RESEARCH
物理学科生物物理学講座の栗原三朗君（修士課程1年）、渡辺豪准教授らの研究に関する論文がNature Researchが出版している Communications Materials 誌に掲載されました。
本論文は、理化学研究所創発物性科学研究センターの西川浩矢特別研究員、荒岡史人チームリーダーらとの共同研究による成果です。
スマートフォンやテレビなどの表示素子に広く用いられるネマチック液晶は、結晶のような分子の配向秩序性と液体のような流動性を併せ持ちます。ごく最近になって強誘電性をあわせもつ強誘電性ネマチック液晶が報告されていて、表示素子以外のデバイスへの応用が期待されていますが、発現のメカニズムなどは未解明です。本研究では、強誘電性ネマチックを示す液晶化合物において、ジアステレオマーであるトランス体とシス体の混合系で温度範囲や熱力学安定性を制御可能であることを明らかにしました。また、小角X線散乱およびコンピュータ・シミュレーションによって、ジアステレオマー混合系が示す強誘電ネマチックではサイボタクティッククラスターが形成されることが新たに分かりました。
本研究は、基盤研究B(JP19H02537)の助成を受けました。
論文タイトル: “Nano-clustering mediates phase transitions in a diastereomerically-stabilized ferroelectric nematic system”
論文誌: Communications Materials
DOI: 10.1038/s43246-022-00312-9
