2023.3.21-27 Genomic Imprinting 2023 @ Sanger Institute
イギリスケンブリッジ郊外のSanger Instituteで開催された「Genomic Imprinting 2023 from Biology to Disease」で、関田洋一准教授が発表し、Constancia博士とSandvici博士とディスカッションしました(左写真)。また、ケンブリッジ大学(中央写真)とヘルシンキ大学(右写真)でセミナーをしました。
2023.2.18 卒業論文発表会
下田竜也君、吉田哲平君が発表しました。
2023.2.16 修士論文発表会
佐藤万葉君、永田圭さん、御園杏里、山浦真美子さんが発表しました。
2023.1.27-28 第21回武田科学振興財団生命科学シンポジウム
大阪国際会議場で開催された「第21回武田科学振興財団生命科学シンポジウム〜ヒト発生と進化の理解に向けて」で、関田洋一准教授が発表しました。ケンブリッジ大学副学長のAnne Ferguson-Smith教授(右)とディスカッションしました。
2023.1.24 理学部セミナー
東海大学医学部の福田篤先生に、「女性多能性幹細胞におけるエピゲノム異常と疾患モデリング」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2022.12.16 理学部セミナー(臨時)
東フィンランド大学の梅森十三先生に、「光遺伝学による神経可塑性の誘導-光で頭を柔らかくする-」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2022.11.30-12.2 第45回 日本分子生物学会年会
幕張メッセで開催された「第45回 日本分子生物学会年会」で、永田圭さん(修士2年生)、御園杏里さん(修士2年生)、太田昌美さん(修士1年生)、横田佳奈さん(修士1年生)、関田准教授が発表しました。
2022.11.12 性的に未分化な生殖細胞が、卵をつくる細胞に性分化する最初のステップを解明しました
幹細胞学講座の論文が Genes to Cells 誌に掲載されました。
伊藤駿瑛君(博士修了生)が筆頭著者で、太田昌美さん(修士1年生)、長田純輝君(修士修了生)が共著者の論文です。横浜市立大学大学院・医学研究科と熊本大学・発生医学研究所との共同研究です。
卵と精子という雌雄特異的な配偶子をつくることは、有性生殖をおこなう生物にとって、最も根源的な生命現象です。始原生殖細胞は、性的に未分化な胎仔期の生殖細胞ですが、ある時期になると、メスでは減数分裂に移行し、一次卵母細胞へと分化します。一方、オスでは前精原細胞へ分化します。
これまでに、私たちは、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体が、雌雄両方の生殖細胞において、性特異的な分化を開始させるのに必要であることを示してきました。
今回の論文では、メスの生殖細胞が減数分裂を開始するメカニズムを明らかにしました。
SWI/SNF複合体は、まず、ポリーコーム複合体により抑制型のヒストン修飾を受けている、減数分裂関連遺伝子群(減数分裂関連遺伝子群のマスター転写因子をコードするMeiosin遺伝子を含む)のプロモーターのアクセシビリティを上昇させます。次に、SWI/SNF複合体依存的に発現誘導されたMEIOSINが、100個以上ある減数分裂関連遺伝子群の転写を誘導することを明らかにしました。
私たちは、SWI/SNF複合体は、オスの生殖細胞の性分化にも必須であることを示しています。第3章では、オスではどのようなメカニズムで性分化が開始するのかを解明したいと考えています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/gtc.12990
2022.6.9-10 第15回 日本エピジェネティクス研究会
九州大学で開催された「第15回日本エピジェネティクス研究会」で、関田洋一准教授が発表しました。佐々木裕之九州大学名誉教授(左)とディスカッションしました。
2022.5.12 エピゲノム編集技術を使って、インプリンティング領域内のコアDNAメチレーションを明らかにしました
幹細胞学講座の論文が Nucleic Acids Research 誌に掲載されました。
児島進君(修士修了生)と塩地直弥君(修士修了生)が共同筆頭著者で、佐藤一輝君(修士修了生)、山浦真美子さん(修士2年)、伊藤駿瑛君(博士修了生)、山村のどかさん(修士修了生)、後藤尚紀君(学部卒業生、現東工大博士課程)、小田本実佳さん(修士修了生)が共著者の論文です。産業技術総合研究所(小林先生)との共同研究です。
