2019年から続く新型コロナウイルス感染症禍の中でこの大役を仰せつかっております。世界的なこの災禍が早期に収束することを祈願するとともに感染症の北里大学、そして北里大学病院と北里大学病院群がこの災禍収束に少しでも貢献していく覚悟ですのでどうぞよろしくお願い申し上げます。いまだ新型コロナウィルスの変異株は次々に出現しております。医療現場におきましては、予想のできない事態が発生しうる状況が続いておりますが、引き続き皆さまにおかれましても平時とは異なる北里大学病院の医療提供体制にご理解いただけますようお願い申し上げます。
北里大学病院は、このような状況におきましても未来を見据えた医療の推進を進めてまいります。ご存知の通り、北里大学病院は神奈川県相模原市南区にございます特定機能病院です。病床数は1200を数え日本有数の大病院でもあります。その医療圏は神奈川県の県央地区をはじめとし、東京都多摩地区など近隣地区をも含み、その人口は約200万人と全国見渡してもあまり類の見ない大変大きな規模であります。その医療圏のなかで、北里大学病院はむろん最大の医療機関となります。そのため担う責務は「最先端の先進医療の提供」と「地域医療への貢献」と一見相反するものでもあります。しかし、北里大学病院は開院以来50年にわたりこのバランスを極めて絶妙に保ち今日に至っております。私はこれからも責任を持ってこの責務、ミッションを全うする覚悟でございます。
北里大学病院は理念として、学祖北里柴三郎先生の建学の理念を医学・医療の場を通じて具現化するため
1、患者中心の医療
2、共に創りだす医療
を掲げ、患者さんの人権を尊重し、信頼される安全で高度な医療の実践を目指すとともに、患者さんとともに、全ての医療人・地域が連携して総合的なチーム医療を提供し、健康で幸福な生活を実現することとしています。まさに半世紀にわたり、相模原市が政令指定都市という大都市に変貌する時期を経験しながらも一貫してこの理念は息づいてきたものと考えております。
北里大学病院の担ってきた今日までの責務、ミッションに加え、私はさらに未来を見据えた方針として、次の項目を挙げたいと考えております。
①世界に先取る最新医療体制の実現
②医療安全体制の確立
③地域医療とのさらなる連携と推進
私はこれらを病院の大きな柱に取り組んでまいりたいと考えております。 具体的には、世界レベルの診断、治療技術のさらなる推進はもちろんのこと、医療現場へのICT、AI、ロボットの導入をさらに進めて参ります。同時に医療の質、安全性、パフォーマンスをも向上させます。ICTをはじめとした革新的技術を取り入れることにより、限られたリソースを最大限に活用し、医療の価値を最大化することが実現可能と考えています。これにより、医療機関、患者さん等それぞれが必要なデータを安全・適切、かつ迅速に共有等することで、患者さんの状態を適切に把握し、より最適な治療が可能になり、医療の効率化も期待できると考えております。またこれは地域医療連携の充実にも大きく貢献できると考えています。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い対面診療等の在り方も見直されてもいる昨今においても喫緊の課題と考え、人とICT技術の協働に資する基盤と技術の確立、その実装に向けて取り組んで参ります。これにより、北里大学病院は一歩進んだスマートホスピタルに近づくと確信しております。
同時に医療安全につきましても、ICT技術の進歩をはじめとする医療の高度化とともに、皆様の信頼に足る診療体制構築に向け、十二分なリーダーシップを発揮し、組織として医療安全の確保に取り組む病院管理運営に取り組みます。
最後に長きにわたり貫いてきました地域医療への貢献としまして、三次救急医療体制をさらに確立します。また、地域の病院や診療所、クリニックとさらに密に連携し、大学病院らしい高度な医療を患者さんに充分に提供した後には最適なタイミングで各施設にお返しする、スムーズ、かつ患者さんにも負担の少ない医療の流れを作って参ります。
さらに、医療従事者一人ひとりも健康に働くとともに、医療従事者に求められる高水準の技術の習得に励み、働き方改革を意識しながらも医学の進歩に貢献したいと考えています。そして地域の皆様と共同歩調をとり地域に根ざした医療の継続に尽力します。皆さまのご理解が是非とも必要ですのでよろしくお願い申し上げます。
いかなる状況下においても、皆様が安心して医療を受けられる盤石な体制を構築し、全ての柱を達成すべく全力で取り組んで参ります。末筆となりますが、新型コロナウイルス感染症の早期の収束と、皆さまの健康と幸せを心から祈願しております。
北里大学病院の皆さまのさらなるご理解をどうぞよろしくお願い申し上げます。
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