RESEARCH
化学科、分子機能化学講座、磯崎萌さん(修士2年)、上田将史助教、真崎康博教授による研究成果がMDPI(Multidisciplinary Digital Publishing Institute)が発行しているMolecules誌の特集号「Macrocyclic Compounds: Derivatives and Applications」に掲載されました。
硫黄原子を含む大環状化合物群は多角形輪状骨格に基づいた特異な性質を示すことから注目されています。本研究では、含硫黄ヘテロ環化合物であるチアントレンを硫黄原子で架橋した環状四量体「チアカリックス[4]チアントレン」の合成に初めて成功しました。単結晶X線構造解析から、得られた分子は歪んだ八角形構造をとっており、内部空孔に溶媒分子を内包できることが明らかになりました。また興味深いことに、蛍光・リン光発光を示し、その発光帯はチアントレンと比べて長波長シフトしていることが判明しました。今回得られた結果から、本分子系の発光特性と大環状骨格を用いた分子センサーなどへの応用が期待されます。
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費)「ヤヌス型蛍光色素分子を用いた分子配列に基づくキラル空間の創成(JP21K14615)」および「チエノアセン類を基盤とした環状分子による酸化還元活性集積体の創成(JP22K05070)」の研究助成を受けて実施されました。
論文タイトル: Synthesis, Structure, and Characterization of Thiacalix[4]-2,8-thianthrene
DOI: 10.3390/molecules28145462 (オープンアクセス)