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六脚類の初期分岐の系統関係「カマアシムシ類-姉妹群仮説」の誤りを指摘

 六脚類(広義の昆虫類)は全動物種の75%を占める巨大生物群ですが、その系統進化については100年以上の間、議論が続いており、進化初期に起こった初期分岐、すなわち、「カマアシムシ類」、「トビムシ類」、「コムシ類」、そしてこれら3群以外のすべての六脚類を含む「昆虫類(狭義)」の4群の系統関係さえコンセンサスが得られていませんでした。このような中、遺伝子の塩基配列などの膨大なデータセットに基づく客観的な分子系統解析が進められ、六脚類の初期分岐は「欠尾類(=カマアシムシ類+トビムシ類)+有尾類(=コムシ類+昆虫類)」(「欠尾類-有尾類仮説」)との理解が定説となりました。

 ところが、最近、これとは異なる「カマアシムシ類-姉妹群仮説」(「カマアシムシ類+[(トビムシ類+コムシ類)+昆虫類]」)が分子系統解析により提出され、大きく注目されました。しかしながら、この度、筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 町田龍一郎 客員研究員、愛媛大学理工学研究科 福井眞生子 特任准教授、十日町市立里山科学館 富塚茂和 研究員、大分大学医学部医学科 池田八果穂 講師、北里大学一般教育部 増本三香 講師らが、この仮説のサポートとして用いられた塩基配列以外の情報を検証したところ、情報の理解の誤りや、不十分な調査により、間違った論理展開が行われていたことが分かりました。したがって、本研究グループは、六脚類の初期分岐に関して、従来から提案されている「欠尾類-有尾類仮説」の妥当性を主張しました。本件に関する論文は、2025年1月29日に、「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載されました。

論文情報

【掲載誌】Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
【論文名】Embryology cannot establish the “Protura-sister”
(発生学は「カマアシムシ類-姉妹群仮説」を認めない)
【著 者】R. Machida, M. Fukui, S. Tomizuka, Y. Ikeda, K. Sekiya, and M. Masumoto
【DOI】10.1073/pnas.2423813122

問い合わせ先

学校法人北里研究所 広報室
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
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e-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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