出張講義
北里大学海洋生命科学部では、“海の生命科学”の魅力を皆様にお伝えしたいと考え、主に高校生を対象とした『出張講義』を実施しております。これまで多くの高等学校において講義し、生徒や教員の皆様からご好評をいただいております。
本年度も「出張講義」の募集をいたします。
内容は、下記「出張講義メニュー」をご参照ください。やさしく、わかりやすく解説いたしますので、理系科目が苦手でも問題はございません。
本年度も「出張講義」の募集をいたします。
内容は、下記「出張講義メニュー」をご参照ください。やさしく、わかりやすく解説いたしますので、理系科目が苦手でも問題はございません。
出張講義お申し込み方法
下記の「申込フォーム」または「申込書」に必要事項を記入(入力)の上、お申込みください。申込書は、FAX(042-778-5010)またはe-mail(kaiyo@kitasato-u.ac.jp)にてご連絡ください。
出張講義の費用
小学校・中学校・高等学校への出張講義に係る経費は、当方負担にてお伺いいたします。出張講義メニュー
増殖生物学講座
No.1 顕微鏡で見るホルモン
教授 天野 勝文
ホルモンは微量で重要な役割を果たす生理活性物質です。ホルモンが体内のどの細胞で作られているかを明らかにすることは、生理学・内分泌学的にとても重要です。この講義では、ホルモンの作られる細胞を顕微鏡で見つける方法についてお話しします。
No.2 寿命とストレス
教授 吉永 龍起
生物の寿命は有限で、死ぬまでの限られた時間で成長して繁殖します。近年になって、寿命を決める遺伝子が見つかりました。また、寿命はストレスと深く関わっていることがわかってきました。ストレス、嫌ですね…orz でも実は、ストレスとは有益なこともあるのです。この講義では、寿命とストレスに関する意外な知見を解説します。
No.3 もうひとつの食の安全 ~うな丼の未来 動画あり
教授 吉永 龍起
普段、食材の安全性を気にしてますか? 残留農薬など危ない物質のことを耳にしますよね。ところで、食の安全にはもうひとつの意味があるのを知ってますか? ウナギの蒲焼きはほとんどが「養殖もの」です。ところが養殖とは言っても、もともとはすべて海で生まれたものです。そのウナギが激減しています。食べ尽くしてしまったら終わりです。国産かどうかだけではなく、もっと大切な問題があるのです。この講義では、未だ謎に包まれたウナギの生態と危機について解説します。
No.4 魚の学習能力を利用する 動画あり
教授 水澤 寛太
魚を飼っている水槽に近づくと、魚たちは餌をもらえると思うのでしょうか、人のいる方に寄ってきたり水面で暴れたりします。彼らは(我々もそうですが)特に食べることに関して優れた学習能力を持っているのです。この学習能力を利用して、経済的で環境にも優しい新しい養殖技術「自発摂餌」が開発されました。この講義では魚の自発摂餌に関する研究について紹介します。
No.5 光を浴びる魚たち
教授 水澤 寛太
水中の光の質(色、波長)は、水深や水質、底質によって大きく変わります。魚の色覚は、その魚が棲む環境によって独自の進化を遂げています。さらに、光の質は魚の行動や成長速度にまで影響することがわかってきました。この講義では、さまざまな魚の生態と色覚の関係について紹介します。
No.6 魚たちの柔軟な性 動画あり
准教授 千葉 洋明
多くの動物にはオスとメスが存在し、性染色体の組み合わせによって遺伝的に性が決まります。しかし魚類のいくつかの種では環境要因によって性が決まり、さらに雌雄同体現象や性転換をみせるものもいます。人為的な性の転換も可能で、私たちの性とは違いかなりの柔軟性があります。この講義では、魚の多様な性の分化と環境適応、繁殖戦略について紹介します。
No.7 胎生という謎 ~なぜ胎仔は拒絶されないのか
