北里大学

農医連携教育研究センター 研究ブランディング事業

12号

情報:農と環境と医療12号

2006/4/1
第1回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像
平成18年3月10日に開催された第1回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像は、「農医連携シンポジウム」(https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/noui/spread/symposium/)で見ることができます。
農医連携の花ほころぶ:相模原市で薬用植物栽培・加工体験講座が開催される
農医連携の花がほころんできた。今回、相模原市は「薬用植物栽培・加工体験講座(全10回)」を開催する。この講座の企画については、北里大学薬学部附属薬用植物園の教員が大いに協力した。また、講師としても参加する予定である。

体験講座の内容は、北里サテライトガーデンなどで土づくりから植物の栽培や加工(入浴剤・ハンドクリームづくり)などを学ぶものである。期間は4月から翌年1月。原則月1回・各回5時間程度で第1回は4月12日のオリエンテーションに始まる。対象は、原則として全回参加でき、薬用植物や農業に興味・関心がある市内在住か在勤の人である。応募者の中から20人が抽選される。参加費は無料。企画は相模原市の新都市農業推進室である。

このように、農医連携が花ほころび始めた経緯を整理してみる。まず、「情報:農業と環境と医療 2号」で薬学部附属薬用植物園の紹介をした。そこでは、薬用植物園が農医連携に果たせる役割を次のように整理した。

薬用植物園は次のように重要な農医連携のプラットホーム的な役割がある。この役割は、農業と環境と医療を連携する上でもっと深く検討する必要がある。
  1. 市民のための医療関係団体との交流
  2. 薬草を含む「農業と市民農園」の創設
  3. 入院患者と薬草園の活用
  4. 薬草資源のインベントリー

一方、「情報:農業と環境と医療 3号」では「新都市農業推進協定書の締結:北里学園と相模原市」と題して、北里学園理事長(柴 忠義)と相模原市長(小川勇夫)の間で、「新都市農業推進協定」が締結されたことを報告した。協定の趣旨は、薬用植物の試験・研究および普及・啓発事業を通じて、健康、環境、ビジネスの視点で新たな都市農業の創出を進めて、「相模原市新都市農業推進計画」の実現を図ることにある。

これは、北里大学薬学部附属薬用植物園が新たに学外に設置するサテライト型モデル実験園を中心に、シンポジウムの開催など薬用植物の普及・啓発事業、薬用植物園の開放による薬用植物の栽培体験、講習・相談事業、薬用植物の研究成果を応用した栽培技術や加工・流通システムの開発など新たなアグリビジネスの創出事業を行うための協定である。この協定により、下溝・磯部地区にサテライト型モデル実験園(16a)が開園された。

そこで、第1回薬用植物セミナー「薬用植物と新たな農への取り組み」(「情報:農業と環境と医療 7号」)が、協定に基づいた開園に即して開催された。開催の目的は、以下の通りであった。「北里大学と相模原市は、新たな都市農業の創出を目指して新都市農業推進協定を締結し、薬用植物を通じた連携事業を展開している。その取組みの一環として、薬用植物に関する普及啓蒙を図るとともに、新たな農に対する関心を高め、健康・環境・新都市農業を視点とした新しい農業の振興を図る。」

次に、北里サテライトガーデンの(相模原市下溝・磯辺)見学会が開催された(「情報:農業と環境と医療 8号」)。北里サテライトガーデンとは、本学薬学部附属薬用植物園が地元農業者から借用し、ここに薬用植物やハーブ類を栽培している約16アールの農地である。この事業は、本学と相模原市が昨年6月2日に締結した新都市農業推進協定に基づいて展開したものである。

本学と相模原市の代表者および事業協力者と地権者が、昨年7月の開園から4ヶ月を経過した現地を見学した。晴天の下で現場を視察したあと、隣接するハーブガーデン「モナの丘」においてハーブティーを飲みながら、現状報告および今後の取り組みについての説明を受け、事業に対する理解を深めた。

続いて、第1回薬用植物セミナーが開催された(「情報:農業と環境と医療 8号」)。北里大学薬学部附属薬用植物園と相模原市の主催により、平成17年11月5日に開催されたこのセミナーには、約70名の市民が参加した。

このセミナーは新都市農業推進事業の一環として開かれ、市民に薬用植物を知ってもらうとともに、健康・環境・新都市農業を視点とした新しい農業について考える機会を提供することを目的としたものであった。当日のプログラムは2部構成で、午前中は相模原市総合体育館会議室で3題の講演を聴き、午後は、同市下溝・磯辺の北里サテライトガーデンを見学した。

各方面のこのような地道な活動によって、今回の講座開講にまで進展してきたのである。かつて Estimation is growing という言葉を聞いたことがある。われわれの志す農医連携も、徐々にではあるが growing しているのである。この進展の背景にある、北里大学薬学部附属薬用植物園の教員の努力は察するに余り有る。
第1回 北里大学農医連携シンポジウム−農・環境・医療の連携を求めて−(3)食農と環境を考える
平成18年3月10日に第1回北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐が開催された。副題を「現代社会における食・環境・健康」に設定している。シンポジウムの趣旨と講演プログラムは、すでに「情報:農と環境と医療9号」に掲載してある。また、講演の(1)医学から農医連携を考える(北里大学教授:相澤好治)および(2)東洋医学と園芸療法の融合(千葉大学助教授:喜多敏明)の講演内容は、すでに「情報:農と環境と医療11号」に紹介した。今回は、東京農業大学前学長の進士五十八教授による「食農と環境を考える」を紹介する。

1.「農業の工業化」の負の側面

1992年、リオ・地球サミット。1993年、環境基本法。1999年、食料・農業・農村基本法。2000年、循環型社会形成推進基本法。2001年、森林・林業基本法。2002年、自然再生推進法。2003年、環境教育法。2004年、景観・緑三法。そして2005年6月、議員立法で食育基本法が成立した。

人間の健康の基本である「食」の乱れを正そうという主旨は余りにも当りまえであるが、現代文明の異常性が「食」にまで及んでいる証左である。

ここでいう現代文明の異常性とは、すべての経済活動において「効率第一主義」が徹底的におしすすめられてきたことである。

人間の生命や健康、環境の健全性や持続性をも犠牲にしてまで効率最優先、経済最優先がおしすすめられてきたこと、人類生存の大前提である地球のエコシステムの持続性や生物多様性を無視しての効率主義という点で、正確には「部分効率第一主義」であったということが大問題だったのである。

大胆かつ直截的に言えば、この「部分効率第一主義」は近代科学の方法、具体的には「工学的発想」に由来するといえる。例えば限定された条件設定の下で最も効率のよい最大値を実験的に明らかにし、これを閉鎖系の機械によって生産システム化する。その例が廃水処理費の低減を図るためにそのコストを外部経済に任せる形(公害・環境破壊)で生産性と競争力を高めてきた化学工業である。もちろん、残念ながら、現代農業も同様の失敗を重ねてきた。

近代農業の始まりは、ベルギーの化学者ジャン・バプチィサ・バン・ヘルモント(Jan Baptisa Van Helmont、1577-1644)のヤナギの木の育成実験からといわれているが、その後19世紀以降の化学肥料、化学合成農薬、機械化等の研究と技術開発の飛躍的進展、石油の発見によるエネルギー価格の低下があいまって「農業の工業化」が本格化、ついにはRachael Carsonの『Silent Spring』を招来してしまったのである。

近年、「農」の多面的機能が叫ばれ特に農林の環境保全上の意義が語られるが、部分効率主義による工学的発想に由来する相変わらずの農業技術開発研究によっているだけでは、環境問題の根本的解決はあり得まい。

2.「農」の多義性と多面的機能性

経済活動なくして人間生存もあり得ないのだから経済合理性は不可欠だ。がしかし、地球全体の生態系の持続性を保全しつつ、また全身が有機的に関係し合いバランスがとれていてこそ維持される人体の健康を考えれば、「全体効率の観点」をもつことが強く求められるのである。

東京農業大学の学術フロンティアプロジェクト(松田・藤本ら)が、エコロジーとエコノミーが両立できる新農法をめざして「エコ・エコ農業」を標榜しているのは、そうした方向を目指す具体的チャレンジといってよいだろう。

1961年の農業基本法以来のこれまでの農政が、1) 産業としての「農業」の経済生産性の向上にのみ主たる関心をもって政策化事業化をすすめてきたのに対し、筆者は2) 空間としての「農地」、3) 人的資源としての「農民」、4) 文化伝承、後継者育成、営農生活単位としての「農家」、5) 地域社会としてのまとまりと政治・経済・社会・文化・歴史継承集団単位としての「農村」など、すべてを鍵カッコつきの「農」として表現し、「生産財」のみならず「生活財」「文化財」「環境財」でもある「総合財」としての思考方法や認識方法を主張してきたのも、また、第2次食料・農業・農村基本計画において「農」の風景という表現を多用せしめたのも、全体性の観点が重要だと考えてきたためである。

ところで、農林漁業は国土全域をカバーする唯一の産業として、環境保全上そのあり方が極めて重大である。「農」の多面的機能が十二分に発揮される農法の確立が政策化されるべきである。

ちなみに日本学術会議の試算(2001年)では、農業の多面的機能が8兆3000億円/年、また森林70兆3000億円/年となっている。しかし筆者の実感では少なすぎる。トヨタ自動車1社だけの年商でも農業の2倍、16兆円だからである。

EUのデラールが「通貨より重大なのは農業です。農業は文化ですから」と言っているのも、筆者が「百姓(ひゃくせい)イコールたくさんの能力を必要とする仕事であり、またたくさんの能力を発揮できる仕事である。その生き方としてのトータルマンは、分業化社会・工業社会にあってもなお不可欠」であると独自の定義を試みてきたのも同じ趣旨からである。おそらく「緑」や「農」の価値には、計量できない無限の意義があるというのが本当であろう。

