研 究

Research

臨床医学系

消化器内科学

教授:小泉 和三郎

幅広い消化器疾患をチームでフルカバー

消化器内科学
消化器疾患は食道・胃・小腸・大腸・直腸・肝臓・胆のう・膵臓と幅広く、4つのチームで全領域をカバーしております。食道・胃の早期癌の診断や内視鏡的切除を行っており、全国でも屈指の症例数です。高齢化に伴い癌患者数が増加しており、特に胃癌の抗癌剤治療の日本標準的な治療法の開発研究は北里大学から発信されました。肝臓癌に対するラジオ波治療、肝動脈塞栓療法など最新の治療法を数多く行い良好な成績を学会や英文誌に掲載しております。難治性の炎症性腸疾患に対しても各種の最新療法を取り入れ積極的に取り組んでおります。胆膵疾患では超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)など最先端の診断治療を行い、北里EUSセミナー、AsianEUSトレーニングなど、若い医師の教育も力を入れております。病理学、薬理学、生化学教室と連携して臨床に直結する病態解明、治療効果予想等の基礎と臨床をつなげる基礎研究にも取り組んでおり、最高峰の診断治療を患者さんに提供する事を目標としております。

循環器内科学

教授:阿古 潤哉

チームワークでトップレベルの循環器内科医を育成する

循環器内科学
循環器内科とは心臓と血管に関わる生理と病態を理解し治療する診療科です。狭心症、心筋梗塞症、心臓弁膜症、先天性心疾患、心不全、不整脈などの疾患に対して総合的にアプローチするとともに、最新の治療法を駆使して最高水準の医療を提供しています。臨床・教育・研究の三本柱がそれぞれに結びついた形で医療を展開しています。診療面では、心臓血管外科とハートチームを形成し心臓血管センターの運営を行っています。教育面では充実したベッドサイド教育を実践し、さらに研究面では、心不全・不整脈・動脈硬化性疾患それぞれの基礎研究並びに臨床研究を行っています。我が国は更なる高齢化社会に突入していますが、経カテーテル的大動脈弁植え込み術等を含めた最新の侵襲的医療も行える能力も持ちつつ、患者全体を診ることも出来る臨床医を育成することを目指しています。

神経内科学

教授:西山 和利

脳の科学を実践する診療を担う

神経内科学
北里大学神経内科では現在北里大学病院の本院と東病院に病棟を持ち、急性疾患から慢性疾患まで多数の症例の診療に従事しています。具体的に対象になる疾患にはパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳炎や髄膜炎などの神経感染症、筋ジストロフィーなどの筋疾患、多発神経炎などの末梢神経疾患、アルツハイマー病などの認知症、けいれんや頭痛等の機能性疾患など様々です。医学教育の面では多種多様な疾患を実際に担当し、経験する事で神経診療から画像診断、臨床検査などを含め実践的な研修を受ける事が可能です。また、研究の面でも遺伝子治療や再生医療に関する基礎研究から豊富な経験症例を活かした臨床研究まで数々の最新研究を行っています。

血液内科学

教授:鈴木 隆浩

全科に影響する血液異常の全てに対応できる血液内科専門医を育成する

血液内科学
血液学は、腫瘍学、幹細胞医学、免疫学と密接に関係し、タンパクから遺伝子レベルにいたるまで最先端の知識と技術を用いた研究の成果の恩恵を最も受けている分野です。血液悪性腫瘍である白血病や悪性リンパ腫の治療は、抗がん薬に分子標的療法や抗体療法が加わり、さらに幹細胞移植やサイトカインを用いた補助療法の貢献もあり、その治療成績が飛躍的に向上してきました。当科では、血液疾患の診断と治療の進歩に貢献する研究を行い、その成果を国内外の学会や英文学術誌で報告しています。卒前教育では、疾患の病態や治療の実際を講義と臨床実習で教育しています。卒後教育では、貧血や出血性疾患から血液悪性腫瘍まで幅広く診療できる血液内科専門医を育てるとともに、generalphysicianとして総合診療も行える臨床医の育成に尽力しています。

