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内視鏡検査・治療について【内視鏡センター】

1.消化器内視鏡検査

1)上部消化管グループ

いわゆる胃カメラを担当します。現在では主に食道、胃、十二指腸を観察することが標準化されていますが、口、のども観察することが可能です。当院ではすべてオリンパス社製の内視鏡を導入しています。内視鏡ビデオスコープシステムの進化により高精細ハイビジョン画像となり、早期がん発見に貢献する狭帯域光観察(NBI)も全検査室(5部屋)で対応可能です。さらに拡大内視鏡を組み合わせることで、がんなどの微細病変の早期発見とその拡がりを診断できるようになりました。お持ちの病気や体の状態にも因りますが、患者さんの負担を軽減する経鼻内視鏡や鎮静剤使用下での内視鏡検査にも対応しています。早期がんに対する内視鏡治療(EMRやESD)は2020年度は257件実施しています。

  • 図1

    図1

  • 図2

    図2

  • 図3

    図3

図1:通常検査に用いる白色光での食道内視鏡写真
図2:NBIを用いた食道内視鏡写真(食道がん)
図3:NBI+拡大内視鏡での早期胃がんの内視鏡写真

2)下部消化管グループ

下部消化管グループでは、大腸内視鏡検査、大腸超音波内視鏡検査、小腸内視鏡検査、小腸カプセル内視鏡検査を担当しています。内視鏡機器は最新のものから細径のものまでラインナップされており、症例毎に最適なスコープを選択して検査を行っています。

大腸内視鏡検査の施行数は2020年度は4,131件で、早期大腸癌や大腸ポリープの診断と内視鏡治療、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の診断を行っています。通常観察に狭帯域光観察(NBI)やクリスタルバイオレット散布による色素拡大観察、超音波内視鏡観察を併用し、腫瘍の良・悪性診断、広がりや深さの診断を行い、患者さんの納得がいく治療を提供するよう努めています。大腸腫瘍に対する内視鏡治療は2020年度は1591件行っており、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も2020年度は70件行っています。最近では高周波を使用しないでポリープを切除するコールドポリペクトミーも導入しており、抗血栓薬を服用中の患者さんに対する治療も拡大しています。また内視鏡的止血術やクローン病の腸管狭窄に対するバルーン拡張術、大腸癌の狭窄例に対するイレウス管挿入やステント挿入術も数多く行っています。

内視鏡的摘除は20mm大までであれば外来が摘除可能ですが、サイズが大きい場合や基礎疾患を有する患者さんは入院での摘除を行っています。

3)胆膵グループ

胆膵疾患に対する内視鏡診療は、①内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)およびERCP関連手技、②超音波内視鏡(EUS)/超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)、③その他の治療内視鏡に分けられます。

①内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP) およびERCP関連
手技
胆汁や膵液が十二指腸へ流れ出る出口(十二指腸乳頭部)を観察しながら、カテーテルを胆管や膵管に挿入し造影剤を注入することで、胆管や膵管の評価を行います(図1)。必要に応じて胆汁や膵液の採取(吸引細胞診)や、癌などによる狭窄部の組織生検(組織診)を行います。
また、胆管癌や膵癌によって生じた閉塞性黄疸(胆管が癌で閉塞し、胆汁が流れなくなる状態)を解消する目的でステント留置を行います(図2)。胆管ステント留置術同様、慢性膵炎による膵管狭窄に対しても膵管へのステント留置も行います(図3)。さらに、胆管結石や膵石に対する内視鏡治療では、電気メスで十二指腸乳頭部を切開したり(内視鏡的乳頭括約筋切開術(図4))、風船で拡張する(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)したりすることで、胆管結石や膵石を除去します(内視鏡的胆管結石除去術(図5))。巨大胆管結石などの治療困難例に対しては、直接胆道内へ細径の内視鏡(胆道鏡)を挿入し、電気水圧衝撃波を用いて結石を破砕する治療を行います(図6)。
胃の手術後(術後腸管再建)の患者さんに対しては、小腸用バルーン内視鏡(通常のERCP用内視鏡よりも長く、風船をつけた内視鏡)を用いて診断や治療を行います(図7)。

