RESEARCH
化学科、分子機能化学講座、野島裕騎博士(博士課程卒業生)、長谷川真士講師、真崎康博教授による研究成果がWiley社が発行しているEuropean Journal Organic Chemistry誌に掲載されました。
キラルな環状π共役系分子は、ねじれた化学構造に由来したキロプティカル特性(円偏光に関する吸収や発光などの光学特性)を示します。こうした特性は、変更が関与する未来の光学デバイスの実現に向けた鍵となる材料につながります。
今回、ビナフチルで連結された新規[5]ヘリセンを新しく合成し、強い円偏光発光(CPL)特性を示すことがわかりました。これは、分子構造が励起状態において対称的(C2)であり、磁気的および電気的遷移双極子モーメントが平行であることに起因します。
今回得られた結果から、キラル発光材料の分子設計戦略が明らかとなり、新しい有機発光ダイオード(OLED)等の発明につながります。
本研究は、科学技術振興機構(JST) CREST 「独創的原理に基づく革新的光科学技術の創成 [革新光]」、日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費)「傑出した円偏光度を示すキラルトポロジカル分子の創製(21K05043)」および「チエノアセン類を基盤とした環状分子による酸化還元活性集積体の創成(JP22K05070)」の研究助成を受けて実施されました。
また、本研究は、北海道大学(IcRedd) 長田裕也准教授、昭和薬科大学 臼井一晃准教授、東京都立大学 杉浦健一教授との共同研究により実施されました。