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扁桃体外側基底核の機能結合が恐怖記憶の形成促進に特異的に関わることを発見
―ストレス関連精神障害の発症メカニズムの解明および予防に役立つ可能性―

 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)精神保健研究所(金吉晴所長・行動医学研究部の袴田優子特別研究員ら)およびNCNP脳病態統合イメージングセンター(花川隆部長)らの研究グループは、北里大学(医療衛生学部:田ヶ谷浩邦教授・水上慎也助教、医学部:井上優介教授)等と共同で、不安を感じやすい性格傾向を有するヒトにおいて扁桃体外側基底核と前帯状皮質膝下部との機能結合が恐怖に関連した記憶の形成促進に特異的に関与することを明らかにしました。
 扁桃体は、側頭葉の内側部に位置する複数の神経核群で、脳内において情動の中枢としての役割を担っています。扁桃体はさまざまな種類の情動に関わりますが、特に恐怖や不安に深く関与することが知られています。不安障害を中心とするストレスに関連した精神障害では扁桃体が過剰に働いていることが報告されていますが、これにより、たとえば出来事においてネガティブな側面ばかりに注目してしまったり、それを必要以上に覚えてしまったりするという情報処理上の偏り(バイアス)が生じる可能性が指摘されています。扁桃体が恐怖記憶の形成を高める可能性はこれまでにも示唆されてきましたが、ヒトにおいて扁桃体神経核がどのような脳領域と相互作用をして恐怖に関連した記憶バイアスを促進させるのかについては明らかにはされていませんでした。
 本研究グループは、健康なヒトにおいて扁桃体の外側基底核と前帯状皮質膝下部との機能結合の強さが、恐怖に関連する記憶の形成促進に特異的に関わっていることを明らかにしました。そしてこの扁桃体外側基底核―前帯状皮質膝下部との機能結合は、健康であっても不安になりやすい性格傾向を持つ場合に強まりやすく、またストレスホルモンであるコルチゾール分泌量の多さとも関連することも見出しました。今回の研究知見は、不安障害の発症メカニズムの解明やその予防法開発に貢献するものと考えられます。
 この研究成果は、2020年3月に国際学術雑誌「Biological Psychiatry: Cognitive Neuroscience and Neuroimaging」に掲載されました。

論文情報

論文名: Basolateral Amygdala Connectivity With Subgenual Anterior Cingulate Cortex Represents Enhanced Fear-Related Memory Encoding in Anxious Humans
著者名: Yuko Hakamata, Shinya Mizukami, Shuhei Izawa, Yoshiya Moriguchi, Hiroaki Hori, Yoshiharu Kim, Takashi Hanakawa, Yusuke Inoue, Hirokuni Tagaya
掲載誌: Biological Psychiatry: Cognitive Neuroscience and Neuroimaging 2020; 5(3): 301-310.
DOI: 10.1016/j.bpsc.2019.11.008

問い合わせ先

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