北里大学病院は麻酔科医(産科麻酔科医)が産科病棟に常駐する体制をとる、全国でも数少ない施設の一つです。また大学病院としては無痛分娩件数が極めて多く、年間症例数はおよそ400~500例です。
年間帝王切開数は約400例です。産科麻酔科医の役割は帝王切開術の麻酔や無痛分娩だけではなく、妊婦中に行われる産科・非産科手術の麻酔、合併症を持つ妊婦の分娩中の麻酔、胎児治療の麻酔などを担当します。さらに産科危機的出血をはじめとした産科救急の急性期管理や新生児蘇生にも積極的に関わります。
合同カンファレンス;麻酔科医が産科病棟に常駐しているメリットを生かし、産科医、新生児科医、助産師などと合同のカンファレンスを開催しています。ハイリスク妊婦の情報共有、麻酔科的リスクの評価、対応の協議や助言などを行い、しっかりとした術前評価の下、安全な麻酔の提供に心がけています。
無痛分娩:主に脊髄くも膜下硬膜外併用鎮痛(CSEA: combined spinal-epidural analgesia)による無痛分娩を提供しています。脳血管障害合併妊娠、心疾患合併妊娠などのハイリスク妊娠は硬膜外鎮痛法による無痛分娩の医学的適応例ですが、それ以外でも妊娠高血圧症候群に対しても無痛分娩を行うことで安全な分娩に寄与しています。産婦の希望を含めると、経腟分娩の約65%は区域鎮痛による分娩管理例です。無痛分娩開始後はもちろん、開始前から妊婦の情報を産科医、助産師と共有し、麻酔管理にあたっています。
帝王切開術:予定手術から超緊急症例まで、様々な状況の帝王切開術に対応します。最新の知見をとりいれた根拠に基づいた医療を提供しています。また産科危機的出血に対する集学的治療、術後痛への対応も積極的に行っています。
産科的処置の麻酔:早産防止のための頸管縫縮法や流産手術、胎児治療の麻酔なども産科麻酔科医が行っています。
新生児蘇生や産科危機的出血などの妊婦急変への対応:全身管理を得意とする麻酔科医の特性を生かし、新生児蘇生や急変妊婦の対応にも積極的に参加しています。北里大学病院産科麻酔部門スタッフのほとんどは、新生児蘇生法、妊産婦急変時対応についての有資格者であり、教育活動にも関わっています。
産科麻酔を体系的に学びたいという麻酔科の先生がいらっしゃいましたら、加藤里絵(
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北里大学医学部 新世紀医療開発センター
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