准教授 中村 修
免疫系の発達した脊椎動物では、自己と異なる細胞は白血球によって攻撃され、拒絶されます。子供の細胞も精子も母親にとっては“非自己”です。なのになぜ妊娠が成り立つのでしょうか。胎生魚の研究から、免疫系と胎生の進化の過程を探ります。
No.8 おさかなのヌルヌルの秘密 動画あり
准教授 筒井 繁行
おさかなの表面がヌルヌルしていることは皆さんご存知でしょう。でもこれ、いったい何のためにあるのでしょうか? 実はこの中にはさまざまな防御因子が含まれており、バイキンの侵入に備えているのです。しかもこの防御システムは、どうやらおさかなの種類によってちょっとずつ違っているようです。この講義では、さまざまなおさかなの体表防御因子について紹介します。
No.9 寄生虫が宿主のフグを見つけるしくみ
准教授 筒井 繁行
寄生虫は一般に、寄生する相手が厳密に決まっている場合が多いです。これを「宿主特異性」といいます。ヘテロボツリウム(通称エラムシ)はトラフグのエラに寄生し、養殖場でしばしば大量死を引き起こすやっかいな寄生虫です。この寄生虫はトラフグ以外には寄生しないといわれています。エラムシは、卵から孵化した直後は1 mmの10分の1程度の大きさです。この小さな小さな寄生虫は、どうやってトラフグを見つけているのでしょうか? 近年、わたしたちは、この寄生虫がトラフグを認識するメカニズムを突き止めました。
No.10 海で出会った先生たち
講師 阿見彌 典子
人との出会いだけではなく、魚との出会いもまさに奇跡です!その出会いは、信じられないほど楽しい時間を与えてくれます。講義では、海で出会った魚たちが、いかに人生を変えてくれる偉大な先生であるかをご紹介します!
No.11 お刺身が塩辛くないワケ
講師 古川 史也
塩辛い海に棲んでいるマグロやアジのお刺身は、そのまま食べてもほとんど塩気が感じられません。それは、彼らが塩漬けにならないように頑張って塩分を排出しているからです。皆さんご存知かもしれませんが、これがいわゆる「浸透圧調節」ですね。それじゃあ、体液が海水とほぼ同じ「浸透圧」の無脊椎動物、イカのお刺身がしょっぱくないのはなぜでしょう?この講義では、お魚を中心に、水生生物の浸透圧調節や体液調節について、最新の知見を交えながら紹介します。
No.12 魚には魚の社会がある!のぞいてみよう魚のコミュニティ
助教 福田 和也
私たちヒトは、様々な人間関係の中で生活しています。「先輩には気を使わなくっちゃ…」「友達だからイタズラしちゃお」、そんなこと思ったことあると思います。実は、多くの魚たちも人間関係ならぬ“魚”間関係を形作って生活しているのです。この講義では、魚の行動や生態に注目して、魚たちが見せる高度な社会性を紹介します。明日から、あなたも魚たちの社会を垣間見ることができるかも?
No.13 脳のカタチから見る魚の生態
助教 福田 和也
魚は地球上の様々な水辺に生息範囲を広げ、色々な環境の中で生活しています。濁った川にも澄んだ海にも魚はいますし、水面近くを泳いだり海底に潜んで暮らす魚もいます。そういった進化を遂げる中で、魚たちは必要な情報を上手く処理できるように、多様な形の脳を獲得してきました。この講義では、魚たちの生活と脳のカタチの関係性を紐解いていきます。
環境生物学講座
No.16 魚のいきがい 動画あり
教授 朝日田 卓
魚の生きがいって何だろう? 皆さんはそんなことを考えたことがありますか? 生き物は自分の遺伝子を残すために「ゆっくりとした競争」をしながら生きています。そのためにさまざまな戦略や戦術を用いますが、それはおどろくほど多様です。例えば恋の仕方もさまざまで、一夫一婦から一夫多妻や一妻多夫まであるかと思えば、オスが子供を産んだり、オスがメスに寄生したりするものまでいます。魚にも、もてるヤツともてないヤツがいるって知っていますか?