3.「人間と環境」の自然性と全体性

近代農学に始まり、現代農業が「分化・分業化の工業モデル」に追随した結果、元来ホリスティックな存在であった地球や人間をも、混乱させ劣化させてしまった。

いまこそ正に、本来、環境と共生しつつ持続的に食料を生産してきた農業の有機性を回復すると共に、人間自体の「全人性」の回復をも図らなければならない。

「農」の風景という言葉に、筆者は、農業そのものの多面性・多義性・全体性を、「百姓」という言葉に人間自体の生物性や全人性の回復への期待をこめたいと思う。

そのことからも、「食と農と環境」を考えるのに最も大切なのは、「風景の目」すなわち全体性・総合性、ホリスティックの視点に立つことだと主張したい。

私のこうした発想は、Landscape Architectの見方である。土地・自然性(land)と全体・総合性(scape)に立脚する見方である。そんな視点から筆者は、拙著『「農」の時代』(学芸出版社、2003年)に「20世紀は農村の都市化をすすめた時代」「21世紀は都市の農村化をすすめなければならない時代」となるべきであると書いた。何故いま「農」かというと、相対的には、20世紀の負の遺産としての高密人工巨大都市化が、都市問題、都市病理の深刻化――例えば犯罪・殺人・同性愛・精神病・テクノストレス・神経衰弱・生きる力の減退など幼衰現象――をもたらしたが、これを癒すには人工巨大都市の対極にある大自然・田園・農業農村等における居住・体験または接触(ふれあい)など「農」のあるライフスタイルへの転換が強く求められると考えられるからである。

また絶対的には、西洋での言い方であるが、人間はBody(からだ・身体性)、Mind(こころ・精神性)、Spirit(いのち・霊性)の3つが渾然一体となった正に、ホリスティックな存在であることから、これが現代社会の分化・分業化システム下での分業労働で一体性を保持し難くなっていることへの反省から「百姓」性(トータルマン性)の回復を本能的に求めており、それへの近道として「農」のある暮らしや「田舎ぐらし」への関心が高まっているということになる。凡そ、人間はヒト以前に生き物であり、いくら文明が進んでも「生物的自然との共生」なくしてあり得ない。筆者が、1) 生き物などとの自然共生、2) 資源エネルギーなどとの環境共生、3) 都市と農村、先進国と発展途上国など地域との共生の、「3つの共生」を主張する所以である。

4.食と環境を支えつなぐ「農」

かつては、こうした健全な「農」と「農」的生き方をする人間が、健康な「食」をもたらし、その結果、よりよい「環境」との共生関係をも維持してきた。

それが、工業文明の進展に伴い、地球上の人口はこの100年間に4倍増であったにもかかわらず、経済は20倍、エネルギー消費量は25倍という大量生産・大量流通・大量消費・超大量廃棄社会をもたらし、結果的に深刻な地球環境問題など人類生存の危機をも招来してしまったのである。

この危機からの脱出には、「工」の発想である分化思考と部分効率主義を改め、全体性と総合化の視点による発想や行動を回復しなければならない。ちなみに、こうした見方を「ホリスティック」(holistic、全体・総合)というが、この言葉の語源はギリシア語のホロス(holos、全体)で、ホール(whole、全体)、ヒール(heal、癒される)、ヘルス(health、健康)、ホーリィ(holy、神聖)、ヒーリング(healing、宇宙とひとつになる、本来の姿に戻る、健康になるの意)などの言葉を派生し、ヒーリング・ガーデンなどと使われている。

ところで、学問の世界は細分化がすすみ、現在、日本学術会議登録の日本農学会傘下の学会だけでも50以上を数える農学系学会が存在する。このことからも、学問の分化・細分化や大学教育における分科傾向は自明である。

そんななか、こうした状況を少しでも改善すべく筆者らは、2004年11月「実践総合農学会」(会長・山極栄司、副会長・進士五十八、陽捷行)を発足させた。現在の分科・専門化の研究の必要性を認めつつも、一方でその総合化と現実社会に貢献できる実践性を、意識的自覚的に志向するムーブメントを惹起することの重要性を認識してのことである。筆者がその機関誌名を『食農と環境』(1号:2005年4月、2号:2005年12月)としたのも、「食」と「環境」をつなぎうるのも、また、それを支えうるのも「農」以外にはない、ということを再確認すべきだと広く社会にアピールしたかったからである。

5.「農」のあるライフスタイル

図1は、土や緑と遠ざかることを発展だと錯覚した現代の都市民に「農」とのふれあいをとり戻し、それによって都市民自体の「食と健康」、また地域から国土へひろがる、そしてまた人間の関与を必要とする二次自然を主とした「自然環境」の保全と再生を目指そうという筆者なりのビジョンである。(図1 市民の「農」との多段階的関係)

このような方向性の意義は政府も既に認識しており、2005年からの第2次食料・農業・農村基本計画において「都市と農村の共生・対流と多様な主体の参画の促進」として事業化の方向が示されている。現在、国民総人口の5%未満に過ぎない農林水産業従事者だけで、国土の67%の森林、13%の農用地の保全を十全に担うことは困難だからでもある。

従って筆者が「全国民第5種兼業農家化」と提案するような、また「新世紀の多自然居住型ライフスタイルの促進」を積極的に進める必要がある。上記の基本計画では、1) 新規就農・農村移住(UJIターン)、2) 半定住(デュアルライフ)、3) 援農(農村体験・市民農園)、4) 交流活動(進士注・グリーン・ツーリズム、姉妹提携など)の4つの段階をモデルとして示している。

結論的にいえば、こうしたニューライフ・スタイルの構築を、国家的事業・国民的運動として推進する方向がなければ、「食と農と環境の連携による心身ともに健康な国民生活と日本社会」は実現しないだろう。

そのためには、現代都市の病理の深刻さと農業農村のもつ特質と意義や有効性を十分に理解し踏まえるべきだと言いたい。(別途配布:進士五十八、都市と農村の連携、西村幸夫ほか編「都市のシステムと経営」(岩波講座第6巻/都市の再生を考える)所収、2005年、141-171)

6.「環境福祉」めざせ「環境市民」

もちろん、職業との関係で「多自然居住」が国民誰もに可能となるわけではない。しかし、図1にあるような「農」のあるライフスタイルは気持次第で、どこでも、誰でも、実践可能である。

日本人に共通する国民的趣味は「祭りと園芸」だとは、川添登の言である。そこで筆者らは「花や野菜をつくって幸せになろう!」と「NPO法人・日本園芸福祉普及協会」を立ち上げ(2001年)活動している。2006年1月現在、会員約1500名、初級園芸福祉士1220名、毎年の受講生は1200名、内800名が初級園芸福祉士を受験している。彼らは福祉や医療、まちづくりの現場で大きく社会貢献を果して活動をつづけており、全国大会も既に6回になる。花や野菜の栽培を通じて人々は、1) アウトドアで、2) 仲間と共に、3) 土とふれあい、4) 生命を育む体験を通し、5) 安全安心な食を得つつ、6) 農や環境の保全と社会に貢献できる。

いま、何らかの形で環境問題の解決に寄与していきたいと願う市民は多い。筆者はこうした人々を「環境市民」「環境学生」と呼び、そのための入門書も編集してきた。(進士五十八編『環境市民とまちづくり』全3巻、ぎょうせい、2002年、2003年。東京農業大学編『環境学生のススメ』ぎょうせい、2003年。農大編『環境学生・実践のエコロジー』誠文堂新光社、2004年。進士五十八ほか編『NPO入門・生き物緑地活動をはじめよう』風土社、2000年など。)

筆者がこうした活動を支援しようと考えたのは、これまでのお金で幸せにしようという「経済福祉」の限界を感じ、「環境福祉」(いい環境で、いい仲間と、みんなのための活動に参加することの幸福)の実現を図りたいと考えたからである。

そうした志向性をもつ学生(=環境学生)を育て、そうした実践力をもつ市民(=環境市民)のネットワークをひろげることに意義を感じたからである。

筆者が学長時代に取り組んだ大学改革や社会貢献策をあげると表1のようになるが、2006年4月開設の東京農大バイオセラピー学科、アクアバイオ学科もその延長上にある。例えば、バイオセラピー学科は園芸療法やアニマルセラピーが究極の形だが、その手前に「生き物福祉」分野が裾野を形成すべきだと考えた。その関係性を松尾英輔(2004年)も図2のように整理している。あたかも折茂肇(2003年)が図3のように「総合医療」の必要性をいうのと似て、現在の技術では何事も多段階的・相補的でないと問題は解決しないということであろうとも思う。

このほかにも、筆者が現在関係しているNPO法人等はいろいろある。

食・農の接点をつなぐべく「NPO法人・良い食材を伝える会」。また環境・農の接点をつなぐべく「NPO法人・みどりのゆび」(里山保全、フットパス、農地保全)や「農水省環境省・田園自然再生コンクール」「農水省・農村景観応援団」「NPO法人・美(うま)し国づくり協会」などがある。そのいずれもが、市民的でホリスティックな視点で、本当の「食と農と環境」と「人間」の再生を、収穫しようと活動をつづけている。

筆者が好きな「収穫」、誰もがアクションをはじめるべきことを示唆するひと言。イギリスのある作家の言葉を紹介しておく。

「思想の種を播き、行動を刈り入れなさい。
行動の種を播き、習慣を刈り入れなさい。
習慣の種を播き、人格を刈り入れなさい。
人格の種を播き、運命を刈り入れなさい。」


「医食」ばかりが「同源」ではない。「農医」も、「食農と環境」も、「食と健康と環境」も、すべて生き物としての人間を通して同源のはずである。「美(うま)し国」という言い方にはビジュアルな美のみならず、歴史的自然的な良さ、すなわち「amenity」(語源はamare)をも含んでいる。すべてが同源、調和した姿が「美しい」のである。