呼吸器内科学

教授:猶木 克彦

肺・気管支についての学問。人口の高齢化で患者が増加中

呼吸器内科学
呼吸器系は生命活動に重要な役割を担っており、感染症、アレルギー、免疫異常、悪性腫瘍などさまざまな疾患がある。近年の生活環境の変化や人口の高齢化に伴い、肺炎や睡眠呼吸障害、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、肺がんが増加し続けている。当科では呼吸器外科や放射線科との綿密な連携のもと、科学的根拠に基づいた高度な診療・研究を行っている。肺がん化学療法においては、より効果の高い治療の開発のための最先端の臨床治験にも積極的に取り組んでいる。また、気管支喘息、COPD、呼吸リハビリテーション、睡眠呼吸障害に関しても予防医学・管理医学の充実を図っている。研究面では呼吸筋の機能生理学、気道上皮の遺伝子解析、肺がん個別化薬物治療の開発などの基礎研究から、呼吸機能障害の緩和や肺がん治療への臨床応用を念頭においた臨床研究まで幅広く行い、国内外の学会や学術誌に多くの研究成果を発表している。

内分泌代謝内科学

教授:七里 眞義

ますます増加が予想される糖尿病などの生活習慣病を研究

内分泌代謝系には、近年急増し社会的問題にもなっている糖尿病や肥満、高脂血症などの生活習慣病と、下垂体や甲状腺、副甲状腺、副腎などの内分泌臓器の疾患がある。診療面では、相模原市を中心とする神奈川県北部の基幹的医療機関として貢献してきた。とくに有病率の高い糖尿病診療では専門医、糖尿病療養指導士、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師によるチーム医療を実践しているほか、急性代謝失調や臓器障害を合併する重篤な症例にも対応している。内分泌代謝領域ではあらゆる内科疾患に対応する国内でも数少ない診療科となっている。教育面では、知識や技術の修得だけではなく、ヒューマニズムに徹した医療人としての人格形成に重点をおき、2年次後期から始まる器官系別総合教育と4年次後期からの臨床実習を系統的に行っている。研究面では、プロテオームや細胞・分子生物学的な手法を駆使した基礎的、臨床的研究を行っており、国内外の学会や学術誌に研究成果を発表している。

腎臓内科学

教授:竹内 康雄

体内環境を維持するために高度に分化した腎臓の機能と病気を研究する

腎臓内科学
腎の構造は微細で機能が精密に分化していること、尿の成分が目で見えないことなどから難解なイメージがあったが、近年の進歩は腎と腎疾患をわかりやすいものに変えつつある。臨床では、水電解質異常、腎炎、膠原病・糖尿病などの全身性疾患の腎障害、急性・慢性腎不全、透析療法、腎移植の各分野で全国有数の症例数を持っている。近年の腎臓病治療の進歩は著しく、治療に手応えを感じることができる。また、腎臓は体内環境の維持を担っているので、腎臓以外の臓器の診療が必要で、全身を診る内科医が育っている。研究では、腎疾患の発症機序の研究と臨床研究を中心に世界に通じる英文論文を多数発表しており、臨床研究施設としての評価を得ている。教育では、診療基本技術の高いレベルでの修得、診療活動を通じて医師の能力を向上させる問題解決型診療システムの実践などにより、質の高い医師の育成をめざしている。

膠原病・感染内科学

病気の根底にある病態を考えながら、より根本的な治療を開発することが研究目標

膠原病・感染内科学
膠原病は皮膚、血管、関節など全身の結合組織に炎症を起こす病気である。免疫異常を伴うのが特徴で、関節リウマチや全身性エリテマトーデスが代表的疾患である。全身性感染症も防御機構である免疫の破綻によって発病することが多い点で共通する。こうした病気の診療には、全身のすべての臓器についての知識が不可欠である。学生教育では、詳細な病歴をとり全身をくまなく診察することの重要性を認識した上で、種々の情報を集めて診断する面白さを体験することに重点を置いている。その意味では最も内科らしい領域である。つまり、発熱、関節痛、筋肉痛といった、炎症性の病態を内科学の全領域の知識をフルに動員して、的確に診断・治療しようという点である。関節リウマチの治療では、近年生物製剤による治療が登場し、その治療成績は大きく進歩した。当科では、関節リウマチをはじめとする難治性の疾患を的確に診断し、治療してゆける専門医を育成することも大きな柱の1つとしている。

