ラット膵臓のアガロース二次元電気泳動パターン


さまざまな電気泳動法を駆使して、タンパク質の機能状態にかかわる翻訳後修飾を調べる

電気泳動法(英語ではエレクトロフォレシス:electrophoresis)とは、生体分子を 電気的性質の違いをもとに分離する方法のことです。DNAの塩基配列の決定に利用さ れたり、臓器や細胞に含まれるさまざまなタンパク質成分を分析する方法として利用 されています。近年では、特にタンパク質を網羅的に解析するプロテオミクスという 学問分野で注目されています。タンパク質は、生体内で生体運動や物質の代謝などさ まざまな働きに関係していますが、タンパク質分子にリン酸や糖鎖など(翻訳後修 飾:RNAからタンパク質に翻訳された後に修飾される構造)が結合すると、タンパク 質の働きそのものが大きく変化します。私は、タンパク質の存在量の変化だけでな く、タンパク質の機能状態をモニターする翻訳後修飾を解析できる新たな電気泳動法 の開発に取り組んでいます。


大石正道

北里大学 理学部 物理学科
生物物理学講座、講師

担当授業: 

  • 生物物理学I(大学院)
  • 生物物理学I(物理学科、化学科、生物科学科)
  • 物理学実験II、生物システム学演習(物理学科)
  • 基礎物理学実験(化学科、生物科学科)
面談時間: 

月曜・火曜・金曜(13:00-15:00)、S号館305室

研究分野: 電気泳動法を基盤とするプロテオミクス

  • ふつう、私たちの体の設計図にあたる遺伝子セット(ゲノム)は一生変化すること はありませんが、遺伝情報をもとにつくられるタンパク質は、体のそれぞれの細胞や 臓器ごとに大きく違っています。
  • また、同じ種類の細胞や臓器でも、体の調子によって、含まれるタンパク質成分は 絶えず変化します。二次元電気泳動法(2-DE法)は、タンパク質成分を等電点の違いと分子量の違いに よって分離する方法で、生体内の各臓器に含まれる多くのタンパク質成分を同時に解 析することができます。
  • たとえば、私たちが病気になると、いろいろな臓器で、悪さをするタンパク質が増 えたり、正常な働きをするタンパク質が減ったりします。
  • 2-DE法を使うと、病気の目印になるタンパク質(疾患マーカー)を見つけ出すこと ができるのです。
  • しかし、タンパク質の増減だけに着目していては、そのタンパク質が正常にはたら いているかどうかをなかなか判断できません。
  • たとえば、ある会社に10人の社員がいるとして、そのうち何人がまじめに働いてい るかを考えてみてください。
  • 会社Aでは10人中8人がはたらき、会社Bでは2人しかはたらいていないとしましょ う。
  • おそらく会社Aは業績があがるのに対して、会社Bは業績が悪化することでしょ う。
  • 私たちの体内ではたらくタンパク質は、翻訳後修飾といってさまざまな構造が結合 することで初めて、正常にはたらくものが多いことが知られています。
  • 一方、体内のタンパク質は活性酸素などによって機能が失われますが、このとき壊 れかけのタンパク質にもさまざまな構造がつきます。
  • タンパク質のはたらきを直接調べることはなかなか難しいことですが、私はタンパ ク質の翻訳後修飾を調べることによって間接的にタンパク質のはたらきを調べたいと 考え、電気泳動法の改良に取り組んでいます。
経歴: 

1984年筑波大学第二学群生物学類卒業。1989年筑波大学大学院生物科学研究科生物物 理化学専攻博士課程修了。理学博士。米国サウスカロライナ大学リサーチ・アシスタ ント・プロフェッサーをへて、1991年北里大学(衛生学部生物科学科助手)。1994年 の理学部設立とともに理学部へ転勤。2003年4月より現職。
2014年より日本電気泳動学会副会長

関連論文: 
  • 大石正道,"基礎講座「ゲノミクス・プロテオミクス・メタボロミクス」II プロ テオミクス" Diabetes Frontier, メディカルレビュー社, 22、301-305、2011.
  • 大石正道,"入門講座「プロテオミクス解析の分析技術」3. タンパク質の電気泳 動"ぶんせき, 日本分析化学会, p.484-489 2005年9月
  • M. Oh-Ishi & T. Maeda, "Disease proteomics of high-molecular-mass proteins by two-dimensional gel electrophoresis with agarose gels in the first dimension (Agarose 2-DE)", J. Chromatogr.B 849: 211-222, 2007.
  • H. Azuma & S. Yoneda, "Structure and dynamics of the GH loop of the foot-and-mouth disease virus capsid", J. Mol. Model., 28, 278-286, 2009.

大石正道、北里大学 理学部

〒252-0373神奈川県相模原市南区北里1-14-9
E-mail: moishi?at?kitasato-u.ac.jp (?at?を@で置きかえて下さい)