安心で安全な医療を提供するために、それぞれの専門分野を活かしながらチーム一丸となって活動しています
室長高山 陽子
北里大学病院感染管理室は、施設内における感染症の発症を予防するために2007年4月に設置されました。
感染管理室には、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・事務職員の多職種が所属しています。私たちは患者さんに安心で安全な医療を提供するために、それぞれの専門分野を活かしながらチーム一丸となって活動しています。具体的な活動内容は、病院内の感染制御・各部門からの相談事項への対応・職員の感染症に関する教育や安全管理などです。
加えて、感染症が大きな社会問題になってきた現代において、院内の各部門のみならず地域の医療機関とも積極的に連携を取りながら感染制御に関する適切な情報提供を行う役割も果たしています。
本ホームページを通して、私たちの日常の活動をご理解いただければと願っております。
医師 3名、看護師 4名、薬剤師 2名、臨床検査技師 1名、事務 3名
2007年4月1日、院内感染防止のための企画・立案・指導を行う部署として感染管理室が、感染対策の実働部隊として院内感染対策チーム(ICT)が、2019年3月1日には、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)が設置されました。また、各部署には、ICTとの連絡を担当するリンクスタッフを任命し、速やかな対応が可能となるよう管理体制を構築しています。
リンクスタッフは、当初看護師のみを任命していましたが、2009年度から医師以外の医療スタッフおよび事務職員、2014年度から各診療科1名ずつの医師を加えて活動を行っています。
感染対策を行う上で重要な耐性菌が検出された際には、必要な感染対策について各部門に指導すると共に対策の実施状況を定期的に確認し、耐性菌が拡がらないよう活動を行っています。
当院では特定の抗菌薬を使用している患者さん、本来は菌が検出されない場所から菌が検出されている患者さん等について、治療が適切に行われているかを日々確認し、必要に応じて治療への支援を行っています。
週1回指定抗菌薬長期使用者を中心に、医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師より構成される多職種チームで感染症治療の妥当性を評価し、医師にフィードバックを行っております。2021年度は計48回実施し、対象患者さんは延べ389例(注射293例、内服96例)でした。
医師・薬剤師が定期的に重症系病床(EICU・GICU・PICU・NICU)をラウンドしています。指定抗菌薬で治療中の患者さんを中心に、最適な感染症治療に向けて適宜介入しております。必要に応じて抗菌薬適正使用ラウンドに症例提示しています。2021年度は120回ラウンドを実施しました。
毎週1回院内をラウンドし、患者さんの療養環境の整備状況の確認や院内感染対策の実施状況を確認すると共に改善に向けた指導を行っています。
耐性菌の検出状況、医療器具(中心静脈カテーテル、尿道留置カテーテル、人工呼吸器)を使用していることに関連した感染症の発生状況、手術部位感染症の発生状況、抗菌薬の使用状況等を定期的に調査し、院内での感染症発生状況を把握すると共に今後の感染対策活動に活用しています。
血液や体液が付着した針や鋭利な器具で受傷した際には、肝炎やヒト免疫不全ウイルス等に感染する恐れがあります。感染管理室では、受傷した職員に聞き取りを行い、今後、同様の事象が起きないようにするための対策を立案しています。
職員は年2回以上の感染対策に関する講習会の受講を必須としています。それ以外にも、院内の広報システムに感染対策に関連した学習コンテンツを掲載し、全職員がいつでも受講できるようにしています。感染対策の基本である手指衛生は、手指衛生に関する基礎知識、適切なタイミング、また、手荒れ防止の3つのコンテンツを掲載しています。その他、標準予防策や感染経路別予防策があります。
抗菌薬の適正使用推進のために、抗菌薬の学習機会の少ない看護師を対象に、システムを活用した学習コンテンツと講義形式の講習会も開催しています。
職業感染対策として必要なN95マスクの着脱やフィットテストは手技の習得が不可欠であり、演習形式で実施しています。また、血液培養検査のグラム染色も微生物検査室にて演習形式で行います。
医師向けには、症例ベースのディスカッション形式で、診療に役立つセミナーを開催しています。
院内の感染対策を行う上で特に重要な項目について記載したマニュアルを作成し、1年毎に見直し作業を行っています。