外科学

教授:渡邊 昌彦

「心と技の世界」外科学を極める

外科医
外科学とは患者さんに外傷を与え、その代償として疾患を治す治療学である。治療法には、切除、再建、修復などがあるが、治療に伴う患者さんの全身管理も外科学の範疇に入る。本学の外科が扱う分野は、消化器外科(消化管、肝・胆道・膵臓)、乳腺、内分泌外科(甲状腺、副腎)、小児外科であり、対象疾患はがんをはじめ炎症、外傷、先天性疾患など多岐にわたる。当科は全国で有数の症例数を扱い、すべての疾患について最新の治療法を駆使し良好な治療成績を誇っている。とくに消化器疾患に対する内視鏡外科の技術は世界でもトップレベルにある。卒前教育にも力を入れており、いち早くクリニカルクラークシップを導入。卒後教育は良き臨床医、国際的に通用する外科医の効率的な育成を目指す。そのために大学病院での専門教育と第一線病院での一般外科の研修を、有機的に教育プログラムに組み込んでいる。

心臓血管外科学

教授:宮地 鑑

本邦3大死因の1つである循環器病を対象として外科的治療と研究を行う

心臓血管外科学
心臓血管外科は、本邦3大死因の1つである循環器病を対象として、外科的治療・研究を行う学問である。対象疾患は心筋梗塞・狭心症・弁膜症・胸部大動脈瘤・不整脈など主として成人の後天性心疾患と、新生児や乳幼児などの生まれつきの心疾患(心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・複雑心奇形などの先天性心疾患)に大きく分けられる。日常診療においては、患者さん中心の安全・確実な医療をモットーに、循環器内科、小児科、救命救急センター部との緊密な連携のもと、常に迅速で質の高い医療を心掛けている。手術症例数は年間約300例と国内有数であり、成績もトップレベルと評されている。患者さんに対する手術侵襲を最小限にするため、内視鏡・ロボット使用下の動脈管閉鎖術、人工心肺を用いないで行う冠動脈バイパス手術、胸部大動脈瘤に対するステンドグラフト内挿術、皮膚小切開手術、無輸血手術などを積極的に行い、好結果を得ている。また、術式の工夫・開発や合併症予防に関する臨床的・実験的研究も行い、有能な心臓血管外科専門医の育成に心掛けている。

呼吸器外科学

教授:佐藤 之俊

肺がんを中心に呼吸器外科疾患に対する外科治療と研究を行う

呼吸器外科学
呼吸器外科学は、本邦におけるがん死因の第一位を占める肺がんの外科治療をはじめ、転移性肺腫瘍、胸壁や縦隔の腫瘍、外傷、炎症性疾患、あるいは気胸、膿胸、悪性中皮腫などに対する外科治療と、その他の疾患として重症筋無力症に対する拡大胸腺全摘術や多汗症に対する胸腔鏡下交感神経遮断術など、ほとんど全ての呼吸器疾患に対応できる診療・教育体制を整えている。また、低侵襲性手術である胸腔鏡手技はほとんどの症例に対して用いている。とくに、肺がん治療に対しては、国内でも有数の呼吸器センターとして集学的なチーム診療と教育体制が確立しており、呼吸器内科、放射線治療科と緊密な連携を行っている。なお、臨床研究をはじめ、呼吸器細胞診断、中皮腫、特殊な肺腺がん、合併疾患を有する肺がんの治療等の研究やアニマルラボ研修を推進しており、全員が協力しながら診療、教育、研究にあたり、質の高い外科医の育成にも力を注いでいる。

脳神経外科学

教授:隈部 俊宏

あなたも最も求められる人間になりませんか?

脳神経外科学
生きていくということは、自分の存在する場所を見いだし、その場所で活動することにより、周りの人間に感謝されることを自分の存在価値として感じることだとまとめられるように思います。

脳はその人間の全てを支配します。この脳に、腫瘍、血管障害(出血、梗塞など)、外傷、先天奇形、炎症、さらには機能的障害で不具合が起こったときに、主に手術などの外科的手法で治療を行うのが脳神経外科の役割です。診断にあたっては、CT、MRIなどの最新の機器が支援します。顕微鏡を用いた手術を中心に、ナビゲーションシステム、神経内視鏡、電気生理学的モニタリング、覚醒下手術等、解剖学的及び機能的情報を統合して、大切な正常脳を傷つけない精緻な手術を行っています。さらに、カテーテルを用いる血管内手術、定位的放射線治療、化学療法などを組み合わせた最先端の統合的な治療を行っています。脳神経外科医は限りなく求められています。そして興味を持つべき領域は極めて多彩です。あなたの、その存在により、大きく進歩することが可能です。

