水澤 寛太
准教授
水澤 寛太
Kanta
Mizusawa

主な研究テーマ

水中では光の強さやスペクトルは水深や水質によって大きく変化します。また外温動物である魚類の生理現象は水温によって大きく左右されます。私は、魚類の体色や摂食を調節するメカニズムに着目して、魚類が水中の光環境や温度の変化にどのように適応しているのかを明らかにしようとしています。主に以下のテーマについて研究しています。

魚類における体色調節システムと摂食調節システムの環境応答

魚の体色が水底の色や明るさに合わせて変化する現象はよく知られています。この体色変化は皮膚に存在する色素胞の変化によって生じます。研究によって、魚の体色は水底の色だけでなく、周囲を照らしている光のスペクトルや水温によって複雑に調節されていることがわかってきました。

体色を調節するホルモンは皮膚に対して作用しますが、実は同じホルモン分子が脳においても働いていて、摂食やエネルギー代謝の調節を行っています。つまり体色と成長は部分的に共通のメカニズムによって調節されているのです。体色を変化させる環境要因が成長に影響したり、逆に成長速度を変化させる環境要因が体色に影響することがわかってきました。この現象は産業への応用に役立つ可能性があります。

ニシキゴイの体色調節機構の変異

ニシキゴイ(錦鯉)は日本を代表する鑑賞魚で鮮やかな色模様を特徴としています。マゴイの変異体から作り出されて以来、300年以上にわたって品種改良が重ねられてきました。その過程において体色を鮮やかに保つような突然変異が蓄積されていると考えられます。鮮やかな体色の原因を探るべく、ニシキゴイの体色の生理学的な特徴を明らかにしていきます。
ニシキゴイ「大正三色」(上)とマゴイ(下)ニシキゴイ「大正三色」(上)とマゴイ(下)

担当科目

1年次生対象なし
2年次生対象解剖整理学(必修)脊椎動物の組織や器官の構造と機能について学びます。かなり難しいとの評判(?)ですが、ここから先の生物学の専門分野を学ぶ上で必須の科目です。
海洋生命科学実験Ⅱ(必修:分担)主な担当は「魚類の解剖」です。ハサミとピンセットを使って解剖して魚類の器官を観察します。魚をさばくときとか、以外なところで役立つ知識が学べます。
海洋実習(選択必修:分担)主な担当は「三陸臨海実習」と「河川実習」です。河川実習では、相模川の水生生物(主にカゲロウやトビケラなどの水生昆虫)を採取して同定し、生物群の特徴から河川環境の状態を明らかにします。「海に行きたかったのに」と最初はがっかりする人もいますが、川はハマると最高です。
3年次生対象科学英語IIA(必修:分担)

4年次生対象卒業論文(必修)一人一つのテーマを決めて1年間研究を行い、卒業論文を作成します。卒業論文は大学での学びの集大成です。2月の発表会は学会のような雰囲気に包まれます。研究室での充実した毎日は一生の思い出になるでしょう。
海洋生命科学演習(必修)研究の進捗状況について毎月レポートを作成します。また月1〜2回のペースで研究内容に関する発表会を行います。こうして、就職活動などと両立させながら計画的に卒業論文を作成し、論文発表会に備えます。
その他体験実習(選択)魚の調理実習を担当しています。本学部OBや水産の各分野で活躍している外部講師を招いて、三枚おろしなどを体験します。成果物は全員でおいしくいただきます。
出張講義「魚の学習能力を利用する」
出張講義「魚の体色に見る生存戦略」

経歴・業績等

主な経歴

  • 2002年3月 東京大学大学院農学生命科学研究科終了
  • 2002年4月〜 帝京科学大学博士研究員
  • 2005年4月〜 国立遺伝学研究所プロジェクト研究員
  • 2007年4月〜 北里大学水産学部(現海洋生命科学部)講師
  • 2015年4月〜 現職

主な業績

著書
  • 水澤寛太, 矢田崇(共編). ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ VII 生体防御・社会性-守-. 裳華房, 東京Han, (2016)
  • Mizusawa K. Endomorphin. Handbook of Hormones, Academic Press, Oxford, (2015): 62–63.
  • Mizusawa K. Dermorphin. Handbook of Hormones, Academic Press, Oxford, (2015): 64–65.

論文
  • Shimizu D, Mizusawa K, Maeda T, Yamaguchi D, Takahashi A. 2021. An evaluation of the growth-promoting effects of green light on spotted halibut for its practical application in aquaculture. Fisheries Science 87: 113–119.
  • Kasagi S, Miura M, Okazaki T, Mizusawa K, Takahashi A. 2020. Effects of tank color brightness on the body color, somatic growth, and endocrine systems of rainbow trout Oncorhynchus mykiss. General and Comparative Endocrinology 298: 113–581.
  • Kasagi S, Mizusawa K, Takahashi A. 2020. The effects of chromatic lights on body color and gene expressions of melanin-concentrating hormone and proopiomelanocortin in goldfish (Carassius auratus). General and comparative endocrinolog. 285: 113266.
  • Shimizu D, Kasagi S, Takeuchi R, Maeda T, Furufuji S, Mizusawa K, Andoh T, Takahashi A. 2019. Effects of green light on the growth of spotted halibut, Verasper variegatus, and Japanese flounder, Paralichthys olivaceus, and on the endocrine system of spotted halibut at different water temperatures. General and comparative endocrinology 271: 82–90.
  • Mizusawa K, Kasagi S, Takahashi A. 2018. Melanin-concentrating hormone is a major substance mediating light wavelength-dependent skin color change in larval zebrafish. General and comparative endocrinology 269: 141–148.
  • Mizusawa K, Yamamura Y, Kasagi S, Cerdá-Reverter JM, Takahashi A. 2018. Expression of genes for melanotropic peptides and their receptors for morphological color change in goldfish Carassius auratus. General and comparative endocrinology 264:138–150.
  • Takahashi A, Kasagi S, Murakami N, Furufuji S, Kikuchi S, Mizusawa K, Andoh T. 2018. Effects of different green light intensities on the growth performance and endocrine properties of barfin flounder Verasper moseri. General and comparative endocrinology 257: 203–210.