医学教育研究部門
人間性の涵養をはじめ、医学の知識・技能・態度の習得を教育理論に基づき支援する
当科目: | 医学研究入門1、早期体験学習 等 |
専門分野: | 医学教育、腎臓内科学 |
北里大学医学部 医学教育研究開発センター 医学教育研究部門
教授: 守屋 利佳
講師: 千葉 宏毅
医学教育 ~社会に求められる理想の医師づくりから~
医学生は、6年間を通して一般教養、基礎医学、臨床医学と非常に多くの学習が不可欠です。しかしそれは単に与えられた情報を記憶するという、従前の詰め込み型学習では達成できません。将来求められる医師像を見据え、明確な目標を設定した能動的学習によって可能になります。そのためには設定した学習到達目標に向け、基礎と臨床の知識、知識と技術・態度を結び付けた相互に補完し合い質の高い学びが得られるカリキュラムデザインが求められます。理論に基づき、さらに北里大学のオリジナリティを生かした医学教育プログラムを企画、運営することが私たちのミッションです。
What's New Info
今後行われる医学教育関連のお知らせ
1.学内
2.学外
- Recommendation of Kitasato MedEd
1)教育用語の泉: 『OBE』 我が国では少子高齢化、大学全入時代を迎えて、卒業に際して学士力(学習アウトカム)を担保することを求める答申が中央教育審議会から2008年に出された。学習アウトカムを明確にして、それを確実に達成する教育(Outcome-based education, OBE)が我が国の大学教育、医学教育にも求められるようになった。教育の質を担保し、今日的な社会ニーズに応えられる医師の育成が喫緊の課題であり、我が国の医学教育も従来のタキソノミーに基づく伝統的医学教育からOBEへパラダイムシフトすべき状況にある。
出典:第44回 東京大学医学教育セミナー概要より
http://jsme.umin.ac.jp/ann/jmse_an_120412_semi44.html2)教育実践の紹介臨床実習入門:医療面接実習における学生アンケート集計
模擬患者さんの協力を得て、医療面接実習を行った際に、4年次学生を対象としたアンケートを実施しました。現在集計中です。
※公開はM1号館1階 掲示板を予定しています。
- Kitasato MedEd Report
第59回医学教育セミナーとワークショップ:「簡単にできちゃう!eラーニング教材」の参加
MEDC(岐阜大学医学教育開発研究センター)が主催する第59回医学教育セミナーとワークショップ「簡単にできちゃう!eラーニング教材」に参加し、本学における学習支援Moodleと連動して使用できる学習コンテンツ作成Xerteの活用方法を学ぶ機会を得た。
Xerteの使用法は日本医学教育学会 広報・情報基盤開発委員会によって指導されるもので、今後の展開の広さを予測されるものであった。現在本学部ではCFIVEとMoodleが使用されているが、既存のMoodleを生かした学習コンテンツとしてXerteを使用することで、学生はe-learningで学習や課題を行うことができ、教員側は学生との双方向なやり取り、評価管理やフィードバックがしやすくなる。さらにXerteは、ヨーロッパでの使用が広まっており、今後日本の大学でも義務化される障害を持った学生へ視聴覚的な配慮を念頭に開発されているため、今後有意義な活用が期待できると思われた。現在操作画面は英語であるが、日本語化が徐々に進められているとのことであった。
テキストによる学習内容の提示以外に、写真や動画を中に埋め込み、反転授業における事前学習での応用も考えられる。さらに特徴的な点は、容易に小テスト(穴埋め形式)などが可能であること、即時にどの学生がちゃんとコンテンツを利用したかなどを確認する機能が可能である。また開発した学習用のコンテンツは学会の認証(査読に相当)を得て、公開することで、多くの医学教育現場で活用してもらうことができ、教育者の実績にも活かされる。
現時点では、2年次の早期体験学習のなかで、施設の事前学習やレポートの提出に活用することを検討している。また4年次の臨床実習入門においても動画などを活用した臨床技能の自主学習に有効活できるのではないかと考えている。(文責:千葉宏毅)
1年次
一般教養科目などの講義のほかに、早期体験学習Ⅰにおいて体験当直による臨床現場の意識づけを早い段階で実施しています。
早期体験学習Ⅰの例
車いす体験では、車いすの基本的な操作、車いす使用者への補助方法に加えて、どのような場面で不自由を感じたか、危険を回避するにはどのようにすればよいかといった、車椅子使用者の目線に立った体験から得る気付きを整理・表現し、グループ内で共有することを行っています。また高齢者体験ではシミュレーターを使用し、高齢者の身体的不自由さを体験します。高齢者はどのような動きをしにくいか、介助者は何に気を付ければよいかなど、体験を通じて自分自身で感じ、考える学習です。
28年度は、医療衛生学部リハビリテーション学科の河村晃依先生を講師にお招きし、実際に車いすの使い方や注意点を具体的に教えて頂くことで、より実践的な実習を行うことができました。また学習支援システムとしてMoodleを採用し、事前学習として使用するスライドやビデオ、連絡の周知、実習終了の報告、課題の提出や評価を行っています。
2年次
早期体験学習ⅠⅠによって医療機関のみならず他関連領域の施設実習を行っています。多様性への理解、コミュニケーション力の向上など、豊かな人間性を育むことを目指しています。
3年次
医学研究入門2では各教育単位で実施している研究課題に沿って、研究データの考察などを行い医学研究の実際を学びリサーチマインドを養います。
4年次
臨床実習入門では、5年次の臨床実習に進む前に、「患者さんから学ぶ」として実際の患者から自身の病気や治療中のエピソードを聞かせて頂き、患者さんに寄り添った医療について考えることを目的にしています。また臨床で関わる個人情報保護についての関連法規を学びます。実習ではベッドサイドラーニングに必要な知識・技能・態度を学習します。また臨床実習に必要な知識の確認としてCBT、医療面接や身体診察法等の実習を通して習得した技能をOSCEによって総括的に評価します。
臨床実習入門
医療面接実習では、北里大学SP研究会の模擬患者のご協力を頂き、シナリオを使った面接技法の基本をトレーニングします。診断につながる医学的情報を聞く技術も非常に重要ですが、本実習においては患者さんの気持ちに共感できるコミュニケーションのあり方(言葉遣い、姿勢・態度)を実習通して学ぶことに重点をおいています。
6年次
集大成として卒業時OSCE(一般的にはPost clinical clerkship OSCEに相当)により知識、技能、態度の総括的に評価を行い、研修医として臨床現場に出る前に知識、技能、態度が備わっているかを判定しています。
その他
海外選択実習(選択希望者)では米国(ハワイ大学、マサチューセッツ大学)、ドイツ(マーブルク大学)、イタリア(ダヌンツィオ大学)等へ渡り、国際的な感覚や思考を持ったグローバルな医師育成を目指したプログラムを実施しています。
大学院
医療・医学教育学を開講し、将来、学部学生や現場医療者への教育に関わる大学院生に、教育の理論や教育展開の技法、指導力の習得を目指したマイクロ・ティーチングなどを通じて、教育への能力向上を支援しています。
教員・指導医FD(Faculty development)の実施
学生のみならず、医学部教員・臨床現場の指導者を対象にした能力開発:FD(ファカルティ・デヴェロップメント)にも参画しており、卒前・卒後に関わる教育活動の質向上を目指した取り組みを実施しています。
関連する学会や団体等のホームページ
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TEL:042-778-8685 FAX:042-778-9228
E-mail:
meded@kitasato-u.ac.jp