は、本学ホームページ「 証明書の申込方法について 」をご参照の上、ご請求ください。
「修了証明書・科目履修証明書」は、その他の証明書になります。
3.「修了証明書・科目履修証明書」の請求について
読み替え基準を満たしている方に対しては、特例措置による読み替えを含む「修了証明書・科目履修証明書」を発行します。
2018年の公認心理師試験受験申込の際に発行しますので、記入済みの「公認心理師受験に必要な科目のための読み替え表」を提出の上、上記のホームページ「証明書の申込方法について」をご確認ください。
※和文証明書の、その他の証明書になります。(1通 200円)
臨床心理士受験申請資格証明書の発行について
臨床心理士受験申請資格証明書の発行申込は、下記の書類をご提出願います。
発行までに1週間ほどかかりますので、出願期日に間に合うよう、早めの申請をお願いします。
(事務室窓口、または郵送で申請できます)
【提出書類】
- 資格証明書 (認定協会指定様式)
公印押印証明書(31KB)※使用印欄への記載の必要はありません。 - 身分証明書の写し(郵送申込の場合)
- 返信用封筒と切手(郵送返信をご希望の場合)
【郵送申請の宛先】
北里大学大学院医療系研究科事務室 教務係
〒252-0373 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
※臨床心理士受験申請資格証明書発行依頼 とご記入ください。