ゲノムインプリンティングとは、母親由来ゲノムと父親由来ゲノムで機能が異なる現象のことで、動物では胎盤を持つ哺乳類に特異的なものです。ゲノム間の機能的な差は、母親由来の染色体からのみ、または父親由来の染色体からのみ発現する遺伝子が存在することによって生じており、このような遺伝子をインプリント遺伝子といいます。ヒトとマウスそれぞれで、約200個のインプリント遺伝子が見つかっています。そして、インプリント遺伝子の制御には、DNAのメチル化やヒストン修飾が重要であると考えられてきました。しかし、特定部位のDNAメチル化やヒストン修飾を人為的に操作することは技術的に困難で、それらの相互関係や遺伝子発現への影響については未解明のままでした。
今回、私たちは、最近報告された、部位特異的にDNAメチル化を操作するツールを用いて、Dlk1-Dio3インプリント領域と呼ばれる約1Mb(メガベース、100万bp)に広がる領域に着目し、領域内のどのDNAメチル化がインプリント遺伝子の制御に重要なのかを探索しました。その結果、IG-DMR-Repと呼ばれる部位に、DNAメチル化を導入しても、脱メチル化を誘導しても、領域全体の遺伝子発現やヒストン修飾が変化することが分かりました。(IG-DMR-Repは、体細胞で、父性染色体で高メチル化、母性染色体で低メチル化状態になっている。)IG-DMR-Rep以外の部位のDNAメチル化を操作しても、数日中に元の状態に戻りました。つまりIG-DMR-RepのDNAメチル化が、Dlk1-Dio3領域全体のコアDNAメチレーションであることを示すことができました。
体を構成するすべての細胞が、同じゲノム情報を持ちながら、形や機能、硬さなどが種類ごとに異なるのは、使っている(転写している)遺伝子の組合せが異なるからです。DNAメチル化やヒストン修飾によるエピジェネティック制御は、遺伝子の使い分け(On/Off)を調節する仕組みの中で中心的な役割を担っています。また、個体発生や、がんや糖尿病といった疾患で、重要な役割を果たしていると考えられています。今後は、部位特異的にDNAメチル化を操作することによって、個体発生に重要であったり、疾患の原因となるDNAメチル化部位が特定されていくと期待されます。このようなエピゲノムと表現型の因果関係を明らかにする研究を"reverse epigenetics(逆エピジェネティクス)”(この用語はreverse genetics(逆遺伝学)からの造語)と呼び、本研究がその実験モデルになると考えています。
https://academic.oup.com/nar/advance-article-abstract/doi/10.1093/nar/gkac344/6584436
2022.2.18 卒業論文発表会
太田昌美さん、山極隆覚君、横田佳奈さんが発表しました。
2022.2.16 修士論文発表会
長田純輝君、佐藤一輝君、塩地直弥君、田村史織さんが発表しました。
2022.2.14 博士論文発表会
伊藤駿瑛君が、"SWI/SNF chromatin remodeling complex is required for initiation of sex-dependent differentiation in mouse germline" というタイトルで発表しました。6年間の研究の集大成です。
https://www.nature.com/articles/s41598-021-03538-8
2021.12.15 クロマチンリモデリング複合体が、生殖細胞の性分化を開始させることを明らかにしました
幹細胞学講座の論文が Scientific Reports 誌に掲載されました。
伊藤駿瑛君(博士3年生)が筆頭著者で、長田純輝君(修士2年生)、太田昌美さん(学部4年生)と横田佳奈さん(学部4年生)が共著者の論文です。横浜市立大学大学院医学研究科と城西国際大学薬学部との共同研究です。
始原生殖細胞は、発生過程で最初の生殖系列の細胞ですが、生殖巣に到着するまでは、雌雄差のない性的に未分化な状態です。始原生殖細胞は、生殖巣の体細胞の影響を受け、雌雄特異的な生殖細胞へと分化します。メスでは、減数分裂に移行し、一次卵母細胞へと分化します。一方、オスでは、細胞分裂を一旦停止し、前精原細胞へ分化します。前精原細胞では、レトロトランスポゾンやインプリント遺伝子において新規のDNAメチル化が獲得されます。
