北里大学海洋生命科学部

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北日本の波打ち際を席巻しつつある外来種、キタアメリカフジツボ

トップ 教育・研究 研究内容紹介北日本の波打ち際を席巻しつつある外来種、キタアメリカフジツボ

 東北や北海道の太平洋側の大きな漁港に行ったら是非一度岸壁を見てほしい。波打ち際に直径2cmに満たない白っぽいフジツボが隙間なく付着しているはずである。これらのほとんどが実は外来種であることを知る人は少ない。
  2000年の夏に私たち研究室がその存在に気づき、東北、北海道の約50ほどの主要な港を調査した結果、太平洋側の主要な港にはこのフジツボがごく当たり前に存在することが明らかとなった(地図中の黒丸は生息が確認されたところ、白丸は生息が確認されなかったところ)。
  このフジツボは、アメリカのカリフォルニア半島の基部付近からアラスカにかけての太平洋岸の潮間帯に広く分布し、現地ではごく普通のBalanus glandulaDarwinというフジツボである。殻の色は灰白色で、蓋板の一部分がうっすらと黒く見える特徴を有する(写真)。和名がなかったので、これをキタアメリカフジツボと名付けた。
  これほどまでに個体数を増やすことができた理由を明らかにすべく、2000年の秋から大船渡湾でこのフジツボの生態調査を続けてきた。その結果、このフジツボが在来フジツボに比べてはるかに長い繁殖期間を有すること、しかも、わずか5ミリ程度で再生産が可能なこと、春に在来種を覆ってしまうほど大量に付着すること、などが明らかになってきている。いずれもが在来フジツボとの競合において有利な特徴である。
  では、どの様にして北日本に分布するようになったのだろうか?その原因を探ってみると、どうやら北米からの木材運搬船に付着して日本の港に侵入したことが推測された。実は、この種は1970年代にアルゼンチンにも分布を拡大している。そこで、国際共同研究として、これら3地域(北米原産地、日本、アルゼンチン)のキタアメリカフジツボ遺伝子を解析することにより、日本とアルゼンチンの個体群の起源を調べてきた。近くその成果をこのHPでお知らせできるだろう。なお、"キタアメリカフジツボ"として、異なった種の写真をHPに載せている国内サイトがある。関東以南ではその存在が報告されていないので、同定には注意が必要である。