2023年 4月 1日現在
2023年 4月 1日現在
遺伝情報を基盤とした創薬のための基礎、応用研究を行うために以下の研究課題から選択する。なお、研究課題を選択する前に研究課題すべてについて解説し、基本的な実験を行う。
天然医薬品としての微生物代謝産物の重要性を解説し、生物活性物質を生産する微生物の多様性、ならびにそれらの微生物を真正細菌と比較し、分類学的、生理学的および遺伝学な特徴を理解させる。また微生物における生物活性物質の生成過程を分子レベルで理解させるため、生物活性物質の生合成に関しての生化学的ならびに有機化学的な反応機構および生合成遺伝子群の構成、発現調節機構に関しても解説する。さらに生物活性物質の生合成遺伝子の発現調節に関する遺伝子レベルでの理解を深めるため微生物遺伝学ならびに生物情報学の基礎を解説する。
天然医薬品としての微生物代謝産物の重要性、生物活性物質を生産する微生物の多様性および生物活性物質の生成過程の分子基盤を総合的に理解できる能力を養う。さらに生物活性物質の生合成遺伝子および生成に関与する発現制御遺伝子に関しての生物情報学的な解説を行い、微生物代謝産物を対象とした生化学的かつ分子遺伝学的な研究課題を設定できる能力を養成する。
天然物素材を用いた有機合成的手法による抗感染症薬等医薬品の創製に関する次の課題から選択する。
創薬研究において、天然物科学と有機合成化学の連携が重要であることを解説する。微生物由来の生物活性物質や医薬品(特に抗感染症薬)の合成化学と作用機作について具体例を示すとともに新たな合成法や不斉合成反応並びに合成法の新しい手法の開発を示し、医薬品の創製におけるそれらの重要性を解説する。
創薬研究における微生物由来の天然物と有機合成化学の連携の重要性について総合的に理解できる能力を養う。さらに興味ある生物活性物質や抗感染症薬の全合成研究、半合成研究そして酵素を用いた創薬を対象とした研究課題を設定できる能力を養成する。
次のような内容の研究テーマを与え実験に取り組む。
微生物の生産する抗生物質に代表される生物活性物質は、医薬品開発の素材としてのみならず細胞の有する未知機能を解析する機能分子としても利用されてきた。本講義では、広く細胞生物学の基礎知識を習得することを目的とする。特にこのような生物活性物質を利用して解明されてきた細胞機能やその制御機構の中から、細菌や寄生虫などの感染機構、エネルギー変換機構、情報伝達機構などを抽出し、解説する。
生物活性物質を利用して解明されてきた細胞機能やその制御機構の中から、細菌や寄生虫の感染機構、細胞に必須な成分の代謝調節機構、細胞内物質輸送機構、エネルギー変換機構、情報伝達機構などを抽出し、解説する。本講義では、細胞生物学のより専門的な知識を習得することを目的とする。
和漢薬利用の視点に立ち,漢方薬や和漢薬の薬理作用や分子レベルでの作用機序の解明及び薬効成分の解明とその応用について,以下の課題から選択し研究課題とする。
感染症や免疫系および中枢神経系が関与した重要疾病の治療と予防に対する和漢薬の有効性について、臨床応用、基礎科学的研究の過去・現在を解説するとともに、その作用機序と特色を理解させ、未来に向けた可能性を考える能力を養成する。特に、和漢薬の作用を粘膜免疫機構の調節の観点から解説するとともに、和漢薬やそれに由来の作用成分の新規粘膜免疫機構調節シーズとしての可能性について解説する。
漢方薬は西洋医学のみの治療では対応できない疾患に対し、積極的に臨床応用が行われている。臨床的有用性に関する情報から、本薬剤はヒトに有用な生体反応を誘導する有用化合物からなる多成分ライブラリーとして捉えることができる。講義では、現在医療での漢方薬の活用の現状とともに、その作用ターゲットとしての腸管局所粘膜免疫系、共通粘膜免疫機構と局所粘膜免疫系の調節機構の観点から、漢方薬の作用メカニズムの解析や作用成分の探索に関する方法論を講義する。
創薬の探索源となる未利用微生物の探索とその応用研究を課題として下記のテーマから選択する。
自然界には多数の微生物が存在するがそのほとんどが培養できない難培養微生物である。その検出と利用法および分類研究について解説する。人類は環境から得た微生物を資源微生物として利用し恩恵を受けており、そのうち、生物活性物質を生産する微生物(放線菌)の多様性とそれらが生産する二次代謝産物の探索法について知識を深める。また、微生物の分類学の現状についても概説する。
環境中に多数存在する極限微生物や難培養微生物の分類学的、生理学的特徴について解説し、これら未利用微生物の有用性や生物活性物質探索源としての利用法、さらに医薬品開発への応用のための知識を深める。同時に、微生物学の専門知識を修得し応用力を養成する。
微生物培養液および合成品からマラリアやリーシュマニア症の治療薬開発のためのシード化合物を探す。
科学が発展した現在でも未だに熱帯病で苦しんでいる人々が世界中に大勢いる。本講義では主な熱帯病(特に寄生虫症)の病原体、生活環、症状、診断・予防・治療法に関して講義する。また熱帯病の制圧には科学だけでなく政治、経済などの総合的な分野での連携が重要である点についても解説することで広い視野で様々な問題を総合的に理解できる能力を養う。
熱帯病対策に向けた世界的動勢、特に治療薬およびワクチンの開発について最新の情報をup-dateしながら講義することでアンメット・ニーズに対する問題意識を高める。
感染症とは「微生物が原因となる炎症」と捉えることが出来る。この炎症をおこす微生物は、ウイルス、クラミジア、リケッチア、マイコプラズマ、細菌、真菌、原虫、ダニなど多岐にわたる。本課程では感染症の基本となる微生物と、それによっておこる感染症の状態、さらには様々な抗感染症薬を理解し、感染症の本質と治療方法についての基礎知識を取得することを目的とする。抗感染症薬はそれぞれの作用機序を有しているが、それぞれの作用機序に則った耐性機構が存在している。つまり感染症と抗感染症薬の歴史は微生物が獲得した耐性の歴史でもある。この歴史を学び理解する事は新たな抗感染症薬の創薬につなげる基本的な知識であり、これらの知識の取得を目的とする。
本課程では研究テー マを自ら創案し、その具体的実現に向けた研究計画の作成を行いながら自らの考えをプレゼンテー ションし議論する事で論理的な思考方法を身につける。さらに創薬に必要な、スクリ ー ニングから構造活性相関、構造活性毒性相関、溶解度、体内動態、安定性、遺伝毒性、単回・頻回投与による安全性など、創薬に必要な知識・技術·手法などについて講義を含め学会や論文、専門書などから自ら調査できる能力を養う。また、創薬の一 部を担う自らの研究テー マについては、試行錯誤を繰り返しながらも議論と研究を深め、科学的な判断能力を養いながらデー タを原著論文としてまとめ上げる能力を培う。特に、データは数字として出るため、その数字の信ぴょう性と意味を充分に理解する、自らを戒める科学者としての道徳を身に着ける。