No.17 恐ろしくないサメの話 動画あり
教授 朝日田 卓
18メートルにもなる巨大ザメに手のひらに乗る小さなサメ? 餌を探す高性能レーダー? 必殺技で魚を捕らえる? クッキー作りの得意なサメ? やさしい平和主義者? サメ、このジョーズのイメージで知られる海洋生物の真の姿に迫ります。
No.18 深海生物学 ~地球を食べる生物たち
教授 三宅 裕志
太陽の光が届かない、暗く、冷たく、高圧の深海には、太陽に依存しない生き物たちの楽園があります。深海には海底火山のある熱水噴出域、地震の巣の周辺などにできる湧水域、鯨骨生物群集や沈木生物群集などの生物起源の化学合成生態系があります。砂漠のような深海底にぽつりと熱水や湧水ができると、そこにはサンゴ礁の生物量にも匹敵するほどの生物がひしめき合って生きる深海のオアシスができるのです。そこに生きる生物たちを紹介します。
No.19 クラゲの秘密
教授 三宅 裕志
お盆を過ぎると出てくるといわれるクラゲたち。皆さんが普通に見ているフワフワと泳いでいるクラゲは、クラゲの生活の一面でしかないのです。クラゲには雌雄の区別がなく自らが分裂して増え、付着生活をするイソギンチャクのような形をしたポリプの世代があり、それがクラゲの正体かもしれません。6億年の昔から生き続け、淡水から汽水、浅海から深海まであらゆるところに適応して生息するクラゲ類。その生命力、適応力の秘密をお教えします。
No.20 渦鞭毛藻の不思議
教授 小檜山 篤志
皆さんは渦鞭毛藻(うずべんもうそう)という生物の名前は聞いたことがあるでしょうか? この小さな生物は赤潮や貝毒の原因となり、人に害を及ぼすことがあります。また、サンゴに共生してサンゴにエネルギーを提供することも知られていますが、まだまだ謎が多い生物です。この講義では、渦鞭毛藻の生理・生態とともに、最新の情報を紹介します。
No.21 海藻の生態とその利用 動画あり
准教授 難波 信由
海藻は陸上植物とは違って赤や緑、茶色などさまざまな色をしていたり、これが同じ種類かと思うほど大きさと形が違う体を持っていたりします。海藻はなぜこのように多様なのか、そして、この変わった生物と我々人間との深い関係について解説します。
No.22 海の恵みを支えるプランクトンの話
講師 山田 雄一郎
海の中には「プランクトン」という非常に小さな生物がたくさんいます。プランクトンはあまりに小さいので、私たちとはあまり関わりのないように思われますが、実は魚やクジラといったあらゆる海の生物を支えている重要な役割を持っています。この講義では、「プランクトンはなぜ小さいか?」から始まり、プランクトンを基本とした「食う~食われる」の関係、さらにプランクトンと地球規模の気候変動との関わりについて分かりやすく説明します。
No.23 大型藻類の不思議
講師 羽生田 岳昭
「大型藻類」と言われてもピンとこないですよね。藻類のうち、肉眼的な大きなものを「大型藻類」と呼び、海に生育するヒジキやワカメなどの海藻類や、湖沼に生育するマリモなどの淡水藻類が含まれます。この講義では、「マリモが丸くなるのはナゼ?」、「ワカメが外国で嫌われているのはナゼ?」、「ガムやお城の壁に海藻が使われているのはナゼ?」といった大型藻類にまつわる「ナゼ?」を紹介するほか、海藻と動物との不思議な関係を紹介します。
No.24 コケムシの知られざる魅力に迫る ~くっつく動物の生物学 動画あり
講師 広瀬 雅人
カキやホタテを食べるとき、貝殻の表面にザラザラしたコケのようなものが付いているのを見たことがあると思います。そのザラザラ、じつはコケムシという動物です。まだまだ新種もたくさん見つかるコケムシは、マイナーだけど意外と身近に存在する動物なのです。この講義では、そんなコケムシのかたちや生き方の多様性を紹介するとともに、いろんなものに付着する動物を調べることで何がわかるのか、最新の知見を交えながらその魅力に迫りたいと思います。
No.25 海の魚の生物地理学
講師 武藤 望生
生物地理学は、生物がなぜある地域にいるのか、他の地域にいないのかという疑問にこたえる学問で、生物と環境の関係や生物同士の関係を研究します。この講義では、日本周辺の海の魚を題材とした生物地理学の研究についてお話します。
応用生物化学講座
No.26 魚は生まれてから死ぬまで成長し続けるの?
