SDGs

Vol. 1 自給飼料100%で育てる北里八雲牛

函館市から車で約1時間。八雲町にある北里大学獣医学部附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場では、自給飼料だけで牛を育てています。簡単に言うと、産まれてすぐはお母さん牛のミルクで育ち、その後出荷されるまでの約30か月間、化学肥料、農薬や除草剤を一切使用しない広大な牧場内の草だけで育ちます。“牛たちの糞尿は草地へ還元され、そこから芽生えた牧草のみで牛を育てる”。これは全国的にも非常に珍しい取り組みです。


寒冷な気候と痩せた土地では穀物を栽培することはできません。そのため、八雲では痩せた土地でも育つ牧草を牛に与えて搾乳する酪農が発展してきました。穀物が育たない地域において、ヒトがうまく利用できない繊維質や質の低いタンパク質を良質な動物性タンパク質に変換させることは畜産の原点とも言えます。

「物質循環を重視した自給飼料による資源循環型牛肉生産」を基本方針として、輸入穀物や輸入粗飼料にいっさい依存しない持続可能な畜産を実践することにより、安定的な良質タンパク質の生産、供給を実現するモデルとして注目されています。この考え方は、SDGsの達成にも寄与するものです。


八雲牧場で育てられた牛は、その肉質もまさにプレミアム。一般的な和牛肉と比較して、北里八雲牛は脂肪含量が少なくヘルシーでありながら、“これぞ牛肉”といった芳醇な肉の旨みが特徴です。

北里大学獣医学部附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場では、牧草の生産、肉用牛の繁殖~肥育までの一貫した体系のもとで、畜産並びに家畜の衛生対策などの実践、畜産学、獣医学に関する全般的教育を推進することで、SDGs達成に貢献するための教育と人材の育成に努めています。

他の特集記事を見る