この雌雄特異的な生殖細胞の性分化は、大規模な遺伝子発現の変化が起こることで開始します。しかし、この転写リプログラミングが、どのように制御されているかについては、不明な点が多く残されています。
私たちは、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体のコンポーネントであるSNF5を、始原生殖細胞で特異的に欠損したマウス(Snf5 CKO)を作製しました。メスのSnf5 CKOマウスでは、減数分裂に関与する遺伝子群の発現誘導が低下するために、相同染色体の対合不全やDNA修復不全が起こり、減数分裂の進行が大きく障害を受けました。さらに、オスのSnf5 CKOマウスでは、新規DNAメチル化に関与する遺伝子群の発現誘導が低下するために、レトロトランスポゾンや父性インプリント遺伝子におけるDNAメチル化が低下しました。また、オスのSnf5 CKOマウスの生殖細胞は、細胞増殖を続けました。
私たちの研究は、SWI/SNF複合体が、生殖細胞の性分化を推進させる転写リプログラミングに必須であることを明らかにしました。今後は、SWI/SNF複合体が、どのように転写リプログラミングに関与するのか、特に、SWI/SNF複合体が、雌雄の性差を生み出す分子メカニズムの解明が期待されます。
https://www.nature.com/articles/s41598-021-03538-8
2021.12.1-3 第44回分子生物学会
パシフィコ横浜で開催された「第44回分子生物学会」で、伊藤駿瑛君(博士3年)、塩地直弥君(修士2年)、田村史織さん(修士2年)、永田圭さん(修士1年)が発表しました。
2021.11.30 理学部セミナー
産業技術総合研究所・臨海副都心センターの小林慎先生に、「遺伝子組換えマウスを用いたX染色体不活性化研究」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2021.9.25 AKTシグナル経路が細胞の初期化を促進する分子機構を解明しました
幹細胞学講座の論文が Stem Cell Research & Therapy 誌に掲載されました。
関田准教授が筆頭著者で、松元愛香里さん(修士修了生)、赤坂和哉君(修士修了生)、清水百馨さん(学部卒業生)、伊藤駿瑛君(博士3年生)、山崎瑛司君(修士修了生)と金井英里子さん(修士修了生)が共著者の論文です。当学部物理学科の小寺教授、紺野君(博士修了生)、慶應大医学部(医化学教室:杉浦先生、杉山先生、末松先生)、東京医科歯科大難治研(エピジェネティクス:川崎先生、幸田先生、石野先生)、長浜バイオ大(中村先生)との共同研究です。
AKTシグナル伝達経路は、細胞が外部から成長因子やホルモンの刺激を受けると活性化し、細胞の増殖、成長、生存、代謝などを促進する重要なものです。私たちは、これらに加えて細胞の初期化を促進することに興味を持ち、その分子メカニズムの解明に取り組んできました。
iPS細胞を誘導する時に、山中因子(OCT4、SOX2、KLF4)の導入と同時に人為的にAKTを活性化すると、初期化の効率が上がります。この研究では、この系を利用して、メタボローム解析、プロテオーム解析、トランスクリプトーム解析などを実施し、細胞初期化におけるAKTの役割を調べました。すると、AKTを活性化した細胞では、解糖系やTCAサイクル(クエン酸回路)の活性化によって、細胞質内のアルファケトグルタル酸(αKG:クエン酸回路の中間代謝産物)が上昇すること、DNA脱メチル化因子のTETの発現が上昇すること、そして、上昇したαKGとTETの相乗効果によってゲノム全体のエピゲノム再編成が促進されることを見出しました。このエピゲノム再編成の促進が、細胞の初期化に重要だと考えられました。
この研究により、細胞外の環境が、エピゲノムに影響を与える分子機序の一端が明らかになりました。そして、AKTは多くのがん細胞でも異常に活性化しています。この発見は、生体内で生じるがん幹細胞の発生機序の解明につながることが期待されます。
https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-021-02578-1
2021.8.2 幹細胞学講座の論文が SRF Reproduction Prize の Runner Up に選ばれました
神﨑理子さん(修士修了生)と田村史織さん(修士2年生)の論文が、Society for Reproduction & Fertility(英国生殖繁殖学会)の SRF Reproduction Prize の Runner Up に選ばれました。
