北里大学 獣医学部 獣医学科

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第388回 獣医学科セミナー<新任教員紹介>

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  第388回獣医学科セミナーを以下のように開催いたします。教職員および学生のご参加をお待ち申し上げます。

タイトル 野外放牧場におけるアベルメクチン系薬剤による消化管内線虫に対する駆虫効果と計画的投与による生産性への影響
演    者 橋 史昭 先生
(大動物臨床学研究室 准教授)
セミナー内容
(要約)
  野外放牧場に於いては、放牧家畜は放牧期間のほとんどを様々な寄生虫に暴露されている状況であり、舎飼い牛と比較して大きく異なっている。放牧衛生においてはピロブラズマ病の発生抑止に重点が置かれているが、消化管内線虫(GIN:gastro-intestinal Nematoda)への対応には放牧地ごとに病害に対する認識に差がある。GINの感染は臨床症状が不明瞭であるにもかかわらず損耗が認められるためその対策を確立することは重要である。今回1放牧場をモデルに駆虫対策を実施し知見を得たので報告する。
  概要:調査対象の宮城県M放牧場は、ホルスタイン種育成放牧場で4月中旬入牧、12月初旬退牧であるが、(1)4月入牧する通常の放牧群と(2)放牧途中から散発的に入牧してくる生後5から6ヵ月齢の幼齢牛が存在した。放牧成績の調査期間は2008年4月から2011年3月までで、その間、放牧された牛は延べ114頭であった。
  調査方法と調査項目:調査は、2008および2009年の実績をもとに2010年に新たな駆虫プログラムを計画し、その効果について検証した。薬剤の効果はGINの排出する虫卵数と陽性率および生産性((1)1日当たりの増体量(DG値)と(2)繁殖成績)について調査した。また、同時に採血も実施しその成績との関連性について検討した。なお、駆虫には2種類のアベルメクチン系薬剤を使用した。数値の比較は放牧場の運営形態を考慮し年度間比較とした。
  結果:(1)GIN虫卵の排泄状況:3年間の同時期の結果を比較すると、一般線虫卵の陽性率の低下はあまりないものの排出虫卵数の減少傾向があった。牛鞭虫、ネマトジルス、および牛捻転胃虫の虫卵は全く検出されなくなった。(2)DG値:2010年は過去2年と比較して改善が認められた。(3)繁殖成績:初回人工授精月齢は短縮した。また、人工授精回数も改善の傾向を示した.(4)血液検査成績:血糖値、および蛋白質代謝系の指標の数値が改善傾向となった。
  考察:野外放牧場における駆虫は、その効果は勿論だが経済性や薬剤の外部への影響および使用薬品の性質からも薬剤耐性について熟慮する必要がある。南半球の牧羊が盛んな地域では、めん羊のGIN対策としてイベルメクチン製剤の使用による薬剤耐性の問題を指摘する論文が多い。本試験では野外放牧場で適切な駆虫タイミングと回数を想定しつつ駆虫プログラムを実施し、おおむね良好な結果を得た。駆虫による食欲とタンパク質代謝の向上は結果的に未経産育成牛の正常な発情の招来と受胎に好影響をもたらすものと推察された。本試験で適切な駆虫プログラムにより生産性の向上が可能であることが示唆された。