図1 市民の「農」との多段階的関係

図1 市民の「農」との多段階的関係

図2 園芸福祉と園芸療法の対象者と領域

図2 園芸福祉と園芸療法の対象者と領域

図3 21世紀の医療システム・統合医療

図3 21世紀の医療システム・統合医療
(松尾英輔,2004) (折茂肇,2003)

表1 「環境の世紀の東京農大」へのトータルアプローチ

表1 「環境の世紀の東京農大」へのトータルアプローチ
(進士五十八,2005)
第1回 北里大学農医連携シンポジウム−農・環境・医療の連携を求めて−(4)人間の健康と機能性食品
前項に続いて、日本大学の春見隆文教授による「人間の健康と機能性食品」を紹介する。

はじめに

食品に対する現代人の一番の関心事は健康と安全であろう。不老長寿は万人の願いであり、歴史を辿れば食について信仰にも似た様々な習慣や行いが存在していたようである。現在、31兆円を超える国民医療費は、このまま行けば近い将来50兆円に達するものとみられ、制度自体の破綻を来すことが明らかなことから、老人医療の値上げ、個人負担割合の増大など様々な制度改革が進められているところである。ガン、心疾患、脳卒中などの生活習慣病の増加がその主要因であり、治療から予防への考えが進みつつある医療分野においても、食の疾病予防、健康増進機能への期待が膨らんでいる。

食品の機能性と機能性食品(food function, functional foods)

食品の機能性および機能性食品は、文部科学省のプロジェクト研究「食品機能の系統的解析と展開」(1984~86)の中で提唱された概念で、食品には栄養性(一次機能)、嗜好性(二次機能)の他に生体防御や体調調節などの生理機能性(第三次機能)が存在するというものであった。日常の食品(食品成分)の摂取によって、栄養補給や健康の維持のみでなく、積極的に疾病の予防あるいは治療を行おうとする画期的なもので、食と健康のあり方について消費者は勿論、研究機関、食を提供する食品産業・農林水産業からも熱い視線が送られることとなった。

さらに、ネイチャー誌(1993年)によって海外にも紹介され、欧米では食品機能研究のための体制作りが進められ、機能性食品科学(functional food science)という新学問領域の体系化と、実践面での機能性食品の開発に向けた精力的な取り組みが行われている。

このように食品機能(food function)、機能性食品(Functional foods)という用語は世界的に広く普及したが、後者は法的根拠に基づくものではなく、国際的にはむしろ食品関連業界における慣用語としての認識が強い。従って、日本と欧米ではその栄養補給や保健機能における扱いが必ずしも同じレベルにあるわけではない。

特定保健用食品とdietary supplementまたはfood supplement

我が国では生理機能性が科学的に実証された(evidence based)食品または食品成分についてヒト介入試験を実施し、保健の用途に適すると判断されたものは特定保健用食品として健康効能(健康強調表示、health claim)を謳うことが認められ、その食品品目は400を超える。

従って、機能性食品という用語は、狭義にはこの特定保健用食品を指して使われる場合が多い。これに対して米国では、Functional foods は脂肪、炭水化物、コレステロールなどを減らした飲食品も含んでおり、日本でいうところの機能性食品はdietary supplement(健康補助製品)として扱われている。

食品としての形状をなさないものがほとんどで、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ、植物抽出物などが含まれ、食品よりもむしろ、栄養過剰と欠乏の入り混じった半健康状態に対応する食品と医薬品の中間的なものとしての位置づけである。また、欧州ではこれらからハーブ類などを除外して、食品補助製品(food supplement)としている。

現在、日本の健康食品(いわゆる健康食品)市場は1兆2,000億円、特定保健用食品はそのうちの半分の6,000億円に及んでいる。米国ではDietary supplement、Functional foodとも約200億ドル、欧州でのFunctional foodは100億ユーロ(120億ドル)とされる。

食品による生活習慣病の一次予防の研究例

現在まで明らかになっている生活習慣病の食品による予防研究には以下のようなものが知られている。

(1) ガンの予防
  • 発ガン物質の発ガン作用の低減化(ポリフェノール、カロテノイド、食物繊維、ブロッコ リ・スルフォラファンなど)
  • 免疫系の活性化によるガン細胞の破壊(海藻フコイダン、キノコ・大麦β-グルカンなど の多糖類など)
  • ガン細胞の分化誘導、アポトーシス誘導作用(イソフラボン、ケルセチン、フロレチン、 プロアントシアニジンなどのフラボノイド)
  • アポトーシス誘導作用(フラボノイド)

(2) 動脈硬化の予防
  • 高脂血症の予防(多価不飽和脂肪酸DHA、EPA、α-リノール酸、大麦β-グルカン、海藻アルギン酸、果実ペクチン、大豆タンパク質、大豆サポニン、茶カテキンなど)
  • 低密度リポタンパク質(LDL)の酸化予防(ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、茶カテキン、ぶどう赤色色素・アントシアニン、同・レスベラトロールなど)
  • 高ホモシステイン血症の予防(ビタミンB6, ビタミンB12、葉酸)

(3) 高血圧症の予防
  • アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害による予防(カゼイントリペプチド、いわし筋肉ジペプチド、大豆トリペプチドなど)
  • 高血圧自然発症ラット(SHR)による高血圧予防成分の探索(γ-アミノ酪酸(GABA)含有茶(ギャバロン茶)、発芽玄米、米糠発酵エキス、キトサン、ビタミンC、α-リポ酸など)

(4) 糖尿病の予防
  • 急激な血糖上昇の抑制(食物繊維、ギムネマ酸、アルブチン、フロレチン、インクレチン阻害ペプチドなど)
  • タンパク質等のグリケーション(糖化)の抑制(フラボノイド、ピルビン酸、キレート化合物など)

(5) 老化・痴呆症の予防(多価不飽和脂肪酸DHA、EPA、葉酸、ビタミンB6・B12、α-リポ酸、卵黄レシチン、アラキドン酸など)

(6) アレルギー予防(乳酸菌・ビフィズス菌、柑橘・茶フラボノイド、β-グルカン、オリゴ糖など)

ニュートリゲノミクスとテーラーメード食品

食品機能の研究および機能性食品の開発に当たって重要なのは、機能性成分(機能性食品因子)と健康保持・増進に関するデータベースの構築、ゲノム情報に基づく分子レベルでの解析、およびテーラーメード(オーダーメード)食品の開発であろう。

1.機能性食品成分(Food factor)のデータベース化

食品の機能性成分は非栄養性因子であるため、従来の食品成分表には含まれない。従って、栄養素と同様に摂取量が推定できるデータベースの作成が必要である。また、食品の疾病予防や健康増進に関する研究は数多いが、一般の目に触れずに文献情報のまま埋もれてしまうことも多い。これらを発掘・収集して検索可能なデータベースとして蓄積しようとする試みが行われている。

評価の基準は、1) ヒトでの効果が科学的に確認されている、2) 動物試験で効果が得られている、3) 培養細胞で効果が得られている、4) 評価不能なもの、5) 評価がない、などに分類される必要がある。このようなデータベースが構築されれば食品機能成分の摂取量が推定でき、健康維持のための食生活指針や栄養摂取管理が可能となる。

さらに、機能性成分の分子設計、適量の機能性成分を含む野菜・果実などの育種生産や利用加工など、疾病予防や健康増進を目指した臨床栄養、食品、農業分野への情報提供が可能となる。

2.ニュートリゲノミクス

食品機能成分が疾病予防、健康増進などの効果をあらわすときには、その成分が何らかの生体情報シグナルとして、直接・関接に遺伝子(特に転写レベル)に働きかけているものと考えられる。食品由来成分が遺伝子発現・制御に及ぼす影響を研究する学問分野はニュートリゲノミクスと呼ばれている。ヒト介入試験は最も信頼性が高いが、被験者の確保や倫理上の問題などから制約が多い。

また、肥満や炎症などの病態に関連する代謝系の遺伝子は数多くあり、ひとつずつ解析して行くのは容易ではない。ニュートリゲノミクスでは、DNAマイクロアレイ(チップ)を用いて数百、数千の遺伝子発現に対する食品成分の影響を一度に解析する。これにより、食品機能成分の体内代謝や、代謝された成分がどこでどのように働くかが推定可能となる。

ニンジンレチノイドやサケ不飽和脂肪酸は、PPAR(脂肪酸/プロスタグランジン核内受容体)複合体を経由して特定遺伝子に結合し、脂肪酸合成を抑制したり脂肪酸酸化を促進することが知られている。ω-6またはω-3脂肪酸を含む餌を与えたラットをDNAマイクロアレイで解析した結果、12,000の遺伝子中300を超える遺伝子の発現量が変化していたという(Berger et al.,2002)。

また、ヒト培養細胞を用いて,約1,000の植物抽出物につきスクリーニングが行われた結果、ターメリックのクルクミン、ブドウのレスベラトロール、緑茶のカテキン、紅茶のテアフラビン、ビタミンEなどに、COX-2遺伝子(炎症発現に関連する遺伝子)の発現制御活性をもつ因子が見出されている(Subbaramaiah et al.,2000)。

これらはいずれもニュートリゲノミクスにより初めて明らかにされた結果であり、ゲノム情報やDNA解析技術の利用なくしては得られなかったことである。さらに、食品成分同士の複合効果や複合によるマイナス効果など、単一成分からは想定されなかった機能の解析にも効果を発揮すると考えられている。

3.テーラーメード食品・栄養指導

ゲノム技術のもう一つの応用に、テーラーメード食品あるいはテーラーメード栄養指導がある。ヒトゲノムにおけるSNP(Single nucleotide polymorphism、1塩基多型)を利用したものである。SNPは数百塩基に1個といわれる塩基の変異で、個人によってすべて異なり、それらのいくつかは薬理成分に対する感受性や副作用に関係することが明らかになっている。薬品成分に比べて生理活性の弱い食品成分では解析が難しいが、機能性の解明された食品(成分)について疾病予防の個人差が明らかになれば、それに基づく個人用の食品、食生活の指導が可能となる。

