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整形外科 股関節専門外来  

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【重要】股関節専門外来の担当医変更のお知らせ

 股関節専門外来の担当医の塗山正宏医師の退職に伴い、平成29年4月から担当医が成瀬康治医師に変更となります。


股関節専門外来について

 当院では股関節痛に悩まれている患者さんに対して、専門的な治療を行うために股関節専門外来を開設しています。変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、大腿骨近位部骨折、股関節唇損傷、FAI(Femoroacetabular Impingement)など、様々な股関節疾患を対象に診療を行っています。股関節痛で悩まれている方はどうぞ御相談ください。


股関節のしくみ

 股関節は脚の付け根にある関節で、胴体と脚の間にあります。ここでは、大腿骨の丸い部分(大腿骨頭)が骨盤の受け皿の部分(臼蓋)にはまり込んでいます。関節部分の骨の表面は軟骨でおおわれ、股関節にかかる力を吸収するとともに大腿骨頭と臼蓋の動きをスムーズにしています。股関節は、人が立ったり歩いたりするときに体重を支える役割をにない、歩行時には体重のおよそ3倍、立ち上がりでは体重の6〜7倍、さらに床からや低い位置からの立ち上がりでは、10倍の重さがかかるといわれています。


股関節の病気

  股関節の代表的な病気には変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、関節リウマチなどがあります。また、転倒などによる大腿骨近位部骨折も、股関節のしくみをこわして歩行が困難となる原因のひとつです。

股関節


1.変形性股関節症

  股関節が痛くなる代表的な病気です。原因としては、子供の頃の先天性股関節脱臼の後遺症や、股関節が浅い臼蓋形成不全などが多いですが、加齢により股関節の軟骨がすり減ってしまうことが原因になることもあります。変形性股関節症は、なかなか症状が出てこないことがあり、股関節以外に症状が出る患者さんもたくさんいます。股関節症の一般的な症状は股関節の痛み、股関節の動きの制限ですが、初期には太もも、お尻、膝などに痛みや違和感、だるさなどが現れるため、股関節の病気だと気づかないことも多いようです。坐骨神経痛と思われていたお尻の痛みが、変形性股関節症による痛みの場合もあります。また、股関節症の発症や進行の危険因子としては、肥満、スポーツ、重労働、臼蓋形成不全などがあります。これらの危険因子に注意することも大切です。

  変形性股関節症には様々な治療方法がありますが、まず日常生活指導、運動療法、薬物治療などの保存療法を行います。しかし、股関節症の状態によっては早期に手術が必要になる場合があり、骨切り術や人工股関節全置換術を行います。

変形性股関節症



★保存療法★
  股関節に無理な負担をかけないことがとても大切です。床にすわる、布団に寝るなどの和式生活よりも、ベッド・椅子・洋式トイレなどを使用する洋式生活が望ましく、股関節に負担がかかる激しい運動、重労働、長時間の立位、正座などはなるべく避けるようにしてください。靴は、ハイヒールや、底の硬いサンダルは避け、なるべくクッション性のあるスニーカーを履くようにして下さい。

  体重管理も非常に重要です。体重が重ければ重いほど、それだけ股関節にかかる負担が増えるためです。適正な体重を保つようすることが大切です。

  歩くときに痛みが出る場合には、杖を使用することで股関節にかかる負担を軽くすることができます。杖は痛い股関節と逆の手に持って使用します。右股関節が痛い場合には左手に持ち、左股関節が痛い場合には右手に持って、使用します。痛い足が地面に着く時に、杖を一緒につきます。

  運動療法も非常に大切です。股関節周囲のストレッチ、筋力訓練をすることで、変形性股関節症の進行を遅らせる効果があります。ただし、やりすぎは禁物です。股関節症が悪化してしまう場合があります。無理のない範囲で行うようにしてください。

  薬物療法も効果的です。股関節の痛みが強い時は、消炎鎮痛剤で対処します。鎮痛目的で使われますが、あくまで対症療法ですので、変形性股関節症が治るわけではありません。しかも、長期に内服することにより胃腸障害や肝臓・腎臓障害などの副作用を引き起こす危険性があり、また痛みがとれて無理をすると逆に股関節症が進行してしまいます。薬物療法では薬を適切に使用することがとても重要です。

★手術療法★
  変形性股関節症では、保存療法を行っても股関節痛が軽減しない場合や、病状がかなり進行している場合などには手術を検討します。手術を行うかどうかは、股関節痛の程度、日常生活の不便さ、年齢、仕事の内容など、さまざまな要素を考慮して決定します。股関節痛のために日常生活でどれだけ支障をきたしているかということが、手術を決定するうえで最も重要な要素になります。変形性股関節症の手術方法には、大きく分けて自分の関節を温存する関節温存手術(関節鏡視下手術、骨切り術)と関節を人工のものに変える人工股関節全置換術があります。


2.大腿骨近位部骨折

  大腿骨近位部骨折とは、頸部の部分から下方にかけて起こる骨折のことで、大腿骨頚部骨折(股関節内での骨折)と大腿骨転子部骨折(股関節外での骨折)に大きく分けられます。骨粗鬆症が基盤にある高齢者では頻度が非常に高い骨折のひとつで、高齢化社会を迎える中、年々増加してきています。 2010年には約17万人、2020年には約22万人、2030年には約26万人と増加の一途を辿ると予想されています。多くの場合は転倒して臀部(でんぶ)を打撲して骨折します。しかし、骨粗鬆症のひどい人は転倒がなくても、骨折することがあります(脆弱性骨折)。一方、若い人では交通事故や高所からの転落などの強い外力によって骨折が起こります。