2021.2.18 卒業研究発表会
池田優美さん、霧生智稀君、佐藤万葉君、三木翔平君、永田圭さん、御園杏里さん、山浦真美子さんが発表しました。
2021.2.16 修士論文発表会
児島進君、山村のどかさんが発表しました。
2020.11.6 CRISPR/Cas9 システムを用いて、卵や着床前初期胚で発現する16種類の遺伝子の KO マウスを作製しました
幹細胞学講座の論文が Biochemical and Biophysical Research Communications 誌に掲載されました。
若林美月さん(修士修了生)と田村史織さん(修士1年生)が筆頭共著者で、神﨑理子さん(修士修了生)、小杉真由子さん(修士修了生)、吉村祐樹君(修士修了生)、伊藤駿瑛君(博士2年生)、永田圭さん(4年生)と佐藤万葉君(4年生)が共著者の論文です。
国立成育医療研究センター研究所(システム発生・再生医学研究部:高田修治部長)との共同研究です。
今年ノーベル化学賞を受賞した CRISPR/Cas9 システムを用いて、卵や着床前初期胚で発現する16種類の遺伝子のノックアウトマウス(KOマウス)を作製しました。
この時期に発現する遺伝子には、遺伝子重複により遺伝子が複数コピーある遺伝子ファミリーが多いため、KOマウスを用いた生体レベルの(in vivoの)解析はあまりされてきませんでした。
この研究では、CRISPR/Cas9 システムを用いることで、Nlrp9a/b/c TKO(Triple KO)マウス、Rfpl4a/b DKO(Double KO)、Khdc1a/b/c TKOマウス、Trim43a/b/c TKOマウスといった複数遺伝子を同時にノックアウトしたマウスを作製することができました。
これまでに、私たちは、Usp26 KOマウスは別のマウス系統に戻し交配をすると精子形成異常を示すこと(Sakai et al., Scientific Reports, 2019)、Nlrp9a/b/c TKOメスマウスの受精卵は in vitroで培養すると2細胞期で発生を停止すること(Kanzaki et al., Reproduction, 2020)を報告しています。
この研究で作製したKOマウスは、これらの遺伝子の in vivoにおける機能を解明するリソースになることが期待されます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X20320477
2020.9.29 理学部セミナー
横浜市立大学大学院・医学研究科・薬理学教室の五嶋良郎先生に、「L-ドーパの神経伝達物質としての役割」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2020.6.19 Nlrp9a/b/c が、免疫型と生殖型の両方のNLRPタンパク質として機能することを明らかにしました
幹細胞学講座の論文が Reproduction 誌に掲載されました。
神﨑理子さん(修士修了生)と田村史織さん(修士1年生)が筆頭共著者で、伊藤駿瑛君(博士2年生)と若林美月さん(修士修了生)が共著者の論文です。プリマハム株式会社基礎研究所と細胞生物学講座との共同研究です。
NLRPファミリーのタンパク質は、ウイルスや細菌を認識するセンサーとして、インフラマソームという超巨大タンパク質複合体を形成し、炎症反応を引き起こすことが示されてきました(免疫型NLRPファミリー)。一方で、NLRPタンパク質の中には、卵や初期胚で高発現するものが存在し(生殖型NLRPファミリー)、ヒトにおいて習慣性流産やインプリント遺伝子疾患に関連することが示唆されています。
NLRP9は、腸管の細胞で、ロタウイルスに対するインフラマソームとしてはたらくことが示されていました。私たちは、NLRP9が卵や初期胚でも発現することに注目し、マウスでは3つ存在するNlrp9a/b/c遺伝子をすべて欠損したトリプル・ノックアウトマウス(TKOマウス)を作製しました。
TKOのメスマウスでは、着床前に発生が停止する胚が増えるため、産仔数が少なくなることが明らかになりました。さらに、TKOのメスマウスの受精卵を培養すると、2細胞期で発生を停止する ”2-cell block” が起こりました。また、Nlrp9a/b/c は、卵ではインフラマソームとは異なる、超巨大タンパク質複合体(SCMC:subcortical maternal complex)を形成することが示唆されました。
