私は、「オガサワラオオコウモリ保全の為の集団遺伝構造の分析 ―2018・2019年のサンプルを追加した再分析―」というテーマで研究を行いました。小笠原諸島に生息するオガサワラオオコウモリは個体数が極めて少なく、環境省の絶滅危惧IB類に指定されています。私はこの種の遺伝子分析を行い、その結果から保全に必要な対策を検討することを目的として研究を進めてきました。
最初はオガサワラオオコウモリや小笠原諸島についてほとんど知識が無かったため、実験と並行して情報収集を行いました。小笠原諸島の独特な生態系は、日本の他の地域では見られない、とても興味深いものでした。初めて見る生物の画像もあり、情報収集をしている時はいつも新鮮な気持ちでした。
研究を始めてから覚える内容も多かったため、大変なこともいくつかありました。その中でも、図で示された実験結果を正しく理解し、分かりやすく的確に説明することが一番苦労しました。分かったつもりでは研究内容が人に伝わらないことに気付き、専門用語は理解できるまで何度もノートに書き込み、なるべく分かりやすい言葉を用いて説明するように心掛けました。本番は多少の緊張もありましたが、落ち着いて発表できたと思います。
研究中は、先生や仲間の何気ない言葉から新たな課題が見つかることもありました。何かに集中すると視野が狭くなりがちな私にとって、この何気ない言葉が大きな気付きになることも多かったです。研究を通して様々な方々の言葉・意見があったからこそ、卒論を終えられたのだと思います。この1年間で少しだけ、でも確実に物事を多角的に見られるようになったと思います。ご指導してくださった先生、つまずいた時にアドバイスをくれた仲間には本当に感謝しています。