本大学では米国3大学(パーデュー大学、テネシー大学、ジョージア大学)との国際交流が1995年に始まり、歴史のある交流が継続されておりましたが、2020年にジョージア大学との交流が中止となりました。この継続の打ち切りにより本学科の学生(5年次)の夏季研修生の希望者は多いのですが受入人数が減少せざるを得ないなくなりました。新型コロナの流行により、夏季研修も中止を余儀無くされておりましたが、2022年には3年振りにパーデュー大学の夏季研修が行われました。この間に夏季研修は受験生が本学科を選択する理由の一つで、野生動物や語学の習得に対して関心が高いことから英語圏の大学を探しておりました。この度、獣医解剖学研究室吉岡一機教授の留学先であったクィーンズランド大学と関係を持つオーストラリア日本野生動物保護教育財団(AJWCEF、水野哲男理事長)で行われる野生動物臨床研修への学生の参加が認められました。今後は双方にとって教育および研究面において有益なものへと発展することを願っております。夏季研修ではカランビン・ワイルドライフ自然保護区(野生動物病院)での野生動物保護活動を通して臨床研修が行われます。研修プログラムを通して野生動物保護活動を通じ日本とオーストラリアとの交流が高まり、互いに理解と尊重の気持ちを持ち、両国の友好関係が深まる一助となることも期待しております。
研修参加対象者は獣医学科5年生とします(研修予定者を4年生時に決定します)。
研修希望者(4年生)には10月下旬か11月初旬に大学の掲示もしくはHPで閲覧するように致します。
※試験日程などの詳細は募集要項をご確認し、教務課で「申込み」を行ってください。
オーストラリア日本野生動物保護教育財団理事長の水野哲男と申します。弊財団は2009年に正式にオーストラリア連邦政府に登録された非営利環境保護慈善団体で、オーストラリアにおける環境や野生動物の保護活動を政府レベルから個人ボランティアによる草の根活動に至るまで支援するのと同時に、これらの保護活動の重要性を広く社会に啓発する教育活動も行っております。
この度は皆様にオーストラリアにおける野生動物保護や救護の現状を視察していただく機会を提供するのと同時に、現地にて実際にそれらの活動を行っている野生動物専門病院にて実習を行って頂ける実践的なトレーニングプログラムを北里大学獣医学部様と協力して開発いたしました。皆様もご存じのように、オーストラリアの固有動物、すなわち有袋類や単孔類、は特殊な形態や生理を有しており、このプログラムでは当地でなければ体験いただけない非常に貴重な経験をしていただけることと確信しております。
また、オーストラリアは動物倫理や福祉の点で日本とはかなり異なった基準を持っており、野生動物救急車や救護車が野生動物の救助のため市街地を走り、各地に野生動物専門病院があり無料で診療を行っております。また、法律により特別な理由なく固有野生動物をペットとして飼育することは禁じられており、野生動物と人が環境を分け合って共生するという考え方が社会で広く支持されています。このような日本とは異なった社会システムや通念を肌で感じて頂くこともこのプログラムの大きな目的となっております。
さらに、このプログラムでは歓送迎会を除いて参加者の皆様に自炊を行って頂くため、宿泊施設はすべてコンドミニアム形式でキッチンや食器などが配備されております。また、宿舎から実習施設への移動には一般の公共交通機関をご使用いただく場合もあります。その理由は、将来国際化がさらに進み、おそらく皆様が海外で活動される機会が益々増えると思われます。その折に皆様が自らの安全を確保しながら現地の方々と協力して活動を行うには、その地域の状況をよく理解し、現地の社会に溶け込んで生活を送ることが非常に重要だと考えます。日本の方々は旅行社がすべてお膳立てしたパッケージツアーに参加することが多く、折角海外旅行をされても、その地域の人々や社会と接することがほとんどない状況で帰国されます。そのような状況から海外の方々と真の信頼関係を築くことは非常に困難です。このプログラムでは弊団体のスタッフがご支援をしながら皆様に極力現地の生活をそのまま経験していただくことより、海外で自らの安全を保ちながら活動を行って頂くための実地体験の機会ともとらえております。よって、渡航前には現地での生活や実習に役立つ実用医療英語コミニュケーションプログラムもシリーズでご提供する予定です。
では、皆様とオーストラリアでお会いできます日を楽しみにしております。
オーストラリア日本野生動物保護教育財団
理事長 水野 哲男
この度、オーストラリア日本野生動物保護教育財団(AJWCEF: Australia-Japan Wildlife Conservation and Education Foundation)で行われる野生動物臨床研修への学生の参加が実現することになりました。この理由として米国の3大学との国際交流が2大学となったため、本学科の学生(5年次)の夏季研修生の希望者は多いのですが受入人数が減少せざるを得ない状況が挙げられます。夏季研修は受験生が本学科を選択する理由の一つで、野生動物や語学の習得に対して関心が高いことから英語圏の大学を探しておりました。この度、獣医解剖学研究室吉岡一機教授の留学先であったクィーンズランド大学と関係を持つオーストラリア日本野生動物保護教育財団(AJWCEF)で行われる野生動物臨床研修への学生の参加が認められました。今後は本大学と財団との連携をさらに強化するため、業務委託契約を行い、双方にとって教育および研究面において有益なものと考えるに至りました。研修先ではカランビン・ワイルドライフ自然保護区(野生動物病院)での野生動物保護活動を通して臨床研修が行われます。
オーストラリアは日本の約21倍の国土の大きさを持ちながら、その人口は2,100万人余りと少ないのが現状です。自然に恵まれ、進化的にも希少動物が生息している特別な環境を持つ国ではありますが、近代社会における環境破壊が与える生物の生態系に環境に及ぼす影響は回避することが出来ない状況におかれております。この問題の解決には広大な国土を持ち生態系における希少動物を含む多種多様な自然環境を保護するには一国の力では及ぶものではありません。従って国際的な協力を得ながら、地球にとってもオーストラリアの大切な自然を保護することが求められております。
本学獣医学部はオーストラリア野生動物保護教育財団(AJWCEF)と交流し、学生に国際的な視野で野生動物保護に関して知見を拡げて欲しいと願っております。今後、学生の野生動物臨床研修のみならず、さらなる研究連携を行うために、野生動物保護活動を通じ日本とオーストラリアとの交流が高まり、互いに理解と尊重の気持ちを持ち、両国の友好関係が深まる一助となることも一層期待しております。
2022年10月末日
獣医学部国際交流副委員長
折野宏一
獣医学部国際交流委員長:胡東良
獣医学部国際交流副委員長:折野宏一
獣医学科国際交流委員長(オーストラリア):柏本孝茂
学部・獣医学科事務担当
チケット手配 鎌田亮
会計 三浦弘
研修調整:深沢英恵、吉岡一樹