わが国における伴侶動物、特に犬と猫の飼育頭数は2000万頭となり、室内飼育犬も6割を越えています。そして、犬、猫の高齢化に伴う様々な疾病に対して、人と同じような高度医療が求められるようになりました。また、最近の鳥インフルエンザや新興感染症の発生から、食の安全性に関し、獣医学の果たす役割が益々重要になってきました。このような獣医学を取り巻く著しい環境の変化に対応して、獣医臨床分野における教育体制の充実や国際的なネットワークの構築が強く求められるようになりました。 獣医学科では獣医学教育システムおよび環境の改善を図ることを目的として、特に動物医療の診療体制の細分化と専門化の進んでいる米国獣医大学との国際交流を模索し、1995年インディアナ州立パーデュー大学、テネシー州立テネシー大学、ジョージア州立ジョージア大学の3校と学術交流協定を締結するに至りました。
以来、毎年夏休みに各大学獣医学部に8名程度の5年生の学生を獣医学研修に派遣しています。各大学には1名ずつの教員が同行し、学生をナビゲートするとともに、相手校の教員との交流を深めています。研修期間は2週間で、学生は1人または2人で、皮膚科、眼科、循環器科、腫瘍科などの診療科において、それぞれの専門医の先生の指導の下に研修を行います。また、それぞれの大学から毎年1名の教員を招聘し、講義・講演・セミナー等を行ってもらっています。さらに、相手校からも本学部での獣医学研修を希望する学生が十和田キャンパスを訪問しています。今までに500人以上の学生が参加し、国際的な視野をもって社会的な活躍を目指して巣立っていきました。 このように、獣医学科では学生と教員がともに米国獣医大学との活発な国際交流活動を展開しています。尚、ジョージア大学との交流は2020年3月に終了となり、現在は三大学から二大学に変更されました。
研修参加対象者は獣医学科5年生とします(研修予定者を4年生時に決定します)。
研修希望者(4年生)には10月下旬か11月初旬に大学の掲示もしくはHPで閲覧するように致します。
※試験日程などの詳細は募集要項をご確認し、教務課で「申込み」を行ってください。
1校選べます。定員があるので必ずしも希望通りになるとは限りません。
事前研修として、英会話などの語学講座を設けています。
取得単位は、卒業単位として認められます。
1993年、獣医学科における教育研究への効果を期待して国際交流の活性化のために国際交流検討委員会が設立された。その後2年の間に米国5大学を現地訪問する等、交渉を重ね検討を行った。最終的には米国三大学(パーデュー大学、テネシー大学、ジョージア大学)と学術交流協定を締結し、1995年8月に1回目の学生・教員の派遣が行われた。協定には1)獣医学科の学生に米国の臨床教育を体験する機会を設ける(参加学生には単位認定が与えられる)。2)教員を招聘し、学生・教員に講義やセミナーをして頂く。3)北里大学の教員の海外研修の機会を増やす。の主たる目的がある。一方、2019年にはジョージア大学への研修は先方の都合でキャンセルとなったが、他の2大学とは協定を更新し、何れの大学においても交流がさらなる発展を目指し、相互の関係を強めて行くことになった。
2020年以降コロナ禍にあって研修は2年間続けて中止になったが、3年振りにパーデュー大学において研修が行われた。今年7名の学生を同行された田島一樹先生には大変なご足労をおかけしましたが、無事に終了したことは非常に嬉しく思っております。今年度で研修された7人加えると延べ545名の研修生となりました。お陰さまで国際交流が盛んなパーデュー大学でも、北里大学との交流が1番長いと言われ、これまでの関係者には大変感謝しております。
長い歴史には関係者の顔ぶれも変わり、年月の流れを思わざるを得ないが、これからの研修学生にとっては臨床的な研修ばかりでなく、この交流の歴史的意義や重みを感じとって頂ければ幸いである。また、この国際交流が広く知られ、北里大学獣医学科に興味を寄せて頂ければ幸甚に存じます。
最後になりますが、これからも学生諸君が今後の研修体験を活かし、今後の成長に大きな力になるようにと願うと共に、この国際交流がこれからも学生達に「夢」と「希望」を与え続けることができるようにと願いながら尽力を尽くす所存です。
2022年11月末日
獣医学部国際交流委員長 胡 東良