放射線科学「放射線腫瘍学」
臨床腫瘍学に基づいた放射線治療の教育・研究・診療の実践を目指す
石山 博條
Hiromichi
Ishiyama
教授
担当科目 | 放射線科学「放射線腫瘍学」 |
専門分野 | 放射線腫瘍学 |
北里大学医学部 放射線科学「放射線腫瘍学」
Department of Radiology and Radiation Oncology
教授:石山博條
助教:早田 格(診療講師)、関口茜衣(研究員)、川上正悟(診療講師)、早川豊和(研究員)、野澤茉莉花(病棟医)、飼沼卓朗(病棟医)
北里大学放射線科学の歴史は1970年に初代教授の橋本省三先生が着任されて始まりました。1975年に松林隆先生、2000年に早川和重先生が講座主任を引き継がれ、地域医療と人材育成および研究開発に貢献してまいりました。医学の進歩とともに専門分化の必要性が強まり、2010年に放射線腫瘍学と画像診断学が別個の単位となって早川先生が放射線腫瘍学、井上優介先生が画像診断学の主任教授にそれぞれ就任されました。2019年からは私が放射線腫瘍学の主任教授をつとめさせていただいております。
放射線腫瘍学は現在、6名の医師で構成されています。どの先生も若くて将来性に満ち、今後の活躍が期待されるメンバーです。関連施設は国立病院機構相模原病院、災害医療センター、稲城市立病院など放射線治療を行える貴重な近隣施設に人材を派遣し、地域のがん診療に貢献しています。
放射線腫瘍学は「がん」という病気を全体的かつ詳細に学べる単位です。放射線治療が手術、化学療法と並び、がんを治癒に導くために欠かせない治療法であることは広く知られています。オンコロジスト(腫瘍医)として様々ながんを治癒に導けるよう、臨床腫瘍学をベースに放射線物理学、放射線生物学、最近では情報科学の知識を学びつつ研鑽を積むことができます。
学生実習では治療計画装置を用いて実際の治療計画の体験プログラムを用意しています。A.I.によるオートコンツーリング(膀胱、前立腺、直腸などを自動で認識し輪郭を描出する)や強度変調放射線治療の威力を体験でき、試験に役立ちつつ、ビデオゲームのような感覚で楽しむことも可能です。すべての部位の癌にかかわる治療法であるため、国家試験でも放射線治療に関連した出題が毎年多数出題されています。がん治療の基本を学ぶとともに癌について統合的な知識を得ることができるような講義を用意しています。
卒業後の研修は画像診断学と密に協力し、一階建て部分である放射線科専門医を最短で取得できるプログラムを充実させています。また二階建て部分にあたる治療専門の取得に必要な症例数も十分に用意されており、全身どこに発生した癌でも適切な放射線治療を実施することが出来るようになります。希望者には海外留学の道も用意あります。
年間1,100例を超える新患があり、全国の大学病院の中でもトップクラスの症例数を誇ります。ただ数が多いだけでなく、定位放射線治療、強度変調放射線治療といった最新の技術を駆使した精度の高い放射線治療を提供するため、True Beamという米国のバリアン社で開発された最新鋭の外部照射装置が2台、Tomotherapyという強度変調放射線治療専用機1台が設置されています。3台すべてが毎日フル稼働しています。また前立腺癌や子宮頚がんに対する密封小線源治療を行うための設備も充実しており、こちらもフル稼働しています。
疾患としては前立腺癌、乳癌、肺癌、子宮頚癌、脳腫瘍、食道癌、頭頚部癌など全身に発生する悪性腫瘍を対象としており、がんを扱うすべての診療科と協力して質の高いがん診療に貢献しています。また骨転移や脳転移などによる症状を緩和するための放射線治療も多く実施しており、がん患者さんのQOL向上にも貢献しています。
泌尿器科とコラボレーションした臨床研究が多く、特に前立腺癌の密封小線源治療についての論文を多く発表しています。また前立腺癌の定位放射線治療を日本で初めて本格的に開始したのは北里大学病院であり、それまで2カ月間も毎日病院に通わなければならなかった治療をたった1週間に短縮する画期的方法として現在では多くの患者さんに選択されています。
最近では医療衛生学部の先生方と協力して、ラジオミクスという画像から情報を吸い上げる技術の応用や、A.I.を利用した予後予測プログラムの開発、あるいは放射線治療と免疫反応との関連性など多岐にわたる研究活動を展開しています。また他の診療科と協力し多施設共同研究にも参加しています。
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- Koga H, Naito S, Ishiyama H, Yorozu A, Saito S, Kojima S, Higashide S, Kikuchi T, Nakamura K, Dokiya T, Fukushima M; J-POPS Study Group.Patient-reported health-related quality of life up to three years after the treatment with permanent brachytherapy: Outcome of the large-scale, prospective longitudinal study in Japanese-Prostate Cancer Outcome Study by Permanent I-125 Seed Implantation (J-POPS).Brachytherapy. 2019 Aug 1.
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- Okamoto T, Katada C, Komori S, Yamashita K, Miyamoto S, Kano K, Seino Y, Hosono H, Matsuba H, Moriya H, Sugawara M, Azuma M, Ishiyama H, Tanabe S, Hayakawa K, Koizumi W, Okamoto M, Yamashita T.A retrospective study of treatment for curative synchronous double primary cancers of the head and neck and the esophagus.Auris Nasus Larynx. 2018 Oct;45(5):1053-1060.
- Onishi H, Yamashita H, Shioyama Y, Matsumoto Y, Takayama K, Matsuo Y, Miyakawa A, Matsushita H, Aoki M, Nihei K, Kimura T, Ishiyama H, Murakami N, Nakata K, Takeda A, Uno T, Nomiya T, Takanaka T, Seo Y, Komiyama T, Marino K, Aoki S, Saito R, Araya M, Maehata Y, Tominaga L, Kuriyama K.Stereotactic Body Radiation Therapy for Patients with Pulmonary Interstitial Change: High Incidence of Fatal Radiation Pneumonitis in a Retrospective Multi-Institutional Study.Cancers (Basel). 2018 Aug 2;10(8). pii: E257.
- Watanabe Y, Muraishi H, Takei H, Hara H, Terazaki T, Shuto N, Shimo T, Nozawa M, Ishiyama H, Hayakawa K, Gomi T.Automated source tracking with a pinhole imaging system during high-dose-rate brachytherapy treatment.Phys Med Biol. 2018 Jul 9;63(14):145002.
北里大学医学部 放射線科学「放射線腫瘍学」
Department of Radiology and Radiation Oncology
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