女子栄養大学では、栄養クリニックの受診者について、肥満、循環器疾患への関与が明らかとなっているSNPを決定するとともに遺伝形質と栄養指導、健康指標との相関について検討している。その結果、栄養クリニックの指導を実践している人は、遺伝子変異型保持者・非保持者間でBMI(Body mass index 肥満状態を表す指数、(体重)2/身長)や総コレステロール値に有意差はなく、例え、遺伝子の変異型を有していても栄養・運動の介入指導が有効であったという。

また、日本人を含むアジア人の遺伝子解析と食生活、健康状態の相関解析を行い、レプチン受容体遺伝子やPPARy2遺伝子型など、肥満に関連する遺伝子の保有頻度は日本人、パラオ人では非常に高いが欧米人では低いことを明らかにしている。このことから、日本人やパラオ人は欧米人に比べて多少の栄養不足に陥っても耐えられる遺伝形質をもっており、逆に少しの栄養過多でも肥満になりやすい体質であると考えられている。

人間の健康と機能性食品

今後、多くの食品成分について疾病予防、健康維持・増進との関連性が明らかになり、これとともに様々な食品が開発され、市場に出回るであろう。機能性食品があくまでも科学的研究と実証に裏打ちされたものである限り、従来のいわゆる健康食品にありがちな一種の胡散臭さを払拭して、新たなコンセプトを実現した食品としての市民権を得ることは間違いない。むしろ将来的には、機能性食品科学の進展とともに既存食品(伝統食品)、新規食品を問わず、健康増進機能や生活習慣病をはじめとする疾病予防機能が各々の食品で立証され、エビデンスを基礎とする新しい医食同源の時代が来るかも知れない。

それと同時に、食はどこまでも食であることも真実である。「健康とは肉体的、精神的そして社会的に良好な状態であり、単に疾病または虚弱でないというだけではない」という世界保健機構(WHO)の憲章前文を今一度想起しておきたい。

そして大切なことは、この前文はすべての人に与えられるべき権利であり、高齢者、傷病者、乳幼児など肉体的弱者への配慮を忘れてはならないということである。当然のことながら肉体的な健康に対してはメリットの多い食品であったとしても、精神的な健康を後退させるような食品は好ましいものではない。如何に健康増進機能、疾病予防機能にすぐれていても、食品としての魅力に欠けるようであれば、いずれは消え行く運命にあるだろう。食のもつ要素は1次機能、2次機能、3次機能だけではない。精神的な満足感、癒し機能、他とのコミュニケーション、風土や地域社会とのつながりなど、人が人であるための根元的な要素を含んでいるからである。
農医連携を心したひとびと 3:新渡戸稲造
新渡戸稲造の「農業本論」について、「情報:農・環境・医療4号」の「本の紹介6:農業本論、新渡戸稲造著、東京裳華房、明治31年(1989)」で紹介した。そこで、新渡戸は「武士道」で名高いが、実は「武士道」を発刊する一年前に、きわめて有益な「農業本論」を著していることを書いた。さらに、「武士道」があまりにも有名になり、「農業本論」は世間に忘れられた感が強いとも書いた。そのうえ、この本はいつの世にも読まれるべき農学の古典といっても言い過ぎではないとも付け加えた。

今回は温故知新、すなわち古きを訪ね新しきを知る思いで、農医連携の立場からこの新渡戸の「農業本論」を訪れる。この本の第五章では「農業と国民の衛生」と題して、「農業は健康を養う説」、「農業は長命なる事」、「医薬の効能田舎に著しきこと」、「都鄙に於ける死亡者の割合」、「都鄙に於ける嬰児の夭死」、「都鄙に於ける男女の健康」、「田舎生活は女子に適せざる理由」、「都鄙に於ける女子の生殖力」、「田舎は強兵供給の泉源なる事」、「過度の労働は農民を害ふ事」、が解説される。最後のまとめに、「結論」がある。これらの項目のいくつかを紹介することによって、新渡戸が農医連携を心した人であったことを紹介する。ここで田舎の人とは、農業という生業に従事している人のことをいっている。

「農業は健康を養う説」

ゲーテの言葉、「黄金をも魔術をも薬餌をも要せずして長生きするの道は、田舎に退隠して、希望を少にし、交際に遠ざかり、食物も亦淡泊なる者を取るにあり・・・」を実証すべく統計を求めるが、統計が公にされてない。そこで、熊澤蕃山(著書:大学或問)と小川顕道(著書:塵塚談)の士農と出生国別のデータ例から、農は健康を助ける職業であると証明する。

「農業は長命なる事」

英国では、牧師の次に農家が長命である。米国のマサチュセッツ州では、工業者や海上労働者や商業者に比べて農業者がもっとも長命である。瑞典(スエーデン)のデータでは、農家にいる者は都会で生活している者より、男子で9年、女子で7年長生きする。また、英国のモルガン博士の統計などを引用して、「古人の言、俗人の所信誤らざると明瞭なり」と記している。

「都鄙に於ける死亡者の割合」

蘇国(ソビエト)および英国の統計により、「之を見れば都会は其死亡者の多き事、確然疑を容れず、・・・」と解説している。

「結論」

医学博士プーフワトの説を登場させる。人が都市に住むことにより、(1) 身体の上部を動かすこと少なきこと、(2) 喧雑の音響絶えず耳に入れて、神経を衰弱せしむること、(3) 道 路は石を敷き、若しくは煉瓦なるを以て、歩行するときは劇しく足に応えて頭脳に響くこと。これらが、都会と田舎に住む人の健康に影響を及ぼすと解説している。農業は筋肉を動かし、胸‐E肺臓の為に益あり、脳髄が発達し、神経組織を強壮ならしむと結論している。
本の紹介 15:文明崩壊 上・下、ジャレド・ダイアモンド著、楡木浩一訳、草思社 (2005) 
この本を紹介する前に、わが国で49年および18年前に出版された2冊の本を紹介しておかなければならない。ひとつは、デールとカーターが書いた「世界文明の盛衰と土壌」である。なお、この本は、31年前に「土と文明」と題して改題・改訂出版されている(原題はいずれも、Topsoil and Civilization)。

「世界文明の盛衰と土壌」の序文の冒頭は、次の文章ではじまる。「文明の進歩とともに、人間は多くの技術を学んだが、自己の食糧の拠りどころを保存することを学んだ者はごく稀であった。逆説的にいえば、文明人のすばらしい偉業は文明没落の最も重要な要素であったのである」。文明の崩壊が、土壌の崩壊と共にあったことを多くの例を引いて解説する。

改題・改訂された「土と文明」の方がよりわかり易い。「文明の進歩とともに、人間は多くの技能を身につけたが、己の食料の重要な拠りどころである土壌を保全することを習得した者は稀であった。逆説的にいえば、人類の最もすばらしい偉業は、己の文明の宿っていた天然資源を破壊に導くのがつねであった」。

セイモアーとジラルデットが著した「遥かなる楽園」が、2冊目である。著者は「第1章:人類とその影響」の中で次のように語る。

「当時は気がついていなかったが、いま私は、我々は土の生きものなのだということを知っている。人間はミミズと同じように土壌の生きものなのだ。もし海洋のプランクトンも陸上の土壌と同じとするならば、我々の体を構成する全てのものは土壌からきたものなのである。たとえ科学者が石油か天然ガスから食べられるものを造り出し得たとしても、石油も天然ガスも遠い昔の土の産物である以上、我々はやはり土の生物なのである。人類はまだ光合成に成功していないし、そうなる見通しも立っていない。そう考えれば、足下の大地が流れさってしまうのを見るのは身の毛のよだつ思いである」。いま、世界中で土地の荒廃が、恐るべき速度で進行している。それは文明とひとびとの荒廃でなくて何であろうか。それがこの本の主題だ。

この2冊の書から世界の歴史を顧みると、土壌の崩壊が文明の崩壊であったことが解る。あの知的なすばらしいギリシャ人が、彼らの文明をさらに可能にしたとおもわれる土壌保全にその努力を向けなかったことは、歴史の悲劇ともいえる。ギリシャ人のような輝かしい民族が、なぜ30~40世代という短い期間に没落したのであろうか。彼らも、ほかの民族と同じように農業に糊口の道を依存していた。

しかし、人口が増加したため作物生産を増大させ、それによって地力を収奪し、土壌侵食を助長する商品作物の需要が急速化したため、土壌資源が枯渇し生態系の破壊が進んだ。ギリシャの力が強かった時代は、それでも植民地の土壌を借用してその繁栄を維持できたが、その植民地をどこかの国に奪われると、ギリシャ文明は急速に没落の一途をたどることになる。このことは、文明の進歩の限界は、自然からの土壌資源の収奪の上限であることを示唆している。

ギリシャの土壌が失われるであろう懸念は、プラトンの本「クリティアス」にも書かれているという。アッチカの森林伐採と農耕の影響に関する彼の記述は、今日でもわれわれの心をうつほどの強烈な文章だ。「我々の土地は他のどの土地よりも肥沃だった。だからこそ、あの時代に農耕作業を免除された大勢の人を養うことができたのである。その土地の肥沃さは、今日我々に残されている土地でさえ、作物を豊かに実らせ、あらゆる家畜のために豊かな牧草を育てる点で他に引けをとらないことからも明らかである。そして当時は質に加えて量もまた豊富だった。小さな島でよく見掛けることだが、肥沃な柔らかい地面はことごとく流出して、病人の痩せ細った体のように痩せた土地の骨格だけが残っている。」

ローマの文明も同じように土壌の崩壊だった。メソポタミア文明の衰退も、塩分蓄積による土壌の劣化だ。シュメールの土壌の塩分上昇は、人類史上はじめての化学物質による汚染といえるかもしれない。レバノンの顛末もミノスに似ている。シリアの文明は、地力の消耗と土壌侵食によって崩壊したといわれている。

