北里大学 獣医学部 獣医学科

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第405回 獣医学科セミナー<ベスト論文2017>

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  第405回獣医学科セミナーを以下のように開催いたします。教職員および学生のご参加をお待ち申し上げます。

タイトル マラリア原虫の媒介蚊体内ステージの解明 : オーシスト形成について
演    者 筏井 宏実 先生(獣医寄生虫学研究室)
セミナー内容
(要約)
マラリア原虫は、宿主動物の赤血球に寄生しているガメートサイト(雌雄の生殖母体)が媒介者である蚊に吸血されると、蚊中腸内において有性生殖を行い、運動性を持つオーカイネートに分化します。オーカイネートは、蚊中腸細胞に侵入して中腸基底膜下に到達したのち、オーシスト形成を開始します。この吸血からオーシスト形成を開始するまでの2日間は、原虫にとって宿主環境の大きな変化に対応しつつ劇的な形態変化を行う、生き残りにとって非常に重要な時期です。
オーシスト形成は、まずオーカイネートの細胞膜の構造が変化して早期オーシスト壁が形成される事から始まります。そして、徐々にオーシスト壁は殻のような特殊な構造物を構成して、成熟オーシストになると考えられていますが、その詳細についてはよくわかっていません。
そこで私たちの研究室では、マラリア原虫の媒介蚊体内ステージ、特にオーシスト形成を解析することにより、原虫と媒介蚊の相互関係(寄生や感染を許す関係など)を理解したいと考えています。本セミナーでは、選出して頂いた論文結果とともに、現在進行中の研究についてもご紹介できればと思います。
Plasmodium berghei Cap93, a novel oocyst capsule-associated protein, plays a role in sporozoite development.
Sasaki H, Sekiguchi H, Sugiyama M, Ikadai H.
Parasites & Vectors. 2017 10:399. doi: 10.1186/s13071-017-2337-8.
タイトル コレステロール輸送阻害剤はネココロナウイルスの増殖を抑制する―猫伝染性腹膜炎の新規治療薬の探索―
演    者 高野 友美 先生(獣医伝染病学研究室)
セミナー内容
(要約)
猫伝染性腹膜炎(FIP)はネコ科動物の致死性ウイルス感染症です。FIPはネコの死因の上位に位置しており、若いネコがFIPを発症した場合は高い確率で死亡します。現在、動物病院においてFIPに対する有効な治療法や予防法は存在しません。FIPの病原体であるネココロナウイルス(FCoV)は血清学的にI型とII型の二つに分けられます。これらのうち、野外ではI型FCoVが圧倒的に多く存在します。従ってI型FCoVに対する抗ウイルス薬を開発すれば、それ(それら)をFIPの治療薬として応用できることが想定されます。数年前、演者らはI型FCoVがコレステロールに依存して増殖することを発見しました (Takano et al. 2016 Arch Virol. 161(1):125-133)。この結果をふまえ、演者らは、「コレステロールの合成や輸送を阻害する薬剤はI型FCoVに対する抗ウイルス薬として応用できる」と考え、これらの薬剤のウイルス増殖に対する影響およびその作用メカニズムを調べました。その結果、(1)コレステロール輸送阻害剤であるU18666AがI型FCoVの増殖を強力に抑制すること、(2)その抑制作用はヒストン脱アセチル化酵素阻害薬で解消されることを明らかにしました。今回のセミナーでは、対象論文の内容と共に今後のFIPの治療の展望についても紹介したいと考えております。
Takano et al., The cholesterol transport inhibitor U18666A inhibits type I feline coronavirus infection.
Antiviral Research 2017 145: 96-102.