私たちの研究は、NLRP9は、細胞種に依存して、免疫型と生殖型の両方のNLRPタンパク質として機能することを明らかにしました。両方の機能をもつNLRPタンパク質は、他に報告がなく、NLRPが異なる超巨大タンパク質複合体を形成するメカニズムの解明が期待されます。
https://rep.bioscientifica.com/view/journals/rep/160/2/REP-19-0516.xml
2020.3.22 性染色体遺伝子 Kdm5c/d の欠損は、 心室緻密化障害を引き起こすことを示しました
幹細胞学講座の論文が Biochemical and Biophysical Research Communications 誌に掲載されました。
小杉真由子さん(修士2年生)と大谷舞衣さん(修士修了生)が筆頭共著者で、酒井皓平君(修士2年生)と伊藤駿瑛君(博士1年生)が共著者の論文です。東京都立健康長寿医療センター研究所との共同研究です。
哺乳類の性染色体(XY染色体)は、もともと同じ常染色体ペアからそれぞれ独自の進化をしてきました。現在のX染色体には、もとの常染色体にあった祖先型遺伝子は、ほとんど残っています。しかし、Y染色体からは大部分の祖先型遺伝子が消失し、現在のY染色体には、ごく少数の祖先型遺伝子しか残っていません。
Kdm5cとKdm5dは、それぞれX染色体とY染色体に現存する祖先型遺伝子ペアで、ヒストン脱メチル化酵素をコードしています。ヒトでは、KDM5C遺伝子の変異が、Claes-Jensen型精神遅滞の原因となることから、KDM5CとKDM5Dは進化の過程で異なる機能を担うようになったことが示唆されていました。
私たちは、Kdm5cとKdm5dが他の臓器で果たす役割を解明するために、Kdm5cのみをノックアウトした雄マウス(Kdm5c KO)、Kdm5dのみをノックアウトした雄マウス(Kdm5d KO)、両方をノックアウトした雄マウス(Kdm5c/Kdm5d DKO)を作製しました。その結果、Kdm5c KO雄マウスとKdm5d KO雄マウスが成体まで成長したのに対して、Kdm5c/Kdm5d DKO雄マウスは生後すぐに致死となりました。この死亡したマウスを調べたところ、心室の緻密層と呼ばれる心筋層が薄くなり、ヒトの心室緻密化障害の病態と似ていることが分かりました。
私たちの結果は、Kdm5cとKdm5dは、心臓の発生においては同じ機能をもつことを示し、これらの遺伝子の機能的差異や同一性は臓器により異なることを明らかにしました。さらに、心室緻密化障害は、拡張型心筋症や肥大型心筋症と並ぶ心疾患なので、Kdm5c/Kdm5d DKOマウスは心室緻密化障害のモデルとなることが期待されます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X20303119
2020.2.15 卒業研究発表会
青木絵梨華さん、伊東慶子さん、長田純輝君、木全雄也君、佐藤一輝君、塩地直弥君、清水百馨さん、田村史織さん、吉住栞さんが発表しました。
2020.2.13 修士論文発表会
赤坂和哉君、小杉真由子さん、酒井皓平君、山崎瑛司君が発表しました。
2019.11.9-10 ラボ旅行
山梨の石和温泉と昇仙峡に行ってきました。
2019.10.24
国立成育医療センター研究所・システム発生・再生医学研究部の高田修治先生に、3年生の講義をしていただきました。懇親会にも参加していただきました。
2019.10.05
今年も、慶應義塾大学・医学部・分子生物学講座の蓮輪英毅先生に、4年生の講義をしていただきました。4年生のチューター会にも参加していただきました。
2019.9.24 Usp26 KO マウスは、遺伝的背景に依存した精子形成異常を示すことを明らかにしました
幹細胞学講座の論文が Scientific Reports 誌に掲載されました。
酒井皓平君(修士2年生)が筆頭著者で、若林美月さん(修士修了生)、神﨑理子さん(修士修了生)、伊藤駿瑛君(博士1年生)が共著者の論文です。千葉大学大学院医学研究院および国立成育医療研究センター研究所との共同研究です。
USP26は、タンパク質の安定性を制御する脱ユビキチン化酵素です。ヒトでは、USP26遺伝子の一塩基多型(SNP)が男性不妊と関連するという症例が報告されています。 一方、それを否定する症例報告もあるため、USP26遺伝子のSNPが男性不妊の原因となるかどうかは、生殖医学の分野で長い間議論されてきました。