  大腿骨近位部骨折を起こすと、骨折した足は短くなり、外側に開いたような形になります。自分で骨折した足を動かすことはできず、他人に足を動かされると股関節が強く痛みます。しかし、時には骨折が軽度で、骨折した部分のずれが少なく、骨折した部分が噛み合って安定した形となっている場合、歩行が可能な場合もあります。

  大腿骨頚部骨折の治療は、骨折した部分のずれが少ない場合には骨接合術を行います。骨折部のずれが大きい場合には、大腿骨の骨頭に栄養を送っている血管が損傷されている可能性があるため、骨接合術を行ったとしても、大腿骨頭壊死が発生する可能性が高くなるため、股関節を人工物に置換します。日本整形外科学会が発行している大腿骨頚部骨折の診療ガイドラインでは、怪我する前の活動性の高い場合(杖なしで歩くことができる)には、人工股関節全置換術を選択し、活動性が低い場合には人工骨頭置換術を選択することを推奨しています。当院では、診療ガイドラインに沿い、患者さんの活動性に合わせて、手術方法を決定しています。

  大腿骨転子部骨折の治療は、基本的に骨接合術を選択します。大腿骨転子部骨折は比較的骨折部の癒合が得られやすいためです。骨折した部分の粉砕が強い場合には人工物に置換する手術を選択する場合もあります。

変形性股関節症



人工股関節全置換術について

  人工股関節全置換術とは、すり減った軟骨と傷んだ骨を切除して金属やプラスチックでできた人工の関節に置き換える手術です。人工股関節は金属製のカップ、骨頭ボール、ステムからできており、カップの内側には軟骨の代わりとなるプラスチックでできたライナーがはまるようになっています。骨頭ボールがライナーにはまることで、滑らかな股関節の動きが再現できます。痛みの原因となるすり減った軟骨と傷んだ骨が人工物に置き換えられて痛みがなくなることで、日常の動作が楽になることが期待できます。

  最新の人工股関節では、人工関節自体の性能が以前と比べ格段に良くなっていることにより耐久性が改善され、20〜30年以上機能することが予想されています。そのため、最近では年齢が50歳代でも人工股関節全置換術を行うことが珍しいことではなくなってきました。また、人工股関節全置換術に年齢制限はなく、高齢であっても体力さえあれば年齢が90代でも手術を受けることは可能です。

変形性股関節症



当科の特徴

1. 最小侵襲手術(MIS:Minimally invasive surgery)

  当院での人工股関節全置換術(THA:Total hip arthroplasty)は、最小侵襲手術(MIS:Minimally invasive surgery)を行っています。MISと一言でいっても皮膚切開が小さいだけの最小皮膚切開手術(Minimally incision surgery)のことを当初はMISと言われていました。しかし、皮膚切開が小さいだけで皮膚の下では従来と同じように筋肉、腱を切離しており、従来の手術侵襲と大きく変わらないと考えられています。一般的によく行われている股関節後方アプローチによる人工股関節全置換術は、最小皮膚切開手術かもしれませんが、最小侵襲手術ではありません。現在は、皮膚切開が小さいだけではなく、さらなる低侵襲を目指し、筋肉、腱を切離しない筋間から手術を行う人工股関節全置換術をMISと言います。

  現在MISの手術方法としては大きく分けて2種類あり、縫工筋と大腿筋膜張筋の間から股関節に進入する仰臥位前方進入法(DAA:Direct Anterior Approach)、大腿筋膜張筋と中殿筋の間から股関節に進入する仰臥位前外側進入法(ALS:Antero-Lateral Supine Approach)、側臥位前外側進入法(OCM)が挙げられます。当院では人工股関節のインプラント設置がより正確に行える仰臥位手術を基本としています。体格や股関節の変形の程度により、最小侵襲手術が適応にならない場合もあります。

変形性股関節症



2.同種骨移植

  股関節の臼蓋や大腿骨に大きな骨欠損がある場合があります。その場合、骨欠損部を埋めるために、当院では同種骨を使用しての人工股関節全置換術を行うことが可能です。同種骨は北里大学病院骨バンクで保存している骨を使用します。人工股関節の周囲に移植された骨(同種骨)は時間が経過するにつれて御自身の骨に徐々に置きかわり、最終的にはすべて御自身の骨になります。


人工股関節全置換術の利点

1.股関節の痛みが著しく改善する。
2.手術の翌日から立位、歩行練習を行うことが可能である。
3.股関節の動きが改善する。
4.脚の長さが揃い、歩行のバランスが良くなる。
5.日常生活レベルが改善し、活動範囲が拡大する。


人工股関節全置換術における主な合併症

1.出血:必要に応じて、手術前から患者さんご自身の血液をあらかじめ貯めておき、手術時に体内に戻します(自己血輸血)。
2.感染症:細菌感染を起こした場合には、再手術の可能性があります。
3.脱臼:万が一、脱臼した場合には麻酔をかけて整復します。再手術の可能性があります。
4.人工関節のゆるみ、摩耗:時間の経過と共に、人工関節のゆるみが生じる可能性があります。場合によっては人工関節の入れ替えが必要になるかもしれません。
5.深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症:下肢の静脈に血の塊(血栓)ができて血管をふさいでしまうことがあります(深部静脈血栓症)。血栓が何かの拍子にはがれて、血流に乗って肺まで到達し、肺の血管をふさいでしまうのが肺血栓塞栓症です。肺の血管がふさがると、血液ガスの交換がうまくおこなわれず、呼吸困難や胸の痛みを感じるようになります。まれに命を脅かす重篤な症状を引き起こす可能性があります。
6.脚の長さの差:可能な限り脚の長さを揃えますが、若干脚の長さの差が残る場合があります。
7.神経障害:術後神経の障害に伴う痺れ、筋力低下が起こる場合があります。
8.大腿部痛:大腿部のだるさ、違和感、鈍痛、などが発生する場合があります。


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