このように世界の文明の盛衰は、土壌ときわめて深くかかわりあっている。文明が輝かしいものであればあるほど、その文明の存在は短かった場合が多い。

さて、前書きが長くなりすぎた。紹介する「文明崩壊」の本のことである。詳しくは後述するとして、前の2冊の本と似たような表現をしてみよう。著者のダイアモンドは「最終(16)章:世界はひとつの干拓地」の中で、次のような驚くべき事実を見せつける。

「アメリカで最大級の農業生産力を持つアイオワ州は、過去150年間の侵食によって表土の半分近くを失った。この前アイオワへ行ったとき、わたしは、目で見てわかる劇的な実例として、ある教会の敷地を見せられた。19世紀に、農地の真ん中に立てられたその教会は、以後もずっと教会として維持され、周囲の農地はずっと耕作に使われてきた。農地のほうが教会の敷地よりはるかに急速に侵食された結果、現在、教会の敷地は緑の海に浮かぶ島のように、周囲の農地から3メートルほど高くなっている」。49年前のデールとカーターの警告は、一体何だったのであろうか。デールとカーターは、アメリカの土壌保全局の職員だったにもかかわらず。彼らの冒頭の言葉は、皮肉にも今も生きている。

ちなみに、土壌が生成されるのにどれほどの歳月がかかるのであろうか。土壌の種類によって様々だが、土壌は1年に0.1ミリしか生成されない。1センチの土壌が生成されるのに少なくとも100年の歳月が必要なのだ。われわれ人間は、天地すなわち土壌と大気はいつまでも不変だと思っているのだろうか。

この本は4部からなる。第1部は環境問題と人口問題をかかえる現代の先進世界に属するアメリカのモンタナを紹介し、遠い過去の環境が破壊された社会の出来事を想起し、いつか崩壊するであろうモンタナに想像を巡らす。

第2部は、崩壊した過去の社会であるイースター島、ポリネシア人が住み着いたピトケアン島とヘンダーソン島、アメリカ先住民のアナサジ族、消えた都市マヤ、先史時代のノルウェー領グリーンランドの崩壊が語られる。

なお、第2部の第9章では「存続への二本の道筋」と題して、わが国の徳川幕府と農民の話、すなわち、この江戸時代トップダウン方式でいかに森林伐採が防止され、社会が崩壊から免れたかが存続の成功例として紹介される。

第3部は再び現在だ。際だった違いをもつ4つの国が取り上げられる。第三世界で惨事が起こったルワンダの地、第三世界でどうにか存続しているドミニカ共和国、先進国に駆け足で追いつこうとしている巨人国の中国、先進国の一社会であるオーストラリアの国々だ。

ルワンダは、過剰な人口をかかえた国土が血に洗われる形で崩壊したことが書かれる。人口増大、環境破壊、気候変動の三要素が爆発物を形成し、民族抗争が導火線となったようだ。

ドミニカ共和国とハイチは、かつてのグリーンランドのノルウェー人社会とイヌイットのように、陰惨な対照をなしている。劣悪な独裁支配のなかで、ハイチは国という機能を停止してしまった。ドミニカ共和国には希望の兆しが見える。この本は、文明の崩壊が単に環境によってのみ決定されるのではないと説く。それが、ドミニカの指導者の決断の例で示される。

中国は、現在考えられる12種類の環境問題をすべて包括していると解説する。12の環境問題とは、森林伐採と植生破壊、土壌問題(侵食・塩類化・地力の劣化など)、水質資源管理問題、鳥獣の乱獲、魚介類の乱獲、外来種による在来種の駆逐・圧迫、人口増大、一人当たり環境侵害量の割合、人為的気候変動、蓄積有毒化学物質、エネルギー不足、地球の光合成能力の限界である。

オーストラリアは、先進国の中でも最も脆弱な環境をかかえ、それゆえに最も重篤な環境問題に直面している。「搾取されるオーストラリア」と題して現状と未来が語られる。

第4部は、「社会が破滅的な決断を下すのはなぜか?」、「大企業と環境‐異なる条件、異なる結末」および「世界はひとつの干拓地」の3章からなる結論の部分である。第3部までは、過去と現在における個別の社会について述べられてきたが、ここではまとめの形をとりながら、そこから一歩大きく飛躍し、未来への建設的で実践的な提言が語られる。

ここでは、過去および現在の社会が直面する特に深刻な「十二の環境問題」が取り上げられる。1) 自然の生息環境の破壊、2) 漁獲量消費、3) 生物多様性の減少、4) 土壌の崩壊。これらは、天然資源の破壊もしくは枯渇につながる。5) エネルギー、6) 水不足、7) 光合成の限界値。これらは、天然資源の限界を意味する。8) 毒性化学物質の汚染、9) 外来種の導入、10) オゾン層破壊・温暖化。これらは、われわれが活用あるいは発見した環境に悪影響を与える生物あるいは化学物質に由来する。11) 人口増加、12) 環境侵害量。これらは当然、人口の問題に関連することである。

また、ここでは倫理とか良心とかの観念論ではなく、環境保全に心を砕くことが企業の利益につながるように仕向けろとか、流通の鎖の中で、消費者の圧力にいちばん敏感な環をねらって圧力をかけろ、などと説くのである。したたかな実利主義である。文明崩壊の大危機を回避するには、脳ではなく体に知らしむべしというのであろうか。

この項を書いているとき、フィリピンのレイテ島に大規模な地滑りが起こった。過去の文明が自らの環境を崩壊させる過程に、森林伐採、植生破壊、土壌問題、水資源管理問題、鳥獣の乱獲、魚介類の乱獲、外来種による在来種の駆逐・圧迫、人口増大などの要因があると、ダイアモンドはこの本のなかで指摘している。

2月16日に起こったフィリピンのレイテ島の大規模地滑りをこの指摘から見れば、結局は過度の森林伐採が大規模な土壌侵食を誘発したのである。土壌侵食によって、一瞬にして村が消えたのだ。もう一度記そう。デールとカーターの言葉は、皮肉にも今も生きている。

漢の時代の劉向が「説宛」という書の「臣術」篇に、孔子の言った「土」に託する想いを記述している。

「為人下者、其犹土乎!種之則五穀生焉、禽獣育焉、

生人立焉、死人入焉、其多功而不言」

「人の下なるもの、其はなお土か!これに種えれば、すなわち五穀を生じ、禽獣育ち、生ける人は立ち、死せる人は入り、その功多くて言い切れない」と読める。孔子はあまり自然を語っていないが、さすがに土壌の偉大さを熟知していた。

人間は、単に食物を食べるだけではない。われわれは大地をも食べている。土壌を酷使した結果、流亡や侵食などの作用によって裸地化した斜面から洗い流される土のひと粒ひと粒が、われわれの消費のありさまを示している。砂漠に変わってしまった森や草地はすべて、われわれの代謝作用の総合的な結果にほかならない。

聖賢はいみじくも言い得た。土壌の崩壊は文明の崩壊である。

プロローグ ふたつの農場の物語
第 1部 現代のモンタナ
第 1章 モンタナの大空の下
第 2部 過去の社会
第 2章 イースターに黄昏が訪れるとき
第 3章 最後に生き残った人々
第 4章 古の人々‐‐アナサジ族とその隣人たち
第 5章 マヤの崩壊
第 6章 ヴァイキングの序曲と遁走曲
第 7章 ノルウェー領グリーンランドの開花
第 8章 ノルウェー領グリーンランドの終焉
第 9章 存続への二本の道筋
第 3部 現代の社会
第10章 アフリカの人口危機
第11章 ひとつの島、ふたつの国民、ふたつの歴史‐‐ドミニカ共和国とハイチ
第12章 揺れ動く巨人、中国
第13章 搾取されるオーストラリア
第 4部 将来に向けて
第14章 社会が破滅的な決断を下すのはなぜか?
第15章 大企業と環境‐‐異なる条件、異なる結末
第16章 世界はひとつの干拓地
謝辞/訳者あとがき/参考文献/索引

参考文献
  • トム・デール、ヴァーノン・ギル・カーター:世界文明の盛衰と土壌、山路健訳、農林水 産業生産性向上会議 (1957)
  • V. G. カーター、T. デール:土と文明、山路 健訳、家の光教会 (1975)
  • ジョン・セイモアー、ハバード・ジラルデッド:遙かなる楽園、環境破壊と文明、加藤 辿 ・大島淳子訳、日本放送協会 (1988)
  • 林 蒲田:中国古代土壌分類和土地利用、科学出版社、北京(1996)
言葉の散策 7:元気
語源を訪ねる 語意の真実を知る 語義の変化を認める
そして 言葉の豊かさを感じ これを守る。

啓蟄、蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)、そして菜虫化蝶(なむしちょうとなる)が過ぎ、春分になると寒さから解放され、知らず知らず元気がでてくる。

「字通」によれば、「元気」は天地の本質の気とある。「漢字コトバ散策」につぎのような説明がある。「元気」の本来の意味は、元始の宇宙生成のエネルギーである。つい先般、土星の衛星タイタンから送られてきた写真は、あのもやもやした中から生命を生み出す力こそ「元気」である、と。

李白の「日出入行(にっしゅつにゅうこう)」という太陽の運行をうたった詩に、次のような句があるそうだ。「人は元気に非ず 安くんぞこれと久しく徘徊するを得ん」。これは、人間は創造のエネルギーそのものではないから、太陽といっしょに行動はできないが、宇宙と一体化して、その根元のエネルギーそのものになってみせるぞ、という意に読める。

荘子の達生編によれば、「気が体内で上がりもせず、下がりもせず、体のまん中の胸あたりに集まると、病気になる」のだとある。昔から中国では、人体は小宇宙と考えており、「気」が正しく働いてこそ健康でいられると考えている。「気」の循環の不調和が人の健康を損ねるという考え方である。

