新着情報
最重要MRIプローブであるピルビン酸の光を用いた高核偏極化に成功
~13C-MRIによる癌診断応用への重要な一歩~
~13C-MRIによる癌診断応用への重要な一歩~
核磁気共鳴分光法(NMR)や磁気共鳴イメージング(MRI)は今日の化学・医療分野では必要不可欠な分光法です。しかし、その感度は非常に低く、特にMRIでは観測対象が体内に多量に存在する水分子に限られています。NMRやMRIを高感度化する手法として、電子スピンの高偏極状態を核スピンへと移行する動的核偏極法(DNP)があります。電子スピンとして特に光励起三重項電子スピンを用いたtriplet-DNPは穏和な条件でDNPを実行できることから、低コストで高感度MRIを実現できる技術として注目されています。
今回、九州大学大学院工学研究院の濱地智之大学院生、楊井伸浩准教授、北⾥⼤学未来工学部の渡辺豪教授、理化学研究所開拓研究本部及び仁科加速器科学研究センターの立石健一郎研究員、上坂友洋主任研究員らの研究グループは、医療応用に向けて最も重要なMRI癌プローブであるピルビン酸の13C核スピンをtriplet-DNPによって高偏極化することに初めて成功しました。
これまでtriplet-DNPに用いられてきた偏極源分子は疎水的なペンタセンに限られており、応用上重要な生体分子プローブである親水的なピルビン酸とは相溶性が悪く、ピルビン酸の高核偏極化は困難でした。研究グループは、水溶性ペンタセン誘導体とシクロデキストリンとの超分子相互作用を利用することで偏極源の分散性を改善し、ピルビン酸の13C核スピンへの偏極移行を実現しました。
今回の成果により、応用上最も重要な生体分子プローブであるピルビン酸をtriplet-DNPによって高核偏極化することが可能になり、低コストで高感度な13C-MRI癌診断に繋がると期待されます。
本研究成果は、⽇本時間2023年11⽉21⽇(⽕)に英国Royal Society of Chemistryの国際学術誌「Chemical Science」にオンライン掲載されました。
今回、九州大学大学院工学研究院の濱地智之大学院生、楊井伸浩准教授、北⾥⼤学未来工学部の渡辺豪教授、理化学研究所開拓研究本部及び仁科加速器科学研究センターの立石健一郎研究員、上坂友洋主任研究員らの研究グループは、医療応用に向けて最も重要なMRI癌プローブであるピルビン酸の13C核スピンをtriplet-DNPによって高偏極化することに初めて成功しました。
これまでtriplet-DNPに用いられてきた偏極源分子は疎水的なペンタセンに限られており、応用上重要な生体分子プローブである親水的なピルビン酸とは相溶性が悪く、ピルビン酸の高核偏極化は困難でした。研究グループは、水溶性ペンタセン誘導体とシクロデキストリンとの超分子相互作用を利用することで偏極源の分散性を改善し、ピルビン酸の13C核スピンへの偏極移行を実現しました。
今回の成果により、応用上最も重要な生体分子プローブであるピルビン酸をtriplet-DNPによって高核偏極化することが可能になり、低コストで高感度な13C-MRI癌診断に繋がると期待されます。
本研究成果は、⽇本時間2023年11⽉21⽇(⽕)に英国Royal Society of Chemistryの国際学術誌「Chemical Science」にオンライン掲載されました。
ポイント
・光励起三重項電子スピンを用いた動的核偏極法によるNMRの高感度化は、これまで最も重要なMRI癌プローブであるピルビン酸に適用できなかった。
・超分子相互作用を利用することによって疎水性の偏極源分子と親水性のピルビン酸の相溶性を向上させ、高感度化されたピルビン酸13C-NMRを観測することに成功した。
・高核偏極化したピルビン酸を用いた高感度13C-MRI癌診断への応用に繋がると期待される。
論文情報
【掲載誌】Chemical Science
【論文名】Triplet Dynamic Nuclear Polarization of Pyruvate via Supramolecular Chemistry
(超分子化学によるピルビン酸のtriplet-DNP)
(超分子化学によるピルビン酸のtriplet-DNP)
【著 者】濱地智之、西村亘生、坂本啓太、川嶋優介、河野宏徳、佐藤俊輔、渡辺豪、立石健一郎、上坂友洋、楊井伸浩
【DOI】10.1039/D3SC04123A
問い合わせ先
学校法人北里研究所 総務部広報課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
E-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
E-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。