小児科学

教授:石井 正浩

新生児救命救急から小児保健までを広くカバーする

小児科学
小児科学とは小児を対象とした内科学であり、成長発育しつつある個体を理解することから始まる。年齢的には出生直後の新生児から、一般には18歳までとなっている。内科学と大きく異なるところは、新生児、乳児、幼児、学童など発達段階により、疾患の種類、症状、対応の仕方が異なる点にある。新生児救命救急という緊張した領域を含む反面、疾病の予防策を含めた小児保健にも力を入れている。加えて、社会構造の変化に伴って心の病の問題も注目され、少子化問題、母子(親子)関係の発達と教育、児童虐待の問題まで、小児科医の関与すべき分野が広がりつつある。一方、分子生物学の進歩により、多くの疾患の原因となる遺伝子異常が明らかにされ、出生前の遺伝子診断が可能になった疾患も少なくなく、遺伝子治療も急速に進むものと期待される。未来に開く学問というべき小児科学における、理想に燃えた若人達の活躍が期待される。

産婦人科学「産科学」・産婦人科学「婦人科学」

産婦人科学「産科学」教授:海野 信也
産婦人科学「婦人科学」教授:恩田 貴志

産婦人科学
産婦人科学は、周産期医学、生殖内分泌学、婦人科腫瘍学、女性医学をsubspecialtyとしており、思春期、性成熟期、更年期、老年期の各ライフステージにおける女性特有の健康上の問題すべてを対象とした分野である。妊産婦の高齢化に伴うハイリスク妊婦の増加、不妊症の増加と体外受精胚移植などの生殖補助技術の導入、腹腔鏡下手術などの低侵襲手術の導入、子宮内膜がん、卵巣がんの増加に対応し、産婦人科医療は常に変化し続けている。北里大学産婦人科は産科部門と婦人科部門を擁する大単位として大学病院においてわが国有数の分娩と悪性腫瘍症例を取扱っており、周産母子成育医療センターとして地域の周産期救急に24時間体制で対応するとともに神奈川県西部の婦人科悪性腫瘍治療のセンター施設として機能している。豊富な症例を背景に、最新の医療技術を導入し高い臨床レベルを保ちながら、実践的な学生教育、卒後教育を行い各領域の専門医育成に努めている。

整形外科学

教授:高相 晶士

人間らしく生きるための健康・治療の担い手として大きな役割を果たす

整形外科学
運動器の障害があると、移動する、食事をするなどの日常生活動作を円滑に行うことができず、たちどころに困ってしまう。整形外科はこのような身体運動に関わる手足や背骨など、全身の運動器の病気や外傷を取り扱う診療科で、関連する学問を整形外科学と呼んでいる。新生児から高齢者まで男女を問わず、脊椎疾患や骨・関節・筋肉などの病気や外傷、スポーツ障害などで困っているすべての年齢層の患者さんの診療と研究に携わる。また骨折などで寝たきりになる高齢者が増えており、整形外科の需要は今後も伸びていくことは確実である。明るく生き生きと社会生活を楽しむためには、運動器が健全でなければならない。スタッフ一同、学生の教育には特に注意を払い、研究面では、脊椎の病気、関節の病気や外傷を中心に、移植・再生医学、生体工学的手法を用いて先進的な研究を行い、新しい機器の開発にも活発に取り組んでいる。

形成外科・美容外科学

教授:武田 啓

よりよい機能と形態を追求する創造の外科学-Creative Surgery

形成外科・美容外科学
先天異常や外傷、腫瘍などにより生じた変形あるいは整容的な不満足に対して機能的かつ形態的に改善しQOLの向上をはかる。形成外科には、再建外科と美容外科という二つの大きな柱がある。北里大学では再建外科の分野はもちろん、大学病院としては稀な美容外科も開設当初から標榜し、形成外科領域全般にわたって幅広く診療研究にあたってきた。年間1200件程の手術をこなし、病棟医終了時点で専門医の取得が可能な症例が経験できるように各領域専門スタッフによる徹底した臨床教育が行われている。基礎研究では口蓋裂などに対する骨組織の再生や毛髪の再生に関する研究、創傷治癒に関する研究を行っており、よりよい治療法の開発を目指している。最近注目されている再生医療の臨床応用も皮膚の培養によって熱傷治療を行った形成外科学分野が先駆けの一つである。形成外科・美容外科学は常に新しい分野を開拓し造り出していく外科系の専門領域である。

