生物環境科学科

私は「糞虫相の相違に及ぼす環境要因」と題して研究を行いました。動物の糞を餌として利用するコガネムシ上科の昆虫類を糞虫と呼びます。代表的な糞虫として、ヨーロッパやアフリカに生息するフンコロガシ(タマオシコガネ)が有名です。日本国内にも全国的に分布し、様々な種が1年を通して出現します。体長は1cmにも満たない小さな種が多く、糞の中で生活するため一般的に知名度は低いですが、土や糞に潜るための太い前肢は重厚感があり、ずんぐりした形状や鈍重な動作が非常に愛らしく、コガネムシ特有の金属光沢により宝石のような美しさを持つためファンも多いです。

糞虫は糞に対して高い分解能を持ちます。そのため、畜産による糞公害の対策として導入された事例もあり人間社会に密接に関わっています。しかし、近年国内では糞虫の種の多様性は失われつつあり保全する必要があります。そのため、研究のテーマとして糞虫に着目しました。

調査は七戸町石倉山放牧場で行いました。自然豊かな牧草地で空気が澄み、放牧場から八甲田山が見える美しい景観です。研究室の仲間に手伝ってもらいながらの現場の調査は楽しいものでしたが、天候に恵まれずデータが少なくなってしまったことは残念でした。初めての研究テーマで、調査方法や研究の進め方などがわからず困ることもありました。また、自分の考えをわかりやすく伝えることが苦手で言葉が足りないことが多く、結果・考察を的確に説明することに苦労しました。

卒論研究を通して様々な経験ができました。研究室の仲間と協力して作業に取り組むことでチームワークの大切さを知りました。また、資料の作成方法や打ち合わせの重要性を学び、ゼミを通して発表に慣れ、論理的な考え方が身につきました。つらく苦しいこともありましたが、ご指導いただいた先生方、支えてくれた研究室の仲間たちのおかげで乗り越えられました。この充実し過ぎた思い出を胸に、社会に出てからより一層精進したいと思います。

生物環境科学科

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