RESEARCH
化学科 分子構造学講座の論文がJournal of Physical Chemistry Letters誌に掲載されました。
“Quantitative Temperature Dependence of the Microscopic Hydration Structures Investigated by Ultraviolet Photodissociation Spectroscopy of Hydrated Phenol Cations”, J. Phys. Chem. Lett. 8, 2541-2546 (2017).
この研究は来栖諄君(修士,卒業生),八木令於名君(修士,卒業生)が中心となって実験を進めた成果です。
水はありふれた液体ですが,水素結合が働くために特殊な性質を示します。水素結合の性質を原子・分子のレベルで理解するために,気相水素結合クラスター(分子間相互作用で結合した分子集合体)を用いた研究を進めています。本研究では,温度可変イオントラップ分光装置を用いて,これまで困難であった気相分子クラスターの温度を制御し,温度によって水素結合構造が変化する様子を明らかにしました。われわれの実験結果は理論研究と直接比較しうる初めての定量的なデータであり,本研究の特筆すべき成果であるといえます。