私たちは、この問題を解明するために、Usp26を欠損したマウス(Usp26 KOマウス)を作製し、C57BL/6系統とDBA2系統という異なる系統のマウスで、雄のUsp26 KOマウスの生殖能を調べました。その結果、Usp26 KOマウスは、C57BL/6系統では生殖能に大きな異常は示しませんでしたが、DBA2系統では不妊または生殖能の著しい低下を示しました。DBA2系統のKOマウスを詳しく調べると、性染色体の対合不全によるアポトーシスの亢進、精子の奇形や精子数の減少など、精子形成の異常が認められました。
私たちの研究は、Usp26の欠損により雄性不妊になるかどうかは、マウスの系統(遺伝的背景)に大きく影響を受けることを明らかにしました。このことから、Usp26の欠損と協調的にはたらく遺伝子があり、この遺伝子により不妊となるかどうかが決まると考えられます。ヒトでも、同様のことが起こるため、USP26遺伝子のSNPにより不妊になる男性とならない男性がいる可能性があります。
https://www.nature.com/articles/s41598-019-50318-6
2019.7.5 理学部セミナー
東京都医学総合研究所ユビキチンプロジェクトのプロジェクトリーダーの松田憲之先生に、「ミトコンドリアの品質管理およびオートファジー分解からみたパーキンソン病の発症機構」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2019.2.16 卒業研究発表会
伊林紗代さん、小倉旭永さん、肥沼誠人君、児島進君、山村のどかさんが発表しました。
2019.2.14 修士論文発表会
伊藤駿瑛君、神﨑理子さんが発表しました。
2019.2.7 理学部セミナー
国立長寿医療研究センター研究所副所長の丸山光生先生に、「健康寿命の延伸をめざす基礎老化研究〜老化と免疫系、栄養との関わりについて〜」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2019.1.11 理学部セミナー
九州大学大学院・医学研究院・発生再生医学分野の沖真弥先生に、「公共ChIP-seqデータをフル活用し遺伝子疾患の解明に挑む」というタイトルで理学部セミナーをしていただきました。
2018.12.19
卒業生の長田直希君が自治医科大学の分子病態治療センター・幹細胞制御研究部(古川雄祐教授)の助教に就任しました。同級生の原岡利尚君と記念撮影をしました。ご活躍を期待しています。
2018.11.28-30 第41回分子生物学会
パシフィコ横浜で開催された「第41回分子生物学会」で、関田洋一准教授、伊藤駿瑛君(修士2年)、小杉真由子さん(修士1年)、酒井皓平君(修士1年)が発表しました。
2018.10.20
慶應義塾大学・医学部・分子生物学講座の蓮輪英毅先生に、4年生の講義をしていただきました。4年生のチューター会にも参加していただきました。
2018.10.19
国立成育医療センター研究所・システム発生・再生医学研究部の高田修治先生に、3年生の講義をしていただきました。3年生のチューター会にも参加していただきました。
2018.8.31-9.2
足和田ホテルで開催された「第58回生命科学夏の学校」で、大学院生の伊藤駿瑛君(修士2年)が発表しました。大阪大学の仲野徹先生にポスターを見ていただきました。
2018.4.24 理学部セミナー
東京大学 農学生命科学研究科 獣医解剖学教室の金井克晃先生に、「ほ乳類の進化的に保存された精原幹細胞ニッチの分子基盤」というタイトルでご講演いただきました。
とてもオリジナリティーの高い研究を発表していただきました。
2018.2.17 卒業研究発表会
川添公胡桃さん、小杉真由子さん、酒井皓平君、栗山眞由さん、山崎瑛司君、後藤尚紀君、赤坂和哉君(発表順)が発表しました。
2018.2.15 修士論文発表会
大谷舞衣さん、松元愛香里さんが発表しました。
2017.11.18-19 ラボ旅行
熱海に行ってきました。
2017.11.10
国立成育医療研究センター研究所・周産期病態研究部の秦健一郎先生とラボの方と懇親会をしました。
2017.10.7
今年も、慶應義塾大学・医学部・分子生物学教室の蓮輪英毅先生に、4年生の講義をしていただきました。その後、4年生のチューター会にも参加していただきました。
2017.5.26-27
東京大学 伊藤国際学術研究センターで開催された「第15回 幹細胞シンポジウム」で、関田洋一准教授、松元愛香里さん(修士2年)、伊藤駿瑛君(修士1年)、神﨑理子さん(修士1年)が発表しました。