「日本国語大辞典」の「元気」の項は次の通りである。天地間に広がり、万物が生まれ育つ根本となる精気。活動の源になる気力。心身の活動力。体の調子がよくて健康なこと。気力。勢力が盛んなこと。病気が治ること。健康が回復すること。なお、減気・験気は、病気の勢いが衰えること、病気が快方に向かうこと、病気が治ること、また、治療や祈祷の効き目があらわれはじめること、とある。

日本列島は、この冬厳しい寒さと大雪に見舞われ多くの災害を経験した。この情報がお手元に届く頃は、相模原キャンパスの桜が咲き始めている頃であろう。自然は休みなくあるがままの姿を続けている。われわれも自然から春の気を頂き、新しい学期に元気を備えよう。それにつけても大月文彦「言海」(1924年)の「自然」の意味、「オノズカラ。天然ニ。」は言い得て妙である。

参考資料

興膳 宏:日経新聞、漢字コトバ散策、元気
日本国語大辞典:小学館(1979)
字通:白川 静、平凡社(1996)
言海:大月文彦、六合館(1924)
総目次(情報:農と環境と医療 1号~12号)
平成17年5月1日から毎月1日に発刊してきた「情報:農と環境と医療」が12号を迎えた。これを機会に1年間の総目次を掲載する。

1号(2005/5/1)
  • 『学長室通信』の創刊にあたって~「以心発信」のススメ~ 北里大学長 柴 忠義  ・・・・・  1
  • はじめに  ・・・・・  2
  • 学長の挨拶:北里学園報臨時号から  ・・・・・  3
  • 平成16年度学園総合事業計画:農学分野を中心とした学部・学科の再編  ・・・・・  7
  • 「農学系新学部設立準備委員会」が設置された  ・・・・・  8
  • 農・環・医にかかわる国際情報:1.INI(国際窒素イニシアティブ)  ・・・・・  9
  • 農・環・医にかかわる国内情報:1.千葉大学環境健康フィールド科学センター(1) ・・・・・  10
  • 研究室訪問 A:医学部;衛生学・公衆衛生学講座  ・・・・・  12
  • 研究室訪問 B:医療衛生学部;衛生管理学講座  ・・・・・  13
  • 文献の紹介 1:Human health effects of a changing global nitrogen cycle  ・・・・・  14
  • 本の紹介 1:ドンネルの男・北里柴三郎 上下、山崎光夫著、東洋経済新報社 (2003)  ・・・・・  14

2号(2005/6/1)
  • 農学系学部改組・改革の推進:「平成17年度北里学園事業計画並びに収支予算」から  ・・・・・  1
  • 第1回十和田新学部開設準備室会議が開催された  ・・・・・  2
  • 農・環・医にかかわる国際情報:2.地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP) ‐地球環境変動と人間の健康‐  ・・・・・  3
  • 農・環・医にかかわる国内情報:2.千葉大学環境健康フィールドセンター(2) ・・・・・  4
  • 研究室訪問 C: 薬学部附属薬用植物園  ・・・・・  5
  • 第7回薬用植物シンポジウム‐世界の薬用植物とその利用法‐  ・・・・・  10
  • 研究室訪問 D:一般教育部 生物学  ・・・・・  11
  • 文献の紹介 2:地球規模での金属汚染の歴史  ・・・・・  13
  • 資料の紹介 1:自然・食・人の健康を保全する循環型地域社会を目指して、養老孟司北里 大学大学院教授講演録、(独)農畜産業振興機構・全国大学附属農場協議 会・北里大学獣医畜産学部(2004) ・・・・・  16
  • 本の紹介 2:ワイル博士の医食同源、アンドルー・ワイル著、上野圭一訳、角川書店(2000) ・・・・・  20
  • 補遺:1号の「はじめに」  ・・・・・  24

3号(2005/7/1)
  • 新都市農業推進協定書締結:北里学園と相模原市  ・・・・・  1
  • 日本学術会議の声明:日本の科学技術政策の要諦  ・・・・・  2
  • 日本学術会議:20期に7部制から3部制へ移行  ・・・・・  3
  • 日本農学アカデミー第7回シンポジウム:人と動物との共生‐伴侶動物・家畜・野生動物‐  ・・・・・  4
  • 紫外線予測と紫外線の害作用‐オゾン層の破壊‐  ・・・・・  5
  • 農・環・医にかかわる国際情報:3.地球環境変動と健康‐ドイツ科学共同体特別計画(案)‐  ・・・・・  10
  • 農・環・医にかかわる国内情報:3.大阪府立大学生命環境科学部  ・・・・・  13
  • 研究室訪問 E:一般教育部 化学  ・・・・・  14
  • 研究室訪問 F:財団法人 北里環境科学センター  ・・・・・  14
  • 本の紹介 3:安全と安心の科学、村上陽一郎著、集英社新書 (2004)  ・・・・・  19
  • 本の紹介 4:日本とEUの有機畜産‐ファームアニマルウェルフェア‐、松永洋一・永松美希編著、農文協(2004)  ・・・・・  22

4号(2005/8/1)
  • 北里大学におけるチーム医療教育および農医連携教育・研究  ・・・・・  1
  • 研究室訪問 G:獣医畜産学部 獣医学科 獣医衛生学  ・・・・・  1
  • 研究室訪問 H:獣医畜産学部 生物生産環境学科 植物生態環境学  ・・・・・  4
  • 研究室訪問 I:獣医畜産学部 動物資源科学科 食品機能・安全学  ・・・・・  5
  • 研究室訪問 J:獣医畜産学部 獣医学科 獣医公衆衛生学  ・・・・・  7
  • 研究室訪問 K:医学部 微生物・寄生虫学  ・・・・・  8
  • 研究室訪問 L:獣医畜産学部 附属フィールドサイエンスセンター(FSC)  ・・・・・  9
  • 北里八雲牛の物語  ・・・・・  11
  • 本の紹介 5:成長の限界 人類の選択、ドネラ・H・メドウズら著、枝廣淳子訳、ダイヤモンド社 (2005)  ・・・・・  17
  • 本の紹介 6:農業本論、新渡戸稲造著、東京裳華房、明治31年(1898)  ・・・・・  21
  • 学長室通信の「農業と環境と医療」を「農と環境と医療」に名称変更  ・・・・・  23

5号(2005/9/1)
  • 農医連携を心したひとびと:1.アレキシス・カレル  ・・・・・  1
  • 農・環・医にかかわる国際情報:4.オランダ・ワーへニンゲン大学  ・・・・・  7
  • 「人と動物の関係学」あらまし  ・・・・・  8
  • 農・環・医にかかわる国内情報:4.わが国の大学における「人と動物の関係学」  ・・・・・  12
  • 研究室訪問 M:獣医畜産学部 生物生産環境学科 水利環境学  ・・・・・  15
  • 研究室訪問 N:水産学部 水圏生態学  ・・・・・  16
  • 研究室訪問 O:水産学部 海洋分子生物学  ・・・・・  17
  • 研究室訪問 P:水産学部 水産生物化学  ・・・・・  18
  • 研究室訪問 Q:水産学部 水産微生物学  ・・・・・  20
  • 本の紹介 6:A HANDBOOK OF MEDICINAL PLANTS OF NEPAL「ネパール産薬用植物ハンドブック」、渡邊高志ら,Kobfai Publishing Project, Foundation for Democracy and Development Studies, Bangkok, Thailand(2005)  ・・・・・  21
  • 本の紹介 7:フード・セキュリティー だれが世界を養うのか、レスター・ブラウン著、福岡克也監訳、ワールドウォッチジャパン(2005)  ・・・・・  23

6号(2005/10/1)
  • 農と医の連携を心したひとびと:2.吉岡金市  ・・・・・  1
  • 農・環・医にかかわる国内情報:5.伴侶動物の腫瘍の早期診断に有効なPET検診  ・・・・・  7
  • 研究室訪問 R:獣医畜産学部 獣医放射線学  ・・・・・  10
  • 研究室訪問 S:獣医畜産学部 人獣共通感染症学  ・・・・・  12
  • 研究室訪問 T:薬学部 公衆衛生学  ・・・・・  13
  • 本の紹介 8:医学の歴史、梶田 昭著、講談社学術文庫(2003)  ・・・・・  15
  • 本の紹介 9:医学概論とは、澤瀉久敬(おもだかひさゆき)著、誠信書房(1987)  ・・・・・  21
  • 閑話休題:ほとほと散らしつるかも  ・・・・・  23

7号(2005/11/1)
  • 「チーム医療教育」と「農医連携」に関する中間報告
    1. 北里大学におけるチーム医療教育プログラムの創出にむけて  ・・・・・  1
    2. 北里大学における農医連携の取り組み(案)  ・・・・・  2
  • アスベスト問題のこれまで  ・・・・・  14
  • 本の紹介 10:「食品報道」のウソを見破る食卓の安全学、松永和紀著、家の光協会(2005)  ・・・・・  20
  • 第1回 薬用植物セミナー「薬用植物と新たな農への取り組み」の開催  ・・・・・  21
  • 言葉の散策 1:「医」と「医療」の由来  ・・・・・  23
  • 言葉の散策 2:「医」のことわざ  ・・・・・  23

8号(2005/12/1)
  • 北里サテライトガーデンの見学会  ・・・・・  1
  • 第1回薬用植物セミナーが開催された  ・・・・・  1
  • 鳥インフルエンザ  ・・・・・  2
  • 代替農業と環境保全型農業  ・・・・・  11
  • 農・環・医にかかわる国内情報:6.健康長寿社会を創出するための医工農連携プロジェクト ‐新たな人体解析システムの確立と地域に根ざした機能性食品の開発‐  ・・・・・  18
  • 研究室訪問 U:北里生命科学研究所 和漢薬物学研究室  ・・・・・  19
  • 資料の紹介 2:フードガイド(仮称)検討報告書、食事バランス(2005)  ・・・・・  20
  • 言葉の散策 3:生・病・老・死  ・・・・・  21
  • 言葉の散策 4:生・病・老・死のことわざ  ・・・・・  22

