NEWS & EVENT
演題 | ウイルスからの「遺伝子獲得」が哺乳類の個体発生機構に与えたインパクト |
講演者 | 石 野 史 敏(イシノ フミトシ)氏 [東京科学大学 名誉教授] |
開講時間 | 16:30~ |
場所 | 相模原キャンパス S号館3階 セミナー室2・3 |
詳細 | われわれヒトを含む哺乳類は、どのように誕生したのでしょうか?胎生という生殖機構は哺乳類の中で進化しましたが、それを可能にしたゲノム機能の変化は何であったのでしょうか?哺乳類特異的エピジェネテック機構であるゲノムインプリンティグの解析から、2つの父親性発現遺伝子PEG10とPEG11/RTL1が、胎盤形成・機能維持に必須の機能を果たすことがわかりましたが、実は、これらはウイルス由来の遺伝子でした。これらと相同性のある9個のSIRH/RTL遺伝子も、それぞれ胎盤および脳で重要な機能を果たしていることが、近年、明らかになってきました。 これらの結果は、ウイルスからの遺伝子獲得が、哺乳類の個体発生機構に大きく影響を与えたことを示しています。本セミナーでは、これらPEG10、PEG11/RTL1を含めた11個のSIRH/RTL遺伝子の機能、哺乳類の進化との関係、および遺伝子獲得の場としての胎盤・卵黄嚢など胚体外組織の重要性について紹介します。生物学の究極の目標の一つは、生物としてのヒトを理解することでしょう。そのためには、ヒトのゲノムの9%を占める内在性レトロウイルス/LTRレトロトランスポゾの中に潜んでいる、多数の、まだ未知の遺伝子の機能解析を推進する「ネオ・ヒトゲノムプロジェクト」が必要だと思われる。 |
担当 | 幹細胞学講座 |
対象 | 教職員・学生 |
備考 | なお、本セミナーは大学院理学研究科の特別講義を兼ねています。 単位取得専攻分野:分子科学専攻・生物科学専攻 |