当院では「感染対策向上加算1」を算定しており、9施設と連携を行っております。
感染対策や治療について、前期および後期研修医、医学部・看護学部・医療衛生学部生等への教育を行っています。2022年度から、前期研修医の希望者を対象に、感染管理室単独のローテーション制度が開始されました。
本研究は多施設共同研究です。当院における抗菌薬使用状況、耐性菌発生状況、手指衛生剤消費量に関するデータを診療録から抽出・集計し、主研究機関である東京慈恵会医科大学附属病院感染対策室に送付しています。当院のデータは全国の私立大学病院のデータと統合され解析されます。得られた知見は薬剤耐性菌などの蔓延防止や、抗菌薬適正使用の推進に役立てられます。尚、抽出データから患者さんが特定されることはありません。
(北里大学内研究代表者 高山陽子)
34種のウイルスを中心にゲノム解析(PCR、LAMP法など)、ウイルス分離などを行っております。感染症病因解析、地域感染サーベイランス、既存検査法改良を目的とした前方視症例集積観察研究で、北里大学医学部小児科(研究代表者 伊藤尚志)を主管とし、北里大学病院を含む10施設の病院・クリニックと、2つの研究施設が参加しております。
北里大学病院で分娩される妊婦さん、分娩の際の臍帯血、出生後の小児の各血清抗体価解析を行っております。開発および改良が期待されるRSウイルスや百日咳の新規ワクチン、治療薬に関して、日本人の基礎データとして活用が予定されています。北里大学医学部小児科(研究代表者 伊藤尚志)、北里大学医学部産婦人科、北里大学大村智記念研究所で検体採取と解析を行っております。
日本小児科学会では、臨床データの少ない小児COVID-19症例の疫学情報共有や臨床経過の解析をすることを目的として、2020年5月22日よりレジストリ調査を行っています。北里大学病院では小児COVID-19症例の受入・管理を行っており、本研究へ参加しております。北里大学医学部小児科(研究代表者 伊藤尚志)で同意を頂いた研究参加者のデータ登録を行っております。
現在、周術期予防抗菌薬における組織内濃度を検討した大規模な研究はありません。北里大学病院泌尿器科、麻酔科、北里大学大村智記念研究所との共同研究として、手術症例を対象にターゲットとなる皮下・患部周辺組織ならびに血中の抗菌薬濃度を経時的に測定します。それによって、術後感染予防に適切な抗菌薬の投与方法を科学的に検証し、手術部位感染の減少に役立てます(研究代表者 高山陽子)。
ESBL(extended spectrum β-lactamase:基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌は、薬剤耐性菌の一つです。ESBL産生菌の治療薬の一つとしてセフメタゾールという抗菌薬が知られています。本研究は、ESBL産生菌に対してセフメタゾールを使用した症例を対象に血中濃度を測定し、セフメタゾールの至適投与量の探索を行います。(研究代表者 小松敏彰)
当院では、患者さんに行った細菌検査の結果と感染症に使用された抗菌薬についてのデータを継続的に集計、分析しています。
これらの調査へのご協力をお願い致します。
当院では、患者さんが細菌検査を受けた際に、分離された細菌の菌名や薬剤感受性に関するデータの集計、分析を継続的に行っています。また感染症の治療に用いる抗菌薬の使用状況のデータに関しても同様に集計、分析しています。これらのとり組みは、薬剤耐性菌などの特定の細菌の蔓延を防止するとともに抗菌薬の適正な使用の促進に役立ちます。
患者さんの 1) 臨床分離菌情報(2016年4月1日~2023年12月31日)、2) 抗菌薬使用状況(2016年4月1日~2023年12月31日)を収集し、個人情報とは連結できないように匿名化して集計・分析を行います。
本調査の実施には、院内規定および厚生労働省「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を守った上で、適正に患者さんの情報を取り扱います。
収集したデータは、この調査以外には一切利用いたしません。本調査の結果は、学会発表や学術雑誌等で公に発表されることがありますが、データは多くの患者さんから集められた形で扱うため、個人名や身元などが明らかになることは決してありません。患者さんの人権とプライバシーの保護には十分配慮いたします。この調査のためだけに検査を行うことはなく、患者さんの経済的負担は一切ありません。
不明な点・疑問な点がある方は北里大学病院感染管理室にお問い合わせください。
電話番号:042-778-8111(代表)
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