9号(2006/1/1)
  • 新しい年を迎えて  ・・・・・  1
  • 第1回北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐  ・・・・・  2
  • 日本学術会議第20期が発足  ・・・・・  3
  • 代替医療とeCAM  ・・・・・  4
  • 研究室訪問 V:北里生命科学研究所 生物機能研究室  ・・・・・  11
  • 本の紹介 11:農学原論、祖田 修著、岩波書店(2000)  ・・・・・  12
  • 言葉の散策 5:「農」と「農のことわざ」  ・・・・・  15

10号(2006/2/1)
  • 第3期科学技術基本政策の全容  ・・・・・  1
  • 研究室訪問 W:医療衛生学部 環境衛生学研究室  ・・・・・  3
  • 子どもの喘息:花粉・ダニ・大気汚染・ストレスなど  ・・・・・  5
  • Agromedicine を訪ねる:Journal of Agromedicine  ・・・・・  5
  • 本の紹介 12:農業における環境教育、平成12年度環境保全型農業推進指導事業、全国農業協同組合連合会・全国農業協同組合中央会、家の光協会(2001)  ・・・・・  8
  • 本の紹介 13:環境学原論‐人類の生き方を問う‐、脇山廣三監修・平塚 彰著、電気書院(2004)  ・・・・・  11
  • 言葉の散策 6:環境  ・・・・・  15

11号(2006/3/1)
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(1)医学から農医連携を考える  ・・・・・  1
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(2)東洋医学と園芸療法の融合  ・・・・・  4
  • 農・環・医にかかわる国内情報 7:早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構  ・・・・・  6
  • 続・鳥インフルエンザ:ワクチン  ・・・・・  7
  • 2003年以降の鳥インフルエンザのヒトへの感染状況  ・・・・・  13
  • ナイジェリアで鳥インフルエンザウイルスH5N1型が確認される  ・・・・・  13
  • Agromedicine を訪ねる(2):Journal of Agromedicine  ・・・・・  14
  • 本の紹介 14:昭和農業技術史への証言 第四集▼西尾敏彦編、昭和農業技術研究会、農文協、人間選書 262 (2005)  ・・・・・  15

12号(2006/4/1)
  • 第1回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像  ・・・・・  1
  • 農医連携の花ほころぶ:相模原市で薬用植物栽培・加工体験講座が開催される  ・・・・・  1
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(3)食農と環境を考える  ・・・・・  3
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(4)人間の健康と機能食品  ・・・・・  8
  • 農医連携を心したひとびと:3.新渡戸稲造  ・・・・・  11
  • 本の紹介 15:文明崩壊、上・下、ジャレド・ダイアモンド著、楡木浩一訳、草思社 (2005)  ・・・・・  12
  • 言葉の散策 7:元気  ・・・・・  16
  • 総目次(情報:農と環境と医療 1号~12号)  ・・・・・  17
  • 総索引(情報:農と環境と医療 1号~12号)  ・・・・・  18
  • コラム:スタディスキルズ‐卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド‐  ・・・・・  23
総索引(情報:農と環境と医療 1号~12号)
平成17年5月1日から毎月1日に発刊してきた「情報:農と環境と医療」が12号を迎えた。これを機会に1号から12号までの総索引を掲載した。索引の項目は、「挨拶」、「学内動向」、「国内動向」、「国際動向」、「総説・資料・トピックスなど」、「研究室訪問」、「文献の紹介」、「本・資料の紹介」、「講演会など」、「農医連携を心したひとびと」、「言葉の散歩」、「その他」とした。

挨 拶
  • 『学長室通信』の創刊にあたって~「以心発信」のススメ~ 北里大学長 柴 忠義  ・・・・・  1- 1
  • はじめに  ・・・・・  1- 2
  • 学長の挨拶:北里学園報臨時号から  ・・・・・  1- 3
  • 補遺:1号の「はじめに」  ・・・・・  2- 24
  • 新しい年を迎えて  ・・・・・  9- 1

学内動向
  • 平成16年度学園総合事業計画:農学分野を中心とした学部・学科の再編  ・・・・・  1- 7
  • 「農学系新学部設立準備委員会」が設置された  ・・・・・  1- 8
  • 農学系学部改組・改革の推進:「平成17年度北里学園事業計画並びに収支予算」から  ・・・・・  2- 1
  • 第1回十和田新学部開設準備室会議が開催された  ・・・・・  2- 2
  • 新都市農業推進協定書締結:北里学園と相模原市  ・・・・・  3- 1
  • 北里大学におけるチーム医療教育および農医連携教育・研究  ・・・・・  4- 1
  • 「チーム医療教育」と「農医連携」に関する中間報告
    1. 北里大学におけるチーム医療教育プログラムの創出にむけて  ・・・・・  7- 1
    2. 北里大学における農医連携の取り組み(案)  ・・・・・  7- 2
  • 北里サテライトガーデンの見学会  ・・・・・  8- 1
  • 第1回北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐  ・・・・・  9- 2

国内情報
  • 農・環・医にかかわる国内情報:1.千葉大学環境健康フィールド科学センター(1)  ・・・・・  1- 10
  • 農・環・医にかかわる国内情報:2.千葉大学環境健康フィールドセンター(2)  ・・・・・  2- 4
  • 日本学術会議の声明:日本の科学技術政策の要諦  ・・・・・  3- 2
  • 日本学術会議:20期に7部制から3部制へ移行  ・・・・・  3- 3
  • 農・環・医にかかわる国内情報:3.大阪府立大学生命環境科学部  ・・・・・  3- 13
  • 農・環・医にかかわる国内情報:4.わが国の大学における「人と動物の関係学」  ・・・・・  5- 12
  • 農・環・医にかかわる国内情報:5.伴侶動物の腫瘍の早期診断に有効なPET検診  ・・・・・  6- 7
  • 農・環・医にかかわる国内情報:6. 健康長寿社会を創出するための医工農連携プロジェクト ‐新たな人体解析システムの確立と地域に根ざした機能性食品の開発‐  ・・・・・  8- 18
  • 日本学術会議第20期が発足  ・・・・・  9- 3
  • 第3期科学技術基本政策の全容  ・・・・・  10- 1
  • 農・環・医にかかわる国内情報:7.早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構  ・・・・・  11- 6
  • 農医連携の花ほころぶ:相模原市で薬用植物栽培。加工体験講座が開催される  ・・・・・  12- 1

国際情報
  • 農・環・医にかかわる国際情報:1.INI(国際窒素イニシアティブ)  ・・・・・  1- 9
  • 農・環・医にかかわる国際情報:2.地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP) ‐地球環境変動と人間の健康‐  ・・・・・  2- 3
  • 農・環・医にかかわる国際情報:3.地球環境変動と健康 ‐ドイツ科学共同体特別計画(案)‐  ・・・・・  3- 10
  • 農・環・医にかかわる国際情報:4.オランダ・ワーへニンゲン大学  ・・・・・  5- 7

総説・資料・トピックスなど
  • 紫外線予測と紫外線の害作用‐オゾン層の破壊‐  ・・・・・  3- 5
  • 北里八雲牛の物語  ・・・・・  4- 11
  • 「人と動物の関係学」あらまし  ・・・・・  5- 8
  • アスベスト問題のこれまで  ・・・・・  7- 14
  • 鳥インフルエンザ  ・・・・・  8- 2
  • 代替農業と環境保全型農業  ・・・・・  8- 11
  • 代替医療とeCAM  ・・・・・  9- 4
  • 子どもの喘息:花粉・ダニ・大気汚染・ストレスなど  ・・・・・  10- 5
  • Agromedicine を訪ねる:Journal of Agromedicine  ・・・・・  10- 5
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(1)医学から農医連携を考える  ・・・・・  11- 1
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(2)東洋医学と園芸療法の融合  ・・・・・  11- 4
  • 続・鳥インフルエンザ:ワクチン  ・・・・・  11- 7
  • 2003年以降の鳥インフルエンザのヒトへの感染状況  ・・・・・  11- 13
  • ナイジェリアで鳥インフルエンザウイルスH5N1型が確認される  ・・・・・  11- 13
  • Agromedicine を訪ねる(2):Journal of Agromedicine  ・・・・・  11- 14
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(3)食農と環境を考える  ・・・・・  12- 3
  • 第1回 北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐(4)人間の健康と機能食品  ・・・・・  12- 8

研究室訪問
  • 研究室訪問 A:医学部;衛生学・公衆衛生学講座  ・・・・・  1- 12
  • 研究室訪問 B:医療衛生学部;衛生管理学講座  ・・・・・  1- 13
  • 研究室訪問 C: 薬学部附属薬用植物園  ・・・・・  2- 5
  • 研究室訪問 D:一般教育部 生物学  ・・・・・  2- 11
  • 研究室訪問 E:一般教育部 化学  ・・・・・  3- 14
  • 研究室訪問 F:財団法人 北里環境科学センター  ・・・・・  3- 14
  • 研究室訪問 G:獣医畜産学部 獣医学科 獣医衛生学  ・・・・・  4- 1
  • 研究室訪問 H:獣医畜産学部 生物生産環境学科 植物生態環境学  ・・・・・  4- 4
  • 研究室訪問 I:獣医畜産学部 動物資源科学科 食品機能・安全学  ・・・・・  4- 5
  • 研究室訪問 J:獣医畜産学部 獣医学科 獣医公衆衛生学  ・・・・・  4- 7
  • 研究室訪問 K:医学部 微生物・寄生虫学  ・・・・・  4- 8
  • 研究室訪問 L:獣医畜産学部 附属フィールドサイエンスセンター(FSC)  ・・・・・  4- 9
  • 研究室訪問 M:獣医畜産学部 生物生産環境学科 水利環境学  ・・・・・  5- 15
  • 研究室訪問 N:水産学部 水圏生態学  ・・・・・  5- 16
  • 研究室訪問 O:水産学部 海洋分子生物学  ・・・・・  5- 17
  • 研究室訪問 P:水産学部 水産生物化学  ・・・・・  5- 18
  • 研究室訪問 Q:水産学部 水産微生物学  ・・・・・  5- 20
  • 研究室訪問 R:獣医畜産学部 獣医放射線学  ・・・・・  6- 10
  • 研究室訪問 S:獣医畜産学部 人獣共通感染症学  ・・・・・  6- 12
  • 研究室訪問 T:薬学部 公衆衛生学  ・・・・・  6- 13
  • 研究室訪問 U:北里生命科学研究所 和漢薬物学研究室  ・・・・・  8- 19
  • 研究室訪問 V:北里生命科学研究所 生物機能研究室  ・・・・・  9- 11
  • 研究室訪問 W:医療衛生学部 環境衛生学研究室  ・・・・・  10- 3