2017.2.16 卒業研究発表会
佐藤剛広君、神﨑理子さん、三好大智君、伊藤駿瑛君(発表順)が発表しました。
2017.2.15 修士論文発表会
金井英里子さん、原岡利尚君、吉村祐樹君、若林美月さんが発表しました。
2016.11.29-12.2
パシフィコ横浜で開催された「第39回 日本分子生物学会年会」で、大学院生の吉村祐樹君(修士2年生)と松元愛香里さん(修士1年生)が発表しました。
2016.11.12-13 ラボ旅行
鴨川温泉とマザー牧場に行ってきました。
2016.10.28
国立成育医療研究センター研究所の高田修治先生に、3年生の講義をしていただきました。タイトルは「哺乳類の性決定、性分化の分子機構」です。その後、幹細胞ラボのメンバーと懇親会をしました。
2016.10.22
慶應義塾大学・医学部の蓮輪英毅先生に、4年生の講義をしていただきました。タイトルは「機能性RNAと遺伝子発現制御」です。その後、4年生のチューター会にも参加していただきました。
2016.3.31 学位授与
小田本美佳さんが修士号を取得し、卒業しました。
2016.2.16 卒業研究発表会
安藤亮平君、大谷舞衣さん、加藤太喜君、中井一貴君、野口貴大君、松元愛香里さんが発表しました。
2015.12.14 国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部訪問
関田准教授と金井英里子さん(修士1年生)が、Kagami-Ogata症候群研究の第一人者である鏡先生と松原先生のラボを訪問しました。パイロシーケンシングを教えていただきました。
2015.5.29-30
東京大学 伊藤国際学術研究センターで開催された「第13回 幹細胞シンポジウム」で、大学院生の金井英里子さん(修士1年生)と吉村祐樹君(修士1年生)が発表しました。
2015.2.17 卒業研究発表会
長田直希君、金井英里子さん、原岡利尚君、吉村祐樹君、若林美月さんが発表しました。
2015.2.13 修士論文発表会
藤川圭太君が、幹細胞学講座で行った研究の集大成を発表しました。
2015.1.4 小分子化合物を用いて、始原生殖細胞を多能性幹細胞に初期化できることを示しました
幹細胞学講座の論文が Stem Cells 誌に掲載されました。
始原生殖細胞は、精子あるいは卵にのみ分化できる単能性の細胞です。
この細胞は、増殖因子で刺激しながら培養すると、多能性をもつ幹細胞(EG細胞)へと初期化できるというユニークな性質をもっています。
一方、体細胞は、初期化遺伝子(Oct4, Sox2, Klf4)を導入することで、iPS細胞へと初期化させることができます。
近年、初期化遺伝子のはたらきを代替できる小分子化合物が発見されてきています。
私たちは、Klf4の代替化合物とSox2の代替化合物だけで、始原生殖細胞をEG細胞へ初期化できることを示しました。
生殖細胞の初期化と体細胞の初期化が、共通のメカニズムで制御できることを明らかにした研究です。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/stem.1838/full
2014.9.15 MAPキナーゼシグナルの活性・不活性化が、始原生殖細胞と中胚葉の運命を分けることを明らかにしました
幹細胞学講座の論文が Stem Cells 誌に掲載され、表紙に取り上げられました。
生殖細胞は、発生の初期に、中胚葉の細胞とともに分化します。
未分化細胞が、生殖細胞に分化するか、中胚葉に分化するか、を決めるメカニズムはよく分かっていません。
私たちは、生殖細胞を試験管内でES細胞から分化誘導させるシステムを開発しました。
このシステムを用いて、ERKシグナルが、生殖細胞と中胚葉細胞の運命を分けるシグナルであることを明らかにしました。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/stem.1781/full
2014.9.11-17 国立成育医療研究センター研究所 システム発生・再生医学研究部訪問
関田准教授、吉村祐樹君(4年生)、若林美月さん(4年生)が、高田修治先生のラボに伺いました。CRISPRを用いたノックアウトマウスの作り方を教えていただきました。
外研生としてにお世話になっている松島太良君(4年生)と高田先生と記念撮影しました。
2014.5.30-31
九州大学 医学部 百年講堂で開催された「第12回 幹細胞シンポジウム」で、大学院生の藤川圭太君(修士2年生)と小田本実佳さん(修士1年生)が発表しました。