教授 森山 俊介
サケやマグロなど硬骨魚類の成長は、哺乳類と同じようなメカニズムにより調節されています。それでは、軟骨魚類のサメや最も原始的な魚のヤツメウナギはどうでしょうか? そもそも、魚は生まれてから死ぬまで成長し続けるのでしょうか? この講義では、魚の成長のメカニズムに関する最新の研究内容を解説します。
No.27 海洋生物の化学物質による戦い
教授 神保 充
海洋生物は、相手をだまして餌にありついたり、捕食者を感知して逃げ出したり、さらに共生関係を結んだりして、上手に生き抜いています。このために化学物質を利用する海洋生物もいるのです。これら海洋生物の生き残りのための、さまざまな化学物質について解説します。
No.28 海洋生物の毒から薬へ
教授 高田 健太郎
我々が病気をしたときに服用する抗生物質の多くは、土壌の微生物が生産する化合物を基に開発されたものですが、海洋生物に含まれる化合物からも医薬品が開発されています。毒と薬は表裏一体。海洋生物からの贈り物について紹介します。
No.29 サカナの培養肉
准教授 池田 大介
培養肉とは、捕獲や飼育した動物の個体から直接取った肉ではなく、個体から少量の細胞を採取し、これを細胞培養液中で増やして作った肉のことです。この講義では、我々が行っているサカナの培養肉開発の試みについてお話します。
No.30 サンゴ礁はなぜ減っているの?
講師 安元 剛
世界中でサンゴ礁の減少が問題視されていますが、何故サンゴ礁は減ってしまったのでしょうか?本講義では背景にある環境問題とサンゴを守るために行われている研究や対策を紹介します。また、本学部が産業技術総合研究所、琉球大学および国立環境研究所と実施している環境省のサンゴ保全を目的とした共同研究事業についても紹介します。
No.31 魚の卵を科学する
講師 天野 春菜
イクラや明太子など、私たちが美味しく食べている魚の卵が、どうやってお母さん魚の体中でできるか知っていますか?魚の卵がどうやってできるのか、どんなタンパク質や物質が入っているのか調べることで、増養殖業に役立てることができます。今までに解明されている内容や最新の知見についてわかりやすく紹介します。
No.32 コップ一杯の水から絶滅危惧種の存在を探る
講師 吉武 和敏
「いつ、どこに、どんな動物がどれくらい棲んでいるのか?」この疑問は、科学技術が発達した現在でも解明しきれていません。しかし、近年注目を集めているのが、動物が環境中に残した微量のDNAを利用する研究です。環境DNAを使って絶滅危惧種の存在をどのように探し出すのか、その驚きの方法を紹介します。身近な水や土から生物の情報を引き出す技術に触れ、生物多様性保全の最前線を学びましょう。
No.33 海洋微生物の遺伝情報から新たな抗生物質を探す
講師 上岡 麗子
微生物が生産する化合物は、薬のもととして人類に重宝されています。また、微生物はこれらの化合物をつくるための設計図(生合成遺伝子)をゲノム中に持っていることが知られています。この講義では、様々な海洋微生物のゲノム中に存在する生合成遺伝子の情報を紐解くことで、新たな抗生物質を探索する研究について解説します。