皮膚科学

教授:天羽 康之

最大の臓器である皮膚を通して全身疾患を考える学問

皮膚科学
皮膚は人体にとって最大にして重要な臓器であり、皮膚なしには生命を維持することはできない。また、皮膚には内臓病変に対応してさまざまな変化が生じることが多く、皮膚科学とは単に皮膚を診るのではなく、皮膚を通して全身を診る学問であり、多彩な機能を持つ皮膚という臓器を総合的に扱う極めて幅の広い分野である。最近は感染・免疫・アレルギーの分野においても発展が期待されている。教育においては、皮膚と内臓との関係を中心に総合的な講義を行い、皮膚病変から全身疾患と考えることができることを目的としている。臨床実習では、皮膚疾患を直接診ることを中心とし、国家試験中心の小講義を補足的に行っている。我々の特徴は、脱毛症のメカニズム(細胞障害性T細胞の認識抗原)の解明を中心とし、金属アレルギー、膠原病、皮膚腫瘍、脈管疾患、感染免疫等臨床に応用できる基礎研究、臨床研究を行っている。

泌尿器科学

教授:岩村 正嗣

最先端の低侵襲治療を展開。海外との交流もさかん

泌尿器科学
後腹膜組織・腎尿路・男性生殖器ならびに副腎疾患を取り扱う外科学の一部門。疾患の主体が高齢男性に多いことや、人口の高齢化とともに、専門医の数をますます増やす必要に迫られている。北里大学では、低侵襲性医療の開発、教育・普及を重点課題として、腎尿路・前立腺などの男性生殖器の悪性疾患や、腎移植・腎不全外科領域の治療に取り組んでいる。腎不全では透析医療を外科的に支援するほかに、腎移植の普及に積極的に取り組んできた。北里大学病院では泌尿器腹腔鏡手術の代表的な教育施設の一つであり、また全国でも有数の腎移植センターでもある。教育スタッフの多くは海外での留学経験があり、その豊富な経験から後進の指導にあたっている。また新しい医療体制の確立のため幅広く国内外との人事交流に努めている。悪性腫瘍に対するワクチン治療やロボット支援手術などの高度先進的医療分野の研究を展開しつつある。

眼科学

教授:庄司 信行

最先端の低侵襲手術を取り入れ、視機能の維持と向上を図る

眼科学
眼球は直径24mm程度のとても小さい臓器であるが、眼から入る情報はとても多く、その障害はクオリティオブライフを大きく損ねてしまう。眼科学は患者の人生に大きく関わる科であると言える。したがって、単に疾患を治すだけでなく、いかに視機能を維持し向上させるかが重要となる。そのために、近年は低侵襲手術が重要なキーワードとなっている。白内障の小切開無縫合手術はもちろん、より細い器具を使った無縫合硝子体手術、結膜や強膜を傷つけない緑内障手術など当科でもいち早く取り入れた。また、様々なレーザーが既に治療用に応用されるなど、最新技術が非常に早い段階で導入されるのも眼科学の特徴である。精度の高い視機能計測のために種々の検査機器も開発されている。学生には画像を豊富に使用した講義や各種検査の体験実習等を通じて、眼科特有の疾患だけでなく、糖尿病やサルコイドーシスなど他科と関わりの深い疾患による視機能障害もしっかりと理解して欲しい。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

教授:山下 拓

耳鼻咽喉科領域の加齢変化と機能回復(リハビリ)がテーマ

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学は、首から上の脳と眼を除く領域を担当する。この領域は人の五感(嗅・視・聴・味・触)に深く関わった分野で、人が人らしく生きるための機能にもっとも深い関係のある分野といえる。また、生命の維持に重要な呼吸や嚥下にも深く関わっている。したがって、この領域に生じる疾患はそれらの機能低下を生じ、生命維持に支障を来すばかりでなく、人間らしさの喪失を招くことにもなる。耳鼻咽喉科・頭頸部外科学では、当該領域の解剖、生理、病態、検査、診断、疾患、治療を学ぶだけでなく、そうした疾患を有する、あるいは、疾患や治療によって機能を失った患者さんの心情の理解や共感および対処ができるようになることを目標とする。またコミュニケーションは聴覚、言語、音声を通じて行われることを思うと、そのメカニズムの基本を学ぶことの重要性は医学を志す者として容易に理解できよう。