文献の紹介
  • 文献の紹介 1:Human health effects of a changing global nitrogen cycle  ・・・・・  1- 14
  • 文献の紹介 2:地球規模での金属汚染の歴史  ・・・・・  2- 13

本・資料の紹介
  • 本の紹介 1:ドンネルの男・北里柴三郎 上下、山崎光夫著、東洋経済新報社(2003)  ・・・・・  1- 14
  • 資料の紹介 1:自然・食・人の健康を保全する循環型地域社会を目指して、養老孟司北里 大学大学院教授講演録、(独)農畜産業振興機構・全国大学附属農場協議会・北里大学獣医畜産学部(2004)  ・・・・・  2- 16
  • 本の紹介 2:ワイル博士の医食同源、アンドルー・ワイル著、上野圭一訳、角川書店(2000)  ・・・・・  2- 20
  • 本の紹介 3:安全と安心の科学、村上陽一郎著、集英社新書 (2004)  ・・・・・  3- 19
  • 本の紹介 4:日本とEUの有機畜産‐ファームアニマルウェルフェア‐、松永洋一・永松美希編著、農文協(2004)  ・・・・・  3- 22
  • 本の紹介 5:成長の限界 人類の選択、ドネラ・H・メドウズ著ら、枝廣淳子訳、ダイヤモンド社 (2005)  ・・・・・  4- 17
  • 本の紹介 6-1:農業本論、新渡戸稲造著、東京裳華房、明治31年(1898)  ・・・・・  4- 21
  • 本の紹介 6-2:A HANDBOOK OF MEDICINAL PLANTS OF NEPAL「ネパール産薬用植物ハンドブ ック」、渡邊高志ら,Kobfai Publishing Project, Foundation for Democ racy and Development Studies, Bangkok, Thailand(2005)  ・・・・・  5- 21
  • 本の紹介 7:フード・セキュリティー だれが世界を養うのか、レスター・ブラウン著、福岡克也監訳、ワールドウォッチジャパン(2005)  ・・・・・  5- 23
  • 本の紹介 8:医学の歴史、梶田 昭著、講談社学術文庫(2003)  ・・・・・  6- 15
  • 本の紹介 9:医学概論とは、澤瀉久敬(おもだかひさゆき)著、誠信書房(1987)  ・・・・・  6- 21
  • 本の紹介 10:「食品報道」のウソを見破る食卓の安全学、松永和紀著、家の光協会(2005)  ・・・・・  7- 20
  • 資料の紹介 2:フードガイド(仮称)検討報告書、食事バランス(2005)  ・・・・・  8- 20
  • 本の紹介 11:農学原論、祖田 修著、岩波書店(2000)  ・・・・・  9- 12
  • 本の紹介 12:農業における環境教育、平成12年度環境保全型農業推進指導事業、全国農業協同組合連合会・全国農業協同組合中央会、家の光協会(2001)  ・・・・・  10- 8
  • 本の紹介 13:環境学原論‐人類の生き方を問う‐、脇山廣三監修・平塚 彰著、電気書院(2004)  ・・・・・  10- 11
  • 本の紹介 14:昭和農業技術史への証言 第四集▼西尾敏彦編、昭和農業技術研究会、農文協、人間選書 262 (2005)  ・・・・・  11- 15
  • 本の紹介 15:文明崩壊 上・下、ジャレド・ダイアモンド著、楡木浩一訳、草思社(2005)  ・・・・・  12- 12

講演会など
  • 第7回薬用植物シンポジウム‐世界の薬用植物とその利用法‐  ・・・・・  2- 10
  • 日本農学アカデミー第7回シンポジウム:人と動物との共生 ‐伴侶動物・家畜・野生動物‐  ・・・・・  3- 4
  • 第1回 薬用植物セミナー「薬用植物と新たな農への取り組み」の開催  ・・・・・  7- 21
  • 第1回薬用植物セミナーが開催された  ・・・・・  8- 1
  • 第1回北里大学農医連携シンポジウム‐農・環境・医療の連携を求めて‐  ・・・・・  9- 2
  • 第1回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像  ・・・・・  12- 1

農医連携を心したひとびと
  • 農医連携を心したひとびと:1.アレキシス・カレル  ・・・・・  5- 1
  • 農医連携を心したひとびと:2.吉岡金市  ・・・・・  6- 1
  • 農医連携を心したひとびと:3.新渡戸稲造  ・・・・・  12- 11

言葉の散歩
  • 言葉の散策 1:「医」と「医療」の由来  ・・・・・  7- 23
  • 言葉の散策 2:「医」のことわざ  ・・・・・  7- 23
  • 言葉の散策 3:生・病・老・死  ・・・・・  8- 21
  • 言葉の散策 4:生・病・老・死のことわざ  ・・・・・  8- 22
  • 言葉の散策 5:「農」と「農のことわざ」  ・・・・・  9- 15
  • 言葉の散策 6:環境  ・・・・・  10- 15
  • 言葉の散策 7:元気  ・・・・・  12- 16

その他
  • 学長室通信の「農業と環境と医療」を「農と環境と医療」へ名称変更  ・・・・・  4- 23
  • 閑話休題:ほとほと散らしつるかも  ・・・・・  6- 23
  • 総目次(情報:農と環境と医療 1号~12号)  ・・・・・  12- 17
  • 総索引(情報:農と環境と医療 1号~12号)  ・・・・・  12- 20
  • コラム:スタディスキルズ ‐卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド‐  ・・・・・  12- 23
コラム:スタディスキルズ −卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド−
新学期が始まった。新たにコラムを始める。最初は、卒業論文、博士論文、さらには研究生活に関する本を紹介する。

この本は、北里大学一般教育部の伊藤俊洋教授、黒澤麻美講師、吉田朱美講師および創価大学工学部の伊藤佑子教授によって訳された本だ。丸善株式会社から2005年に出版されている。原書(Study Skills -A Student Survival Guide-)は、英国のガン研究所の研究・教育担当スタッフが博士課程の学生のために書き綴ったものだ。博士論文を作成するまでのスタディースキル(研究する技術、技能、訓練、わざ、巧み)、学生の研究におけるサバイバル(生き残ること、生き延びること、助かること、生存の、生き残れる)のためのガイド(指導、道案内、導く、案内する)だ。書名がカタカナであるのは、この本の内容が多岐にわたるため、ひとつの言葉を選択できなかったからだろう。

ここでは、研究室生活での出発点から終着点までが、ハード面、ソフト面、3次元空間に時間軸を加えた4次元の世界で語られる。研究室における日常生活の仕方、時間の使い方、研究計画の立て方、共同研究者や指導教員との接し方、健康維持の仕方、情報検索の仕方、文献の読み方と取捨選択の仕方に加えて、仕事が思うように進まないときや論文を書く気にならない状態に対する心理学的な考察など、極めて細やかな内容が盛り込まれている。

この書の内容に沿って研究を進めていけば、精力的に研究職となるための基礎を身につけることができると共に研究以外の生き方もまた充実できるだろう。そのためには、著者は「まえがき」で、以下の問をいつも自問自答しろという。

私は、効率よく働いているだろうか?
私は、研究チームとうまくいっているだろうか?
必要な情報をすべて、しっかり受け取っているだろうか?
そして何よりもまず私は、満足のいく結果を得ているだろうか?

また、各章の終わりには「チェックリスト」と「もっと知りたいヒトのために」がある。前者は実際にその章の内容を行った後で、必要な項目をチェックできるようにしてある。これをすべて行えば、完璧な内容になること請け合いだ。後者は、さらに詳細を知りたいあるいは実行したい人に、関連する文献、書籍およびウェブサイトが紹介されている。まさにガイドブックだ。自分で思考することを怠りかねないほど親切だ。しかし、これによってマニュアルバカが生まれる可能性なきにしもあらずだ。

最後の「訳者のことば」には、長い年月にわたって教育に携わった教師の思いが余すところなく表れている。卒業論文を書くという魅力的で冒険的な経験、孤独な研究生活への旅立ち、博士課程を経て学究生活に入ろうとするときの動揺など、学生生活で体験するさまざまな事象に援助と厳しい手をさしのべたい訳者の思いが、この本の翻訳の丁寧さに表れている。例えば、英国の話を日本の場合どうであるか、いたるところに訳者の註や付録が加えられ、原文の意味を取り違えない範囲で、読みやすい文章にしてある。

本のカバーに次の文章がある。

「人生を左右する大切な試練の時、本書でスキルを身につけ、掛け替えのない研究室生活を存分に楽しんで、その後の人生を豊かなものにして戴ければ、これに優る喜びはない」と。

この本には、「坂の上の雲」を見る明るさがある。コラムにしては少し長すぎた。自省。
*本情報誌の無断転用はお断りします。
北里大学学長通信
情報:農と環境と医療12号
編集・発行 北里大学学長室
発行日 2006年4月1日