  • 図1:原発性硬化性胆管炎の胆管造影像

    図1:原発性硬化性胆管炎の胆管造影像

  • 図2:悪性胆道狭窄(膵癌による)に対する金属ステントを用いた胆管ドレナージ術

    図2:悪性胆道狭窄(膵癌による)に対する金属ステントを用いた胆管ドレナージ術

  • 図3:慢性膵炎による膵管狭窄に対するプラスチックステントを用いた膵管ドレナージ術

    図3:慢性膵炎による膵管狭窄に対するプラスチックステントを用いた膵管ドレナージ術

  • 図4:内視鏡的乳頭括約筋切開術

    図4:内視鏡的乳頭括約筋切開術

  • 図5:内視鏡的胆管結石除去術

    図5:内視鏡的胆管結石除去術

  • 図6:電気水圧衝撃波を用いた胆管結石の破砕

    図6:電気水圧衝撃波を用いた胆管結石の破砕

  • 図7:小腸鏡を用いたERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

    図7:小腸鏡を用いたERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

②超音波内視鏡(EUS)および超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)、EUS関連治療
超音波内視鏡検査(EUS)は、体表から行う腹部超音波検査とは異なり、消化管(胃や十二指腸)を介してより近くから胆道(胆のう・胆管)や膵臓を観察することできるため、微細な変化や、CTやMRIでは描出困難な小病変の検出に優れています(図8)。当センターでは膵管に変化がみられる場合や、膵嚢胞性病変(水の袋のような変化)を有する患者さんに積極的にEUSを行い、早期の膵臓癌の発見に努めています。超音波内視鏡下に目的の病変に針を刺し、組織を採取することで病理診断を行う検査が、超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)(図9)です。治療方針を決定する重要な検査と言えます。
最近では、ERCPによる胆管、膵管のドレナージが困難な一部の症例に対して、超音波内視鏡下に拡張した胆管や膵管を胃や十二指腸から穿刺しチューブを留置する超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD)(図10)や超音波内視鏡下膵管ドレナージ(EUS-PD)、重症急性膵炎後に生じる膵周囲液体貯留に対するドレナージなども施行しています。

  • 図8:腫瘍径20mm以内の膵がんの超音波内視鏡像

    図8:腫瘍径20mm以内の膵がんの超音波内視鏡像


    図9:膵腫瘤に対するEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺術)(左図)と胃粘膜下腫瘍に対するEUS-FNA(右図)

    図9:膵腫瘤に対するEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺術)(左図)と胃粘膜下腫瘍に対するEUS-FNA(右図)

  • 図10:膵がんによる悪性胆道狭窄に対する超音波内視鏡下胆道ドレナージ術(EUS-BD)

    図10:膵がんによる悪性胆道狭窄に対する超音波内視鏡下胆道ドレナージ術(EUS-BD)


    図11:膵がんによる悪性十二指腸狭窄に対する内視鏡的十二指腸ステント留置術

    図11:膵がんによる悪性十二指腸狭窄に対する内視鏡的
    十二指腸ステント留置術

③その他の治療内視鏡
進行した膵臓癌や胃癌、十二指腸癌では、胃や十二指腸が癌によって占拠され食事が通過せず、嘔気・嘔吐の出現・経口摂取困難な状況を生じます。このような患者さんに対して、癌による狭窄部を拡張する金属製ステントを留置することよって、嘔気・嘔吐の症状を緩和し、多くの場合では食事の摂取が可能になります。この治療内視鏡が、内視鏡的消化管ステント留置術です(図11)。以前行われていた手術によるバイパス術に比べ、患者さんへの負担が少なく、入院期間を減らすことが知られています。

4)肝臓グループ

消化器内科・肝臓グループは、内視鏡センターにおいて主に食道・胃静脈瘤に対する治療を担当しています。肝臓病の代表疾患である肝硬変においては、腸管からのすべての血液を肝臓が受け入れられないため、一部はバイパスを介して心臓に戻っています。そのバイパスの代表が食道・胃静脈瘤です。肝硬変患者さんの約70%に合併し、治療をしないと年に約15から20%の静脈瘤から出血すると言われています。以前は非常に重篤な疾患でしたが、内視鏡を用いた治療法(食道・胃静脈瘤硬化療法や食道静脈瘤結紮術)が開発されて以降、その死亡率は低下しました。しかし肝硬変症が基礎疾患にあることから、血小板数が少なかったり血液が固まり難かったりするなど治療に難渋するなど症例も少なくありません。当科では2020年度は食道・胃静脈瘤治療を65件実施しています。また内視鏡治療単独では困難な症例に対しては、放射線診断科とも連携を取りながら、患者さんの納得がいく治療を提供するよう努めています。

