北里大学東洋医学総合研究所

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研究部門

EBMセンター

「EBM」とは

Evidence-Based Medicineの頭文字を取ったもので、『科学的根拠に基づいた医療』が日本語訳です。ここでいう『科学的根拠』とは、臨床研究、すなわちヒトを対象とした研究から得られた根拠のことです。
EBMとは医師が患者様を診療するうえで生じた疑問を解決する際に、経験則だけで処理するのではなく、信頼できる根拠を把握し、個々の患者様の意向や価値観を考慮した医療をおこなうための方法論のことです。

「臨床試験」とは

臨床研究のうち、ある薬剤や医療器具が人に対して有用であるかを調べる試験のことを指します。「有用であるか」には、「効果があるか」と「安全であるか」の2つの意味が含まれています。

漢方医学領域における「臨床試験」の必要性

漢方医学は少なくとも二千年以上の臨床経験に基づいた医学です。この間、数えきれないくらい多くの人々に対して漢方薬が試され、あるいは鍼灸が試されてきました。
そして、安全で効果があるとされた漢方薬や鍼灸法のみが現在まで残り、使用されています。このように、漢方医学は膨大な量の経験に基づく医学であり、それが特色の一つになっています。
しかし、漢方医学の有用性を科学的に検証することへの期待が大きいのも事実です。今までの長い経験の蓄積が正しかったことを証明し(または誤っていた点を修正し)、さらに科学的な観点からメスを入れることで、より患者様に役立つ医学に発展させることが可能となりうるからです。

漢方医学領域における「臨床試験」の特殊性

漢方医学は自然の生薬を用い、侵襲の少ない鍼や灸を用いる、身体にやさしい医学ですので、生命に影響を及ぼすような重大な副作用が生じることはほとんどありません。また前述のとおり長い歴史がありますので、その間に効果と不釣り合いな副作用を生じる治療法は淘汰されてきたと考えられます。したがって臨床試験においても、どちらかといえば安全性よりも効果を確認することに重点が置かれます。
次に漢方医学は、たとえば糖尿病や椎間板ヘルニアといった、現代医学的な病名だけで患者の治療法を決定するわけではありません。それ以外の、手足が冷えやすいか、汗をかきやすいか、気分が落ち込みやすいかといったような自覚症状や、舌を見、脈や腹を触れて得られた情報も加味し、総合的に判断して決定します。したがって、このような要素を取り入れた臨床試験も行われることになります。
さらに漢方薬治療には、当研究所で主として行われている伝統的な煎じ薬による治療と、一般医療機関を中心に広く行われているエキス製剤による治療がありますが、いずれが優れているかを科学的に検証する臨床試験も必要です。

北里大学東洋医学総合研究所 EBMセンターの仕事

北里大学東洋医学総合研究所EBMセンターは漢方医学に関する臨床試験の企画、実施を行います。またその他の臨床研究、具体的には漢方医学で行われる診察を現代医学的観点から解明する研究なども実施します。
さらに漢方医学におけるEBMの必要性、あり方を検討することも射程に置き、漢方医学のEBMを総合的に研究するセンターとしての機能を果たして参ります。