精神科学

教授:宮岡 等

健常者のメンタルヘルスにまで対象領域が広がっている学問

精神科学
身体的、心理的、社会的存在としての人間の精神機能を対象とする科学であり、精神障害の原因、症状、転帰、治療、予防などを研究する医学の分野である。精神機能の探究においては、神経生理学、神経生化学、神経心理学、脳形態学的な研究が求められる。一方で、患者さんとの面接による問診と行動の観察から精神症状を把握し評価することは大切である。治療では薬物療法とともに精神療法や心理療法が重要な位置を占める。また、精神機能は環境要因の影響を受けるので社会的側面からの理解も要求される。精神科学の教育は器官系別総合教育講義と臨床実習、選択実習によって行われる。講義によって必要な基礎知識を修得し、実習では実際の診療に加わり、より深く精神医学を学ぶ。北里大学東病院精神神経疾患治療センターはスタッフ、規模ともに全国有数の医療機関であり実践的な精神科学を学ぶことができる。

放射線科学「画像診断学」

教授:井上 優介

全身の形態と機能を非侵襲的に画像化。先端医療の開発・応用を推進

放射線科学[画像診断学]
画像診断学では、CT、MRI、PET、SPECTといった高度画像診断機器を用いて、臓器・病変の形態や機能を非侵襲的に明らかにする。最近は生体内現象を分子・細胞レベルで解明する分子イメージングが注目され、次世代医療技術として急速な発展を遂げている。画像技術を治療に応用するインターベンショナルラジオロジーも画像診断学の重要な役割で、低侵襲の選択的治療を実現する。画像診断学は、低侵襲・個別化医療を支える柱であり、全身の多様な疾患を扱う、現代の医療に必要不可欠の分野として成長を続けている。北里大学では画像診断の各領域で最先端の診療を行っており、各診療科や医療衛生学部などとの連携のもとで、新しい医療技術の開発とその臨床応用を推進している。画像診断はすべての医師に必要な素養であるとの認識のもとで、IT技術と教員の熱意を車の両輪としたシステムで学生教育にあたっている。

放射線科学「放射線腫瘍学」

教授:早川 和重

臨床腫瘍学を基盤とした情報工学・放射線物理学・生物学の統合。新時代の癌治療を切り開く。

放射線科学[放射線腫瘍学]
放射線腫瘍学は、臨床腫瘍学を基盤とし、放射線治療を主体とした専門領域である。関連する教育研究単位の協力のもとに臓器機能の温存を目指した高精度放射線治療に関わる基礎的・臨床的研究を推進している。また、各科専門医との合同診察やカンファレンスを通じてEBM(Evidence Based Medicine:医学的根拠に基づく医療)の実践を心がけ、各がん種の特性に基づく抗がん剤ならびに他の薬剤との併用療法の最適化、密封小線源治療技術の開発に関する研究を進めている。放射線治療では、治療計画の再現性、線量の検証や位置精度の管理あるいは治療機器の定期点検など品質管理も重要で、医療衛生学部医療工学科、大学院医療系研究科とも連携し、新しい治療精度管理技術の開発・研究も行っている。また、放射線画像診断学との連携によりPET/CTによる放射線治療計画法の実践・開発、RI内用療法による臨床研究を行っている。

麻酔科学

教授:岡本 浩嗣

周術期管理と集中治療、そして痛みの克服を目的とする医学の原点。現代医療の新分野

麻酔科学
麻酔科学は、手術中を含めた周術期の患者さんの安全を確保するために必要な医療・医学を学問の対象にしている。手術という侵襲が生体におよぼす影響とそれを防御する仕組みを学ぶとともに、医療機器の進歩を生かした生体モニターの意義を学ぶ。麻酔科では、最新の麻酔法や麻酔薬を研究し、より質の高い安全な麻酔を目指している。周術期の安全のために、個々の臓器機能に目をやるだけでなく、呼吸、循環、代謝といった全身の臓器の関連にまで配慮した全身管理学を実践、探究している。さらに手術後を中心とした集中治療医学を展開するとともに、呼吸療法サポート・院内急変対応チームを組織している。また、痛みに苦しんでいる患者さんの痛みの軽減と痛みからの解放を目指して、難治性の痛みの機序と鎮痛法に関する研究を行っている。さらに、がん患者さんの痛みや諸症状をコントロールする全人的な緩和医療を実践、生命への畏敬を考える教育を臨床の場で行っている。