図11

食道静脈瘤出血に対する内視鏡治療

2.呼吸器内視鏡検査

呼吸器内視鏡には、大きく分けて気管支鏡と胸腔鏡の2種類があります。気管支鏡は口から空気の通り道に沿って内視鏡を挿入して気管、気管支の中を観察し、気管、気管支および肺の病変から診断に役立つ検体を採取したり、詰まっている痰や異物を治療として除去したりするために用います。胸腔鏡は皮膚から肺が収まっている胸腔に内視鏡を通すための通り道を作り、そこから内視鏡を挿入し胸腔壁や肺を外側から観察し、検体の採取などをするために用います。内視鏡センターで行っている胸腔鏡は胸水が溜まっている時に、皮膚から胸腔まで局所麻酔を行って内視鏡を挿入する局所麻酔下胸腔鏡を行っています。当センターでは通常の気管支鏡に加え、超音波を用いて通常の気管支鏡では検体を採取しにくい病変から検体を採取できる超音波内視鏡などの医療機器・器具を用いて、患者さんにとって納得がいく医療を提供しています。

3.耳鼻科内視鏡検査

耳鼻科内視鏡検査では、内視鏡センターにおいて消化器内視鏡を使用し、主に咽頭・喉頭の精査を行っています。近年、内視鏡の性能が向上し、特にNBI(Narrow Band Imaging)により、咽頭喉頭領域で表在癌(初期の癌)が発見されるようになってきています。また表在癌に対して内視鏡観察下に経口的に切除する治療が行われています。それらの最大の利点は,嚥下や声の機能温存に有用な点です。我々は以前から消化器内科と連携し、表在癌の早期発見の向上と、機能温存を目的にした経口手術に力を入れています。

耳鼻科診察において咽頭・喉頭に病変を指摘された場合、内視鏡室での消化器内視鏡での精査を予定します。消化器内視鏡は耳鼻科の内視鏡よりも画像の精度が高いため、病変の範囲や形状を正確に評価でき、重複している小さな病変も捉えることができます。また食道病変の重複することがあり、そのため食道の精査もおこなう場合があります。

  • 喉頭癌

    喉頭癌

  • 中咽頭癌

    中咽頭癌

4.上部消化管外科内視鏡検査

上部消化管外科医が内視鏡センターと連携して実施しているものとして①食道生理検査、②腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(Laparoscopy and endoscopy cooperative surgery : LECS)があります。

①食道生理検査
High resolution manometry(HRM)を用いた食道内圧測定検査、24時間pHモニタリング検査を施行しています。
食道内圧測定検査はアカラシアに代表される食道運動障害の診断に必要な検査です。非常に稀な疾患ですが、診断に至らず苦しんでいる方も多くおられます。胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease : GERD)は有病率10%~20%と言われている疾患ですが、食道運動障害が隠れていることもあります。
HRMは近年開発された方法で、詳細な食道運動評価が可能となりました。当科でも病態に応じた治療法の提案をさせていただきます。
通常なら嚥下に続きおこる食道の蠕動波(図1)が、アカラシアでは消失したり(図2)、無意味な運動になったりしています。 GERDの詳細を調べるのが24時間pHモニタリング検査です。2点のpHセンサーがついた細いカテーテルを鼻から胃まで挿入し、胃と下部食道にpHセンサーがくるように留置します。そのまま1泊ご入院いただき、逆流の程度・内容を調べます。食道裂孔ヘルニアなど、体の構造自体が原因となっている場合には手術をお勧めすることもあります。

  • 図1:正常例

    図1:正常例

  • 図2:アカラシア

    図2:アカラシア

②LECS
内視鏡医による内視鏡手術と、外科医による腹腔鏡下胃局所手術の合同手術で、当科の比企教授が開発した手技です。手術室で全身麻酔下に内科と外科の協力で行います。 
胃の粘膜の下にできる腫瘍はまとめて「胃粘膜下腫瘍」と呼ばれ様々な種類の腫瘍が含まれています。消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor:GIST) もその一つで、手術治療が薦められる病気です。内視鏡センターのスタッフと協力し患者さんに優しい手術を心がけています。

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