北里大学 獣医学部 獣医学科

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第421回 獣医学科セミナー<ベスト論文2018>

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  第421回獣医学科セミナーを以下のように開催いたします。教職員および学生のご参加をお待ち申し上げます。

タイトル アクチビンE:肥満解消に新たなプレイヤー
演    者 橋本 統 先生
セミナー内容
(要約)
  アクチビンEは、肝臓で特異的に作られる細胞の分化・増殖因子の一種として発見されましたが、長い間その機能は不明でした。今回アクチビンEを肝臓から過剰に分泌するマウスを作製したところ、対照のマウスと比べて血糖値が低く、インスリン感受性が向上しており、体温が高くエネルギー代謝が亢進していることが分かりました。さらに、このマウスは高脂肪食を与えた場合でも体重増加が抑えられていました。白色脂肪組織を詳しく調べてみたところ、ベージュ脂肪や褐色脂肪のUcp1(エネルギーを「熱」に変換することが出来るタンパク質)の量が増加し、ベージュ脂肪細胞自体も増加していたことから、脂肪組織において熱産生が盛んになり、エネルギー代謝が上昇していると考えられました。
  一方、アクチビンE遺伝子を欠損させたマウスでは、寒冷刺激に対する反応が鈍く、白色脂肪組織中のベージュ脂肪細胞の減少が原因と考えられる低体温の症状がみられました。さらに、アクチビンEタンパク質を、in vitroで褐色脂肪細胞に作用させたところ、Ucp1の量が増加したことから、アクチビンEに褐色脂肪細胞の熱産生を直接活性化させる働きがあることを確認しました。
  以上の結果から、アクチビンEは、肝臓から分泌されるヘパトカインとして働き、褐色脂肪を活性化させ、白色脂肪組織ではベージュ脂肪細胞を増加させることで、余分なエネルギーを熱に変換して消費させる役割があることが明らかになりました。このアクチビンEの効果は、糖尿病をはじめ種々の生活習慣病の原因となる肥満の治療薬につながる可能性があります。
  ベスト論文2018に選出していただき、ありがとうございました。今回の発表では、研究のスタートから論文掲載までの悲喜交々をお話しできたらと思います。

Hashimoto, O., Funaba, M., Sekiyama, K., Doi, S., Shindo, D., Satoh, R., Itoi, H., Oiwa, H., Morita, M., Suzuki, C., Sugiyama, M., Yamakawa, N., Takada, H., Matsumura, S., Inoue, K., Oyadomari, S., Sugino, H. and Kurisaki, A. 2018. Activin E controls energy homeostasis in both brown and white adipose tissues as a hepatokine. Cell Rep. 25: 1193-1203.
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2018.10.008