臨床検査診断学

教授:狩野 有作

戦後米国から導入された新しい医学領域で、急速な進歩を遂げた学問

臨床検査診断学
患者さんを適切に診断し、有効な治療を実施するためには、患者さんの病態を正確に把握することが必要である。臨床検査は、尿や血液、髄液などの患者由来の検体を検査したり、心電図検査や超音波検査、脳波検査などの生理学的検査を行うことで患者さんの病態に関わる情報を医療の現場に提供している。臨床検査によって得られた情報が、病気の診断や治療法の選択に活用されていくのである。したがって、臨床検査は現代の臨床医学を支えている必要不可欠な技術であり、学問であると言っても過言ではない。臨床検査診断学は、医学部の学生に臨床検査の内容やその評価法を教育するとともに、大学病院の臨床検査部においてさまざまな検査診断を行っている。また、臨床検査診断学では、遺伝子検査や炎症病態の形成に関与する生理活性物質に関する研究、動脈硬化症の病態診断に関する研究などにも積極的に取り組んでいる。

輸血・細胞移植学

教授:宮﨑 浩二

輸血医療の新たな発展を目指して、21世紀の医療を変える力に

輸血・細胞移植学
輸血医療は多くの献血者である国民に支えられている社会的に重要な医療である。一般的には支持療法(補充療法)と考えられているが、生体にとって最も安全かつ有効で適正な輸血医療を行うためには、輸血感染症、輸血後GVHD、免疫学的反応などの輸血に伴う副作用や合併症を十分に理解し、対策や適応を決定する必要がある。そして、同種血輸血の適正使用の実践や自己血輸血の推進をはかる必要がある。

細胞移植については、大学病院の輸血センター部においてさまざまな輸血検査と共に、造血器疾患などでの末梢血幹細胞採取・細胞調整・保管や閉塞性動脈硬化などの重症虚血肢に対する末梢血単核球採取・細胞調整・治療までの血管新生療法を関連する臨床各科と緊密な連携の基に行っている。可能性を秘めた輝ける本学の若い力とともに発展できる事を目指している。

救命救急医学

教授:浅利 靖

「何がなんでも命を救うという思い。それが救命救急医学だ」

救命救急医学
交通事故、脳卒中、心筋梗塞、薬毒物中毒、全身熱傷など生命に危険のある重症傷病者を助けるのが救命救急医療。多数の怪我人が発生する災害時に命を救うのが災害医療。この医学の原点とも言える救急医療と災害医療を24時間365日、病院で実践するのが北里大学病院の救命救急・災害医療センターです。そして、より多くの命を救うため、急性期医療を研究したり医学部の学生に救急・災害医療を教育するのが医学部の救命救急医学です。医学部の4年次には救急・災害医療に必要な基礎知識を学び、5年次には救命救急・災害医療センターで1週間の臨床実習を行い、6年次には救急を選択した学生は約1ケ月間、救急医療チームの一員として屋上ヘリポートで重症患者を受け入れたり、ドクターカーや救急車に同乗して救急現場を体験する実習を行っています。救命救急医学の医学生への教育目標は急病や怪我などの最悪の事態に最前を尽くせる医師の育成です。

総合診療医学

教授:青山 直善

多様な患者に対応する総合診療能力の育成・教育を担当

総合診療医学
わが国では医学・医療の進歩に伴って医療体系の専門分化が進む一方で、臓器別診療による弊害が問題になっている。総合診療医学は、高度に専門分化した臓器別診療の「縦糸」を補完する、言わば医療における「横糸」として機能する部門である。臨床においては、大学病院の外来、東病院の在宅・緩和支援センター、相模原市立診療所などの多様な診療の場における外来・病棟・訪問診療を通して、日常的に頻度の高い幅広い領域の疾病・傷病の初期対応と継続的な対応、他多職種連携、漢方診療などを行っている。教育面では、北里大学医学部相模原市寄附講座「地域総合医療学」と連携しながら、卒前教育における医療面接・身体診察・診断学、初期臨床研修における地域医療を含めた基本的臨床能力修得のための研修、新専門医制度に則った総